クローバーホリック

シャオえる

文字の大きさ
39 / 67

39. 一緒の方が、もっと美味しくなる

しおりを挟む
「大分遅くなっちゃたね」
 ミツバが来た日の夜、サクラの家に帰ってきたナツメとツバキが小声で話をしながら、そーっと音をたてないように玄関の扉を開けた
「そうだね。もう、サクラとユリ寝てるかも」
「ミツバもいるかな?」
「さぁ?さすがに、帰ってるんじゃないの?」
 ゆっくりと足音をたてないように、リビングに向かう二人。電気がつきっぱなしのリビングの扉をそーっと開けると、ソファーに座りテレビを見ているサクラがいた

「……おかえりなさい」
「サクラ。起きてたの?」
「うん、なんだか眠れなくて……。さっきまでユリちゃんも起きてたんだけど……」
 と、隣で横になっているユリに目を向ける。話し声に気づいていないのか熟睡してるユリを起こさないように、そーっとソファーから立ち上がった
「お茶飲む?それとも、甘い紅茶にする?」
 微笑みながら、ナツメとツバキに話しかけるサクラ。側を通り、キッチンへと向かうサクラを目で追ってくナツメ。手際よくお茶と紅茶を用意してるサクラを見ながら、話しかける
「ミツバは?」
「お家に帰ったよ。明日も学校休みだから、明日も来るかもって。多分ここで、のんびり過ごすと思うけど…… 」
「明日もケーキ作るでしょ?」
「うーん、どうしようかな?」
 ツバキの提案にクスッと笑ってちょっと困った様子で答えるサクラ。紅茶を受け取り飲みはじめたツバキ。すると、ツバキを置いてリビングの扉を開けたナツメ。ツバキに背を向けたまま、小声で話しかけた
「……ツバキ、一緒にお風呂入るよ」
「う、うん。サクラ、ご飯も用意しててね」
 慌てて紅茶をイッキ飲みして、バタバタとナツメの後を追い、お風呂に向かってくツバキ。廊下から聞こえる二人の話し声に、クスッと笑うと、ツバキからのお願いを叶えるために、パンっと手を叩いて気合いを入れた
「ご飯かぁ……。何を作ろうかな……」
 冷蔵庫を開けて、夕御飯の献立を考えるサクラ。たくさんの食材を出して、鼻唄混じりにテキパキとたくさんのご飯を作っていると、美味しそうな匂いがリビングにも届いて、寝ていたユリが目を覚ました

「……サクラ。何してるの?」
 目を擦り、少しボーッとしながらキッチンにいるサクラにユリが声をかけた
「おはよう、ユリちゃん。ナツメちゃんと、ツバキちゃんのご飯作ってるの。ユリちゃんも食べる?」
「食べるー」
 二人楽しく会話をしながら、夕御飯の準備が進んでいく。
たくさんの食事がテーブルに並んだ頃、お風呂が終わったナツメとツバキが、リビングにやって来た

「あれ?ユリ。起きたの?」
 ご飯を運んでいたユリに声をかけたナツメ。その横を通っていったツバキが、テーブルにあるおかずをつまみ食いしている
「うん。美味しそうな匂いで起きた」
 ナツメに返事をしながら、ツバキの頬を軽くつまんで怒るユリ。気にせず他のおかずにも手を伸ばすツバキを怒っていると、ご飯を持ってきたサクラもリビングにやって来て、急に騒がしくなっていたリビングを見て、テーブルにご飯を置きながらサクラが微笑んでいると、側にあるソファーにナツメが座った。まだおかずの取り合いをしているユリとツバキを呆れながら見ているナツメ。そんなナツメを見て、サクラがクスッと笑って話しかけた
「ご飯の用意出来たから、みんなでご飯食べよう。一緒の方が美味しいもんね」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

靴屋の娘と三人のお兄様

こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!? ※小説家になろうにも投稿しています。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

魅了の対価

しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。 彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。 ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。 アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。 淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

処理中です...