クローバーホリック

シャオえる

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35. 静かになった瞬間に

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 サクラの隣で寝ていたミツバ。ゆっくりと横に寝返りを打つと、側に人がいる気配を感じて、うっすらと目を開けると、ぼんやりと見えてきた人影。目が覚め見えてきたのは、サクラがミツバの顔を覗いて、じーっと見つめている姿
「うわっ!」
 サクラに驚いて飛び起きたミツバ。ベッドの隅に大慌てて移動するとサクラを見て呆然としている
「ビックリした……サクラさん、どうしたの?」
「どうしたって、私の台詞だよ。なんで、ミツバちゃんが私のベッドで寝ているの?」
「ちょっと、気分が悪くなって、それで……」
 サクラの疑問にあたふたと答えると、まだミツバをじーっと見つめているのに気づいた
「……なに?」
 恐る恐る問いかけるミツバをまだ見つめるサクラ。少し怖くなって、思わず目を背けたミツバ。だが、サクラは少しずつミツバに近づいていく
「一緒にまだいれるなって思って……」
 と、ミツバに呟くような声で返事をするサクラ。聞き取れなかったミツバが少し首をかしげていると、ベッドから降りて、部屋の扉を開けたサクラ。ミツバの方に振り向いて、ニコッと笑って声をかけた
「……お茶飲もっか」
 サクラに言われて、後をついていくようにベッドから降りるミツバ。部屋を出て、リビングの扉を開けるとナツメ達がいると思っていたリビングは、誰もいない静かなリビングに少し驚いて周りをキョロキョロと見渡していると、キッチンからお茶を持ってきたサクラがミツバの後ろから話しかけた
「みんな、お出掛けしてるみたいだね」
「そうなんだ……。どこに行ったんだろう……」
 テーブルにお茶を置いているサクラを見ながらミツバが話しかけると、サクラは困ったように笑った
「本を書きにかな?少しでも書かないとね」
「……どうして、本を書くの?」
 微笑むサクラに問いかけるミツバ。だが、サクラは答えることなく、コップにお茶を注いでいる
「サクラさんのお母さんに頼まれたからって言ってたけれど本当?」
「そうだね。みんなはそうかも……」
 ミツバにお茶を渡しながら話していると、リビングのテーブルに置いていたサクラの携帯が突然鳴り響いた。慌てて携帯を取り、誰かと話をはじめたサクラ。その横を通り、ソファーに座るミツバ。まだ少し残っていたお菓子を取りながら、サクラの様子を伺っていると、ため息混じりに携帯を切ったサクラが、ミツバの方に振り向いて、また困ったように微笑んだ

「ユリちゃんの本が、破けちゃったみたいで、迎えにいくんだけど、ミツバちゃん、ここで待ってる?それとも、帰る……」
「一緒に行く」
 サクラの話を遮り力強く答えたミツバ。睨むように見つめられ、返事に困っていたサクラ。突然、はぁ。とため息ついてベランダの方へと歩いていった
「……分かった。一緒に行こう。落ちないように気をつけてね」
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