こねくとノイズ

67. 戸惑い動く世界の中で

「頭がクラクラする……」
　その頃、また一人になったサクラが頭を少し手で押さえながら宛もなく歩いていた。サクラの周りで、見慣れない大きな文字や小さな文字が浮かび当たらないように避けながら、ふらふらと歩く
「少しどこかで休めるかな」
　と、少し片目を閉じつつ辺りをまた見渡してみるが、座れそうな椅子や空間もなく、はぁ。と一つため息をついた
「休めそうにないや。もう少し歩こう……」
　そう呟いた時、サクラの側を読める文字が通りすぎていった。辺りを見渡してみると、さっきまで知らない文字ばかりあったのが、いつの間にか見覚えのある文字がサクラの周りに、たくさん浮かんでいた。ふとすぐ側にあった文字を読んでみると、動いていた文字達がピタリと動きが止まった





「いけないわ。二人ともすぐにノイズのところに行って！」
　突然、本からノイズ達の様子を見ていたソナタが大声で叫んだ。その声に驚いたオンプ達の体がビクッと跳ねた
「なにかありましたか？」
　オンプが険しい顔をしたソナタに恐る恐る声をかけると、くるりと本から背を向け近くにあった本棚の方に歩き出した
「本からサクラちゃんの気配がする」
「えっ、気配ですか？私達は何も……」
　本を取るソナタにオンプやリズム達が不思議そうな顔で本を見たりソナタを見たりしていると、ソナタが開いていた本をバンッと強く閉じた
「いいから、早く行きなさい！」
「はっ、はい！」
　慌てて部屋を出るオンプとリズム。残った人達も顔を強ばらせソナタの様子を伺っていると、コツコツと足音を鳴らし、またノイズ達を映す大きな本を見つめた



「リリ。どうしたの？」
　ソナタがオンプ達に叫ぶほんの少し前、リリが慌てた様子でノオトの服から飛び出し周辺をグルグルと動き見渡していた
「ソナタの結界が解かれている」
　そう呟いたリリの言葉に、驚いたノオトも辺りを見渡す
「ノイズが解いているの？」
「いえ、この魔力の感じ私は知らないわ」
「じゃあ誰が……」
「モモ！」
　突然、ノイズの声が聞こえ二人が振り向くと、モモがページを開いたり閉じたりを繰り返していた。ノイズの指示とは違うのか戸惑っている様子に、二人が近づき助けようかと顔を見つめあっていると、ドスンと大きな物音が響いた
「ふぅ、疲れた……」
　音のする方を見ると、ノイズの術でモモの中に入ったはずのサクラが地面に両手をつき疲れた顔で座っていた
「サクラ……」
「あれ、ノイズ。えっと、ここは……」
　サクラの前で立つノイズに名前を呼ばれ辺りを見ると見覚えのある場所に来て、少しホッとしたのか胸を撫で下ろしていると、突然グラッと目眩が起きてノイズに向かうように倒れたサクラを抱きしめると、サクラの後ろでオンプとリズムが険しい顔でサクラとノイズの二人を見ていた
「サクラさんはこちらで管理します。ノイズさん、ノオトさん。お話は施設で聞きます。良いですね」