クローバーホリック

シャオえる

文字の大きさ
5 / 67

5. 一人きりでも約束のために

しおりを挟む
「つ、疲れた……」
 サクラと別れた後、公園からそのまま走って帰ってきたミツバ。深呼吸しながら、バタンと音をたて部屋の扉を閉めると、早々に部屋着に着替えるとベッドに倒れた
「さっきの人、私の名前知ってたな……」
 と呟きながら天井を見ながら、公園で出会った女の子を思いだす
「それに、どこかで見たことある気がするんだけどなぁ……」
 ゴロンと横に向いて、走り疲れたのかウトウトと眠くなってきた頃、一階からバタバタと騒がしい足音が聞こえてきた

「ミツバ、ちょっと来てー」
 と、一階から大声で名前を呼ばれて、目が覚めたミツバ。はぁ。とため息つきながら、勢いつけて体を起こしてゆっくりと歩いて一階に降りていくと、玄関で母親と妹が出掛けようと靴を履いていた
「ホノカと二人で出掛けるんたけど、ミツバ一人で大丈夫?」
「うん。大丈夫だけど……」
「夕御飯は用意しているから、好きな時に食べてね」
「うん、行ってらっしゃい……」
 ミツバの見送りの言葉と同時に玄関の扉がパタンと閉じた。すぐに部屋に戻らずキッチンに向かい、夕御飯のおかずを見て、リビングに行ってソファーにボフッと勢いつけて座ってすぐ横になると、持ってきていた携帯を見ると、サヤカとマホから連絡が来ていた
「明日ねぇ……どうしようかな」
 二人から出掛けようと誘いの連絡が来ているが、あまり乗り気じゃないミツバ。返事に悩んでいると、サヤカからまた連絡が来て、更にどうしようかと悩みだした
「サクラさんも来るんだ……」
 悩んでいる間もサヤカとマホの会話がどんどん進んでいく。四人でどこに行こうかと話が盛り上がっている二人の
会話に少し笑ってふぅ。と一息ついた
「仕方ないか。行こうっと……」
 二人に誘いの返事をして、背伸びをすると目を閉じると、そのままソファーで少し眠ってしまった




「ねえ、サクラ。やっぱり無理なんじゃないの?」
 ミツバが夕御飯を食べている頃、サクラの家では街中で出会った子とはまた違う女の子が、ソファーでお菓子を口一杯頬張り話しかけていた。その女の子の隣では、少しテンションが低いサクラが二人分の紅茶を淹れている
「そんなの、まだ分かんないよ。まだもう少し……」
「何回そう言うの?もう諦めなよ」
 サクラの淹れた紅茶を受け取り一気に飲み干すと、またお菓子を頬張って食べはじめた
「約束したもの。今度こそ絶対……」
 コップを強くつかんで紅茶を飲むサクラ。そんなサクラの様子を見ていた女の子が側に置いていた本を指差した
「それよりそれ、どうするの?」
「私が書くよ。それが一番だから……」
「二冊書くのはいいけどさぁ。面倒だよ、大丈夫?」
 サクラを心配する言葉を聞いて、本をぎゅっと強く抱きしめ頷いた
「約束したもの。もう二度と、ミツバちゃんには悲しい思いはさせないって……」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

靴屋の娘と三人のお兄様

こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!? ※小説家になろうにも投稿しています。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

魅了の対価

しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。 彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。 ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。 アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。 淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

処理中です...