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51. そよ風が吹いて
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「そっちの魔術はどんな感じ?」
ディオロイ城から出た後、村の少し離れた場所にある丘の上でリリーと別れたシャロが夜空を見上げ呟く。少し強い風に動かされた雲がすぐ月を隠し、辺りを暗くする
「月が綺麗なのは良いことだね」
リリーが肩に居ると思って少し振り向きそう言うと、リリーからの返事はなく代わりに風に吹かれた髪が揺れる
「そっか。リリーはお留守番にしたんだった」
ふと丘の上に来る前の事を思い出して、少し寂しげにフフッと笑うと、そよ風がまた吹いてシャロの髪が少し揺れる
「魔力は十分。この世界の魔術も大分知れたし、どうしようかな」
そう言うと、左手を月に向ける。手の中に隠れた月をつかむように手をぎゅっと握りしめた
「おはよう。もう朝ごはんの時間も過ぎたよ、起きて」
数時間後、シャーロットの部屋にあるほんの開いていた窓から入ってきたリリーがまだベッドで眠っているシャーロットの耳元で起こすように話しかけ、手をつついたり髪を踏んだりして叩き起こす。起きたシャーロットが、ゆっくりと目を開けると
、シャーロットのおでこに止まって歩いて起こそうとするリリーに気づいて慌てて飛び起きた
「どういう起こし方なのよ……」
「シャロをいつもこう起こしてるから」
シャーロットが起きたせいで無理やり足元に移動されたリリーが、シャーロットの右肩に飛び乗り、少し羽根を広げた
「というか、なんでまだここにいるのよ」
「シャロがここでお留守番ねって言うからまだいるの」
「お留守番ね……」
リリーの返事を聞いて、シャーロットがはぁ。とため息をつく。その間に頭の上に移動して、乗ったリリー。向きを変えようとトコトコと小さく歩くと、突然シャーロットが頭を抱えて少し前に屈んだ
「どうしたの?」
また足元に移動させられたリリーが、頭を抱えたまま動かないシャーロットを心配してトコトコと足の上を歩いて顔を伺う
「少し頭が痛いの……。ちょっと今は話しかけないで」
「頭痛いの?治してあげるよ」
「別にいいわよ。寝てれば治るから」
「眠るよりも朝ごはん食べた方が治るよ」
リリーの話に、まだ痛む頭を押さえなから眠ろうと横になり目を閉じる。リリーも添い寝しようと布団の中に潜り込んで、シャーロットの胸元で横になる。リリーを撫でながら、ぎゅっと強く目を閉じて痛みが止まるのを待つが、コツコツと聞こえる部屋の壁に張られている時計の針の音も痛む頭に響いて眠れず、体にぴったりくっつくリリーを優しく手で抱きしめ枕の上に置いた
「ねぇ、さっき、治してあげるって魔術で治るの?」
「そうだよ。すぐに治してあげるよ」
シャーロットの答えながら背伸びをするように羽根を少し伸ばす。伸ばした羽根がシャーロットの顔に当たり、クシュンとくしゃみをした
「悪いけれど、頭が痛いの治してくれる?」
「いいよ。ちょっとまってね」
シャーロットのお願いを聞いて、リリーがトンっとまたおでこに飛び乗り、また小さなおでこをトコトコと歩く。何をしているのか気になるシャーロットが上目遣いでリリーを見る。トコトコと歩くだけのリリーを見て、ぎゅっと目を閉じた
「シャロの魔術だ」
おでこの上で立ち止まり呟いた声は、また頭が痛いシャーロットには聞こえず目を閉じたまま。リリーがおでこから枕元に移動すると、シャーロットがゆっくりと閉じてた目を開く。ゆっくりと体を起こし、長く白い髪を掻き分けると、ふぅ。と一つ深呼吸をした
「ありがとう。治ったみたい」
「じゃあ、魔力と体力を回復するために、ご飯食べよう」
「仕方ないわね。治してくれたお礼にすぐに用意してもらうわ。ちょっと待ってて」
ベッドから降りて、パタパタと小走りで部屋を後にするシャーロット。廊下から聞こえてくる足音が遠くなると、リリーもベッドから飛んで窓辺にある、ティーポットとティーカップが置かれたままテーブルに降りた
「頭が痛かったのは、シャロの魔術のせいだって、今は言わない方がいいね。ねっ、シャロ」
ディオロイ城から出た後、村の少し離れた場所にある丘の上でリリーと別れたシャロが夜空を見上げ呟く。少し強い風に動かされた雲がすぐ月を隠し、辺りを暗くする
「月が綺麗なのは良いことだね」
リリーが肩に居ると思って少し振り向きそう言うと、リリーからの返事はなく代わりに風に吹かれた髪が揺れる
「そっか。リリーはお留守番にしたんだった」
ふと丘の上に来る前の事を思い出して、少し寂しげにフフッと笑うと、そよ風がまた吹いてシャロの髪が少し揺れる
「魔力は十分。この世界の魔術も大分知れたし、どうしようかな」
そう言うと、左手を月に向ける。手の中に隠れた月をつかむように手をぎゅっと握りしめた
「おはよう。もう朝ごはんの時間も過ぎたよ、起きて」
数時間後、シャーロットの部屋にあるほんの開いていた窓から入ってきたリリーがまだベッドで眠っているシャーロットの耳元で起こすように話しかけ、手をつついたり髪を踏んだりして叩き起こす。起きたシャーロットが、ゆっくりと目を開けると
、シャーロットのおでこに止まって歩いて起こそうとするリリーに気づいて慌てて飛び起きた
「どういう起こし方なのよ……」
「シャロをいつもこう起こしてるから」
シャーロットが起きたせいで無理やり足元に移動されたリリーが、シャーロットの右肩に飛び乗り、少し羽根を広げた
「というか、なんでまだここにいるのよ」
「シャロがここでお留守番ねって言うからまだいるの」
「お留守番ね……」
リリーの返事を聞いて、シャーロットがはぁ。とため息をつく。その間に頭の上に移動して、乗ったリリー。向きを変えようとトコトコと小さく歩くと、突然シャーロットが頭を抱えて少し前に屈んだ
「どうしたの?」
また足元に移動させられたリリーが、頭を抱えたまま動かないシャーロットを心配してトコトコと足の上を歩いて顔を伺う
「少し頭が痛いの……。ちょっと今は話しかけないで」
「頭痛いの?治してあげるよ」
「別にいいわよ。寝てれば治るから」
「眠るよりも朝ごはん食べた方が治るよ」
リリーの話に、まだ痛む頭を押さえなから眠ろうと横になり目を閉じる。リリーも添い寝しようと布団の中に潜り込んで、シャーロットの胸元で横になる。リリーを撫でながら、ぎゅっと強く目を閉じて痛みが止まるのを待つが、コツコツと聞こえる部屋の壁に張られている時計の針の音も痛む頭に響いて眠れず、体にぴったりくっつくリリーを優しく手で抱きしめ枕の上に置いた
「ねぇ、さっき、治してあげるって魔術で治るの?」
「そうだよ。すぐに治してあげるよ」
シャーロットの答えながら背伸びをするように羽根を少し伸ばす。伸ばした羽根がシャーロットの顔に当たり、クシュンとくしゃみをした
「悪いけれど、頭が痛いの治してくれる?」
「いいよ。ちょっとまってね」
シャーロットのお願いを聞いて、リリーがトンっとまたおでこに飛び乗り、また小さなおでこをトコトコと歩く。何をしているのか気になるシャーロットが上目遣いでリリーを見る。トコトコと歩くだけのリリーを見て、ぎゅっと目を閉じた
「シャロの魔術だ」
おでこの上で立ち止まり呟いた声は、また頭が痛いシャーロットには聞こえず目を閉じたまま。リリーがおでこから枕元に移動すると、シャーロットがゆっくりと閉じてた目を開く。ゆっくりと体を起こし、長く白い髪を掻き分けると、ふぅ。と一つ深呼吸をした
「ありがとう。治ったみたい」
「じゃあ、魔力と体力を回復するために、ご飯食べよう」
「仕方ないわね。治してくれたお礼にすぐに用意してもらうわ。ちょっと待ってて」
ベッドから降りて、パタパタと小走りで部屋を後にするシャーロット。廊下から聞こえてくる足音が遠くなると、リリーもベッドから飛んで窓辺にある、ティーポットとティーカップが置かれたままテーブルに降りた
「頭が痛かったのは、シャロの魔術のせいだって、今は言わない方がいいね。ねっ、シャロ」
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