こねくとノイズ

シャオえる

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58. 思い人の顔を見ればすぐ分かる

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 その頃、リリと一緒に仕事場に戻ったソナタ。残っていた仕事を終わらそうと、リリと共に忙しそうに資料に目を通していた。リリがソナタに新たな資料を手渡そうとした時、ソナタが窓を見てフフッと笑った
「どうしたの?」
「サクラちゃんにかけていた術が解かれたみたい」
 ソナタが微笑みながらリリに言うと、驚いたリリが持っていた資料を机にバンッと投げるように置いた
「ソナタの術を解いたの?誰が?」
「そうねぇ、ノイズでもノオトちゃんでもなさそうね。誰かしら」
 机から落ちた資料を取り目を通すソナタ。リリは窓から外を見つめ怪訝な顔をしている
「今日は少し様子を見ましょうか」
「いいの?」
「ええ、今日はお仕事もなさそうだしね。帰る前にノイズは一緒に居たいだろうし」
「本当に帰すの?勿体ないわね」
「どんな魔術者だとしても、術のない世界で生きるのは大切なことよ」
 ソナタのこの言葉に、またリリが怪訝な顔をした
「分からなさそうな顔ね」
「ええ、一度連れていってもらったけど、とても不便だったもの」
「そうね、ウサギの姿をずっとするのは大変そうだったものね」
 ソナタが昔のことを思い出してクスクスと笑う。一方リリは、思い出したくないのか、ソナタから背を向けまだ読んでいない資料に手を伸ばした時、コンコンと扉をノックする音と共にロンドが部屋に入ってきた
「おや、またもう少し後に来ようか」
「いえ、大丈夫よ。何かあったの?」
 リリの表情を見てロンドが少し困った顔で言うと、ソナタがリリを抱きしめ顔を横に振り返事をすると、ロンドがため息混じりに話しはじめた
「サクラさんを明日、戻せないそうだ」
「あら、どうして?」
「オンプ達や他の施設の者達が色々急がしいらしく、術も魔力も足りない可能性があるとか」
「あら、困ったわね。私一人で送ろうかしら」
「ダメよ。あなたは無駄に魔力を使ってはいけないのよ」
 と、ソナタの提案にを否定するようにリリが言葉強めに言いソナタの腕から離れた。その様子にロンドがまた困った顔をしてソナタを見ると、楽しそうな顔で机にある大量の資料に触れ、その資料が一瞬にして消えると、リリに微笑んだ
「たまにはいいじゃない。そうじゃないと腕が鈍ってしまうもの」
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