クローバーホリック

シャオえる

文字の大きさ
17 / 67

17. 意外な人と鉢合わせ

しおりを挟む
「ミツバ、今日これだけ?」
 パンを一つだけ買ってきたミツバ。サヤカとマホと一緒に教室でお昼ご飯を食べようと、机を動かし向かい合いパンの袋を開いた
「うん。何だか食欲なくて…」
「だから、寝ちゃうんだよ。たくさん食べないと」
 小さくちぎったパンを頬張ると、サヤカとマホもお弁当を食べはじめた。楽しく三人で会話をしながらパンを半分ほど
食べ終えた頃、ふとサヤカが空席のままのサクラの席を見た
「サクラは今、何してるのかな……」
 と言うとマホとミツバもサクラの席を見た。すると、マホが突然、何か思いついたように、二人に話しかけた
「もしかしたら、美味しいご飯食べに行ってるのかもね」
「まあ、引っ越しでバタバタしてるみたいだから、そうかもね」
「……ねぇ、ミツバ。話、聞いてる?」
 二人の会話に入ることなく、ボーッとサクラの席を見ていたミツバにサヤカが声をかけると、声に気づいたミツバが、二人の顔を見て、聞いてないことを誤魔化そうとして苦笑いをした

「もう……。今日は帰ったら?」
 誤魔化しきれずミツバを見て呆れるサヤカ。マホも隣でサヤカの話を聞いて頷いている
「でも……テスト近いし……」
「ボーッとして、また寝ちゃったら先生も困るでしょ。今日はもう帰って、ゆっくり休んで、残りの授業の分は私達が明日教えるから。ねっ」
「そうだよ。最近ボーッとしてること多いから、ちゃんと休んで」
 と言う二人の言葉を聞いて、少しうつ向いて悩みはじめたミツバ。その様子を見ていたマホが急に、ミツバの頭を撫でた。ふと、少し顔をあげサヤカとマホを見ると、心配そうにミツバを見ている二人の姿を見て、ゆっくりと頷いた
「うん、そうしようかな……二人とも、ゴメンね」




「とは言ったものの……どうしようかな。ホノカも家に居るだろうから何かおやつでも買って帰ろうかな……」
 トボトボと一人、帰り道を歩くミツバ。まだお昼過ぎたばかりの街は人だかりも多い。一人言を呟きながら真っ直ぐ帰らず寄り道をしながら歩いていると、ミツバの前から、こちらの方に近づいてくる女の子二人組を見つけて、足を止めた
 
「ねえ、ナツメ。お菓子買っていこうよ」
「ツバキ……アルノさんのお家でたくさんご飯もお菓子も食べたじゃん。もうダメだよ。夕御飯食べれなくなる」
「夕御飯をお菓子にするから大丈夫……」
 ナツメの手を引っ張って、美味しそうなお菓子が売っているお店に入ろうとするツバキ。その様子を気にすることなく歩き続けるナツメ。すると、少し前の方に人だかりの中、立ち止まり、こちらを見ている視線に気づいた
「ミツバ……」
 ナツメも足を止めポツリ呟きミツバを見る。少し遅れてツバキもミツバを見つけて、驚き少し後退りした

「あの……」
 二人に話しかけようとしたミツバの横を通るナツメ。突然、早歩きで進みだしたナツメを慌てて追いかけるツバキ。ミツバも二人の後ろ姿を慌てて追いかけて、ナツメの腕をガシッとつかんだ
「待って!」
 つかまれた腕を見つめるナツメ。二人の間に挟まれているツバキが二人の顔を、不安そうに交互に見ている
「教えて。サクラさんやあなた達は何をしているの?私は何をしたの?」
 離さないようにナツメの腕を強くつかむミツバ。その力と話に何も言わずにいるナツメ。ミツバとツバキの顔を見て、ふぅ。と一つため息ついた。すると、ナツメの腕をつかんでいたミツバの手を引っ張り返すと、そのままつかんで歩きだした
「いいよ。教えてあげる。ついてきて」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

靴屋の娘と三人のお兄様

こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!? ※小説家になろうにも投稿しています。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

魅了の対価

しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。 彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。 ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。 アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。 淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

処理中です...