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12. 小さな気持ちの揺らぎ
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ナツメが帰ってしまった後のサクラとミツバ。動くこともなく二人に沈黙が流れていると、帰ろうとミツバから離れようとするサクラの姿にミツバが慌てて腕をつかんだ
「待って!」
ぎゅっと強くつかまれた腕を見つめるサクラ。そんなサクラの様子を見て、
「話してよ。私、何をどう守ったの?私、何も知らない……」
「知らなくていい。もう、無理することもないし」
「じゃあ、本当に何かあったの?なにを……」
「あっ、いたいた。サクラ!」
二人が話していると、またど何処からともなく声が聞こえてきた
「探したよ。あのね……」
ふわりと空から舞い降りてきたユリ。サクラの側に降りると、腕をつかんでいるミツバを見つけて戸惑う
「ミツバも一緒だったんだ……」
今、初めて会ったはずのユリに名前を呼ばれて、サクラの腕を離し、ユリに近づき話しかけた
「あなたもどうして、私を知ってるの?」
「えーっと、それは……」
言葉を濁すユリをキッと睨むミツバ。どう言うべきかと悩み困った表情のユリ。恐る恐るサクラを見た後、ミツバの方にもゆっくりと顔を向けると、ユリの返事を待っている様子に、少し悲しい顔でミツバを見た
「本当に何も知らないんだ……」
「行こう、ユリちゃん」
つかまれた腕を大きく振り無理矢理ミツバの手を離して、今度はサクラがユリの腕をつかんだ
「でも、サクラ……」
引っ張られながら歩くユリ。少し歩きずらそうに歩く姿を見ているミツバの方を見て目を背けた
「待って!」
思わずユリのサクラのつかむ腕と反対側の腕をつかんだミツバ。二人に挟まれたユリ。足を止めて睨むように二人を見ている姿にユリがポツリと呟いた
「ミツバ……」
「あなたは、私が何をしたか知ってるの?サクラさんが私を守る理由も……」
叫び問いかけるミツバの勢いに負けて、ユリがゆっくりと頷いた
「知ってる……」
「教えて!何があったの?あの本はなんなの?」
とミツバが言うと、その表情をじっと見つめるユリ。二人のやり取りを腕をつかんだまま黙って聞いているサクラ。すると、何にも言わなくなったミツバに、ユリがはぁ。と深くため息ついた
「サクラの言う通り、覚えてないならその方がいいよ。行こうサクラ」
そうミツバに伝えると、ユリも無理矢理ミツバの手を振り払い、サクラと一緒にふわりと空へと飛び立った。飛べないミツバは二人を見上げながら走って追いかける
「ちょっと待って!」
大声で叫んでも振り返ることなく、どこかへ飛んでしまったサクラとユリ。走り疲れたミツバは、息を切らして一人空を見上げ、ポツリと呟いた
「あの人、ユリって言ってたっけ……。見たことある気がするんだけど……けど、どこで……」
「ありがとう、ユリちゃん……」
ミツバと離れて、サクラの家に着いた二人。ふぅ。とため息ついてサクラの言葉を聞きながらソファーに勢いよく座ったユリ。背伸びをしてキッチンの方を見ると、サクラがカチャカチャと音をたてながらお茶を用意している
「そういえば、何か話しか何かあったの?」
ユリの隣に座りお茶を渡しながら問いかけると、もらったお茶を飲んでいたユリ。サクラを探していた理由を思い出してちょっと慌ててコップをテーブルに置いた
「ああ、そうそう。あのね ……」
と、真剣な表情で話しはじめたユリ。サクラも少し困ったようにユリの話を聞いている
「わかった。ユリちゃん、一緒に来てくれる?」
「仕方ないか。ミツバのこともあるしね」
と言うとお茶を飲み干してゴロゴロと横になったユリ。その姿をクスッと笑って見たサクラが立ち上がり背伸びをしてまたキッチンの方へと歩いていった
「じゃあもうご飯食べて休もう。明日は早く出掛けなきゃね」
「待って!」
ぎゅっと強くつかまれた腕を見つめるサクラ。そんなサクラの様子を見て、
「話してよ。私、何をどう守ったの?私、何も知らない……」
「知らなくていい。もう、無理することもないし」
「じゃあ、本当に何かあったの?なにを……」
「あっ、いたいた。サクラ!」
二人が話していると、またど何処からともなく声が聞こえてきた
「探したよ。あのね……」
ふわりと空から舞い降りてきたユリ。サクラの側に降りると、腕をつかんでいるミツバを見つけて戸惑う
「ミツバも一緒だったんだ……」
今、初めて会ったはずのユリに名前を呼ばれて、サクラの腕を離し、ユリに近づき話しかけた
「あなたもどうして、私を知ってるの?」
「えーっと、それは……」
言葉を濁すユリをキッと睨むミツバ。どう言うべきかと悩み困った表情のユリ。恐る恐るサクラを見た後、ミツバの方にもゆっくりと顔を向けると、ユリの返事を待っている様子に、少し悲しい顔でミツバを見た
「本当に何も知らないんだ……」
「行こう、ユリちゃん」
つかまれた腕を大きく振り無理矢理ミツバの手を離して、今度はサクラがユリの腕をつかんだ
「でも、サクラ……」
引っ張られながら歩くユリ。少し歩きずらそうに歩く姿を見ているミツバの方を見て目を背けた
「待って!」
思わずユリのサクラのつかむ腕と反対側の腕をつかんだミツバ。二人に挟まれたユリ。足を止めて睨むように二人を見ている姿にユリがポツリと呟いた
「ミツバ……」
「あなたは、私が何をしたか知ってるの?サクラさんが私を守る理由も……」
叫び問いかけるミツバの勢いに負けて、ユリがゆっくりと頷いた
「知ってる……」
「教えて!何があったの?あの本はなんなの?」
とミツバが言うと、その表情をじっと見つめるユリ。二人のやり取りを腕をつかんだまま黙って聞いているサクラ。すると、何にも言わなくなったミツバに、ユリがはぁ。と深くため息ついた
「サクラの言う通り、覚えてないならその方がいいよ。行こうサクラ」
そうミツバに伝えると、ユリも無理矢理ミツバの手を振り払い、サクラと一緒にふわりと空へと飛び立った。飛べないミツバは二人を見上げながら走って追いかける
「ちょっと待って!」
大声で叫んでも振り返ることなく、どこかへ飛んでしまったサクラとユリ。走り疲れたミツバは、息を切らして一人空を見上げ、ポツリと呟いた
「あの人、ユリって言ってたっけ……。見たことある気がするんだけど……けど、どこで……」
「ありがとう、ユリちゃん……」
ミツバと離れて、サクラの家に着いた二人。ふぅ。とため息ついてサクラの言葉を聞きながらソファーに勢いよく座ったユリ。背伸びをしてキッチンの方を見ると、サクラがカチャカチャと音をたてながらお茶を用意している
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と、真剣な表情で話しはじめたユリ。サクラも少し困ったようにユリの話を聞いている
「わかった。ユリちゃん、一緒に来てくれる?」
「仕方ないか。ミツバのこともあるしね」
と言うとお茶を飲み干してゴロゴロと横になったユリ。その姿をクスッと笑って見たサクラが立ち上がり背伸びをしてまたキッチンの方へと歩いていった
「じゃあもうご飯食べて休もう。明日は早く出掛けなきゃね」
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