こねくとノイズ

23. 疲れて帰ってきたら

「やっと着いた……帰ってこれた」
「ちょっとノイズ、大袈裟ね」
「いや、本当疲れた……」
　ソナタと別れた後、一目散にノイズの家に帰ってきたサクラ達。ソナタがいた広い施設からすぐに家に着いたわりには、疲れた様子でぐったりと着かれた足取りでメメと話すノイズとノオトの後ろをモモを抱きしめているサクラが心配そうに二人を見ていると、タオルを持った家政婦達が三人の所に駆け寄ってきた
「皆さん、お疲れ様です。今すぐ、お風呂に入りますか？」
「うん、お腹も空いたから、みんなの分も一緒に何か用意してもらってもいい？」
「ええ、すぐに。お風呂に入っている間に何か作りますね」
「ありがとう。お願いね」
　家政婦からタオルを取り、ノオトとサクラに手渡しながら家政婦と話すノイズ。ふわふわタオルを渡されて、少しそのタオルをボーッと見ていたサクラ。心配になったモモがサクラの顔を覗こうとした時、タオルから目線を外しニコッと微笑む家政婦達を見た
「……ああっ！」
　突然大声を出し、その場にいた全員が驚き、ノオトに体を拭かれていたメメの尻尾がバシッと強くノオトの腕に当たった
「急にどうしたの？」
　ノイズがサクラに問いかけると目を滲ませ手を少し震わせながらノイズの側に来た
「お部屋の窓、開けっ放しだったような……。雨、降っていたのに……」
「ああ、お部屋なら大丈夫ですよ。もう乾いていますから」
　と、家政婦がニコッと笑って言うと、ノイズに近より焦っていたサクラが今度は不思議そうに首をかしげた
「サクラがいた世界とは違うんだよ。雨で濡れた床なんて魔法で簡単に乾かせるよ」
「そっか……。そうなんだ」
　と、ノイズの言葉にホッと胸を撫で下ろすと、突然ノイズが持っていたタオルを奪い取り、頭からバサッとかけ、グシャグシャに髪の毛を拭いた
「お風呂入ろ。これ以上濡れてたら風邪引いちゃうからね」
「風邪は魔法で治せないの？」
「治せるけど引かない方がいいでしょ？だから、急いでお風呂入ろう」
　そう言うとサクラの手をつかんで、お風呂のある方へと歩きだしたノイズ。その二人の後ろ姿を、まだメメの体を拭いているノオトが、はぁ。と一つため息をついて家政婦達の方を見た

「あれから、この家でなにかあった？」
「いえ、特になにも……」
　サクラの姿が見えなくなり、ノオトが険しい表情で家政婦達に問いかけると、微笑んでいた家政婦達も同じく険しい表情で問いかけに応えた
「今、サクラの部屋は？」
「割れていた窓も濡れていた床も全て修復済みです」
「そう。でも今日はサクラは別の部屋で休んだ方がいいわね」
「はい、もうサクラさんの部屋を別に準備しています」
「あら、準備が早いのね」
　そうメメが家政婦達にクスッと笑って聞くと、家政婦達が目を合わせ苦笑いで頷いた
「ソナタ様の使い魔が先程来て、家の様子を見ていきましたから」
「そう……」
　家政婦の話に呟くような声で返事をすると、辺りを見渡しはじめたメメ。ノオトも髪の毛を拭きながら少し姿勢を正すと、まだ来ないノオトを心配してノイズが戻ってきた
「ノオト、何してるの？お風呂入るよ！」
「はいはい。すぐ行くよ」
　ノイズの後ろにいるサクラを見てノオトが少し笑いながら返事をすると、またサクラの手をつかんで先にお風呂場に向かったノイズを見届けると、タオルを家政婦に渡し、肩に乗っているメメを抱きしめた
「メメ、悪いけどサクラの部屋を見張ってておいて。何かあればすぐに私達を呼んでね」