49 / 67
49. 強い思いを感じて
しおりを挟む
「……美味しい」
キッチンで家政婦達が作ったおかずを頬張るミツバ。たくさん作られたご飯を、リビングに全員揃って食べ進めていく
「お口に合って良かったです」
ミツバの言葉を聞いて、微笑みペコリと御辞儀をする家政婦達。サクラ達も美味しそうにお昼ご飯を食べて、あっという間に、たくさんのご飯を食べ終えてしまった
「アルノさん、今日はどうしてここに?」
食後のデザートを食べながら、ユリがアルノに聞いてきた。コーヒーを飲んでいたアルノがカチャンとコップの音を鳴らしてテーブルに置いた
「んー。サクラの家とみんなの顔が見たくなってね」
と言うと同じく食後のデザートを食べていたミツバを見てクスッと微笑んだ
「ミツバちゃんのこと気になるし……」
と言いながら見つめられてデザートを食べていた手が止まり、顔を見られないように少しうつ向いたミツバ。そんなミツバの様子を見てアルノがまたクスッと微笑んだ
「ミツバちゃんの本、少し借りてもいい?」
「あっはい……。でも……」
アルノのお願いに、困ったように返事をすると向かいに座るサクラを見た
「まだあまり、本をうまく出せなくて……」
と、ポツリ呟いたミツバの話にサクラがミツバから目を背けた
「本のことを強くイメージするの」
「強くイメージですか……」
と、アルノからアドバイスをもらって、目をつぶり本を思い出してみる。アルノやサクラ達の視線を感じ焦りつつも一生懸命強くイメージしても、本は現れないまま時間が過ぎていく
「本を待ってる間、ナツメ達の本を見ましょうか」
と、アルノがナツメとユリとツバキに声をかけると、途端に焦りはじめた三人。本を躊躇している様子に、アルノが少し困った表情で三人に話しかけた
「また破れている?」
「いえ、大丈夫なはずです」
と、恐る恐る本を出そうと、ユリがふぅ。と大きく深呼吸した瞬間、ドンッと大きな音がリビングに響いた
「……ビックリした」
音に一番驚いているミツバの前に、本が一冊現れていた。アルノの言われた通りにして、テーブルに現れた見慣れた本を呆然と見ているミツバを見てアルノがクスッと微笑む
「あらあら。少し借りるわね」
と、家政婦がミツバの本を取りアルノに渡すと、その様子を見ていたサクラが不機嫌そうにデザートを食べはじめた
「アルノさん。ミツバの本、何が書かれているんですか?」
楽しそうにミツバの本を読むアルノに、恐る恐るユリが聞くと、パタンと本を閉じミツバを見てクスッと微笑んだ
「んー。それを教える前に、ミツバちゃん」
「はっ、はい!」
「サクラ達と一緒にいて、もう大分経つけど、少しは何か思い出せたかしら?」
「……はい。確かサクラさんと、何かをしていたはずなんです。とても、大切な……」
「そう。まだ全部は思い出せてないのね……」
「アルノさん。その本……」
二人の会話に入ってきたユリの言葉を遮るように、アルノが家政婦を呼んだ。本を持ったままのアルノに不安になってくミツバと、更に不機嫌になってくサクラ。二人の様子に気づいたアルノが楽しそうに笑った
「みんな焦らないで。もう少し紅茶でも飲みながら、ゆっくり話しましょ」
キッチンで家政婦達が作ったおかずを頬張るミツバ。たくさん作られたご飯を、リビングに全員揃って食べ進めていく
「お口に合って良かったです」
ミツバの言葉を聞いて、微笑みペコリと御辞儀をする家政婦達。サクラ達も美味しそうにお昼ご飯を食べて、あっという間に、たくさんのご飯を食べ終えてしまった
「アルノさん、今日はどうしてここに?」
食後のデザートを食べながら、ユリがアルノに聞いてきた。コーヒーを飲んでいたアルノがカチャンとコップの音を鳴らしてテーブルに置いた
「んー。サクラの家とみんなの顔が見たくなってね」
と言うと同じく食後のデザートを食べていたミツバを見てクスッと微笑んだ
「ミツバちゃんのこと気になるし……」
と言いながら見つめられてデザートを食べていた手が止まり、顔を見られないように少しうつ向いたミツバ。そんなミツバの様子を見てアルノがまたクスッと微笑んだ
「ミツバちゃんの本、少し借りてもいい?」
「あっはい……。でも……」
アルノのお願いに、困ったように返事をすると向かいに座るサクラを見た
「まだあまり、本をうまく出せなくて……」
と、ポツリ呟いたミツバの話にサクラがミツバから目を背けた
「本のことを強くイメージするの」
「強くイメージですか……」
と、アルノからアドバイスをもらって、目をつぶり本を思い出してみる。アルノやサクラ達の視線を感じ焦りつつも一生懸命強くイメージしても、本は現れないまま時間が過ぎていく
「本を待ってる間、ナツメ達の本を見ましょうか」
と、アルノがナツメとユリとツバキに声をかけると、途端に焦りはじめた三人。本を躊躇している様子に、アルノが少し困った表情で三人に話しかけた
「また破れている?」
「いえ、大丈夫なはずです」
と、恐る恐る本を出そうと、ユリがふぅ。と大きく深呼吸した瞬間、ドンッと大きな音がリビングに響いた
「……ビックリした」
音に一番驚いているミツバの前に、本が一冊現れていた。アルノの言われた通りにして、テーブルに現れた見慣れた本を呆然と見ているミツバを見てアルノがクスッと微笑む
「あらあら。少し借りるわね」
と、家政婦がミツバの本を取りアルノに渡すと、その様子を見ていたサクラが不機嫌そうにデザートを食べはじめた
「アルノさん。ミツバの本、何が書かれているんですか?」
楽しそうにミツバの本を読むアルノに、恐る恐るユリが聞くと、パタンと本を閉じミツバを見てクスッと微笑んだ
「んー。それを教える前に、ミツバちゃん」
「はっ、はい!」
「サクラ達と一緒にいて、もう大分経つけど、少しは何か思い出せたかしら?」
「……はい。確かサクラさんと、何かをしていたはずなんです。とても、大切な……」
「そう。まだ全部は思い出せてないのね……」
「アルノさん。その本……」
二人の会話に入ってきたユリの言葉を遮るように、アルノが家政婦を呼んだ。本を持ったままのアルノに不安になってくミツバと、更に不機嫌になってくサクラ。二人の様子に気づいたアルノが楽しそうに笑った
「みんな焦らないで。もう少し紅茶でも飲みながら、ゆっくり話しましょ」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
魅了の対価
しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。
彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。
ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。
アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。
淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる