50 / 67
50. 二人の叶わない願いごと
しおりを挟む
「みんなで飲むと落ち着くわね」
ふぅ。と一息ついて微笑むアルノ。側で紅茶を飲んでいたユリが答えるようにゆっくりと頷いた
「ミツバちゃん、体調大丈夫?眠くない?」
「大丈夫だよ。ありがとう」
本が現れてから元気のないミツバを心配するサクラに、ぎこちない笑顔で返事をしているミツバ。そんな二人の様子を、ミツバの本を持ったままのアルノがニコニコと笑ってみている
「あの、アルノさん……あの……」
一番最初に紅茶を飲み干したナツメが、アルノに話を聞こうと恐る恐る声をかけた
「ミツバちゃんの本は主に思い出が書いてあるわね」
と、ナツメの話に答えるようにテーブルにミツバの本を置き、ページをめくるアルノ。そのページを見ようと、ユリとツバキが少し前のめりになって本を見ている
「思い出ですか?」
「まあ、ホンの少し魔術のことも書いてあるけど、ほぼ全部夢で見たことね」
「夢の記憶……」
と、アルノの話にミツバが、ポツリ呟いて夢のことを思い出そうと考え込みはじめた
「ミツバの本は、何が書いているんですか?」
「サクラとの思い出ね。まあ、大体私も知ってる思い出だけど」
「私達を忘れてたこととかは……」
「残念ながら、書いてないわ」
ユリとナツメの質問に答えていくアルノ。すると、ミツバの本の話が始まってから、話に入らずうつ向いているサクラにツバキが気づいた
「サクラ、大丈夫?」
ツバキが声をかけても、無言で返事をしないサクラ。そんなサクラの様子にホンの一瞬、リビングが静かになった
「サクラに聞きたいことが、たくさんあるだろうけど、その前に……」
「アルノさんは、二人が何かしたのか、何が起こったのか知ってるんですか?」
リビングに流れる嫌な雰囲気を変えようと話はじめたアルノ。その話を遮り問いかけたユリ。話を途中で止められてアルノが、ふぅ。とため息ついた
「いいえ、知らないわ」
「じゃあ……」
「ただ、二人が何かをしようと願ったことはわかるわ。それが例え叶わないことだとしても……」
とアルノが言うと、サクラとミツバに目を向けたアルノ。ナツメやユリ、ツバキだけでなく、家政婦達も二人を見つめている。全員の視線を感じてうろたえるミツバに対し、サクラはまだうつ向いたまま。またリビングに静かな時間が流れてく。すると、このまま待っても二人とも何も言わないと思ったアルノがミツバに本を渡して、家政婦達を呼んだ
「さてと、そろそろ帰ろうかしら。みんな。また家に遊びに来てね」
ふぅ。と一息ついて微笑むアルノ。側で紅茶を飲んでいたユリが答えるようにゆっくりと頷いた
「ミツバちゃん、体調大丈夫?眠くない?」
「大丈夫だよ。ありがとう」
本が現れてから元気のないミツバを心配するサクラに、ぎこちない笑顔で返事をしているミツバ。そんな二人の様子を、ミツバの本を持ったままのアルノがニコニコと笑ってみている
「あの、アルノさん……あの……」
一番最初に紅茶を飲み干したナツメが、アルノに話を聞こうと恐る恐る声をかけた
「ミツバちゃんの本は主に思い出が書いてあるわね」
と、ナツメの話に答えるようにテーブルにミツバの本を置き、ページをめくるアルノ。そのページを見ようと、ユリとツバキが少し前のめりになって本を見ている
「思い出ですか?」
「まあ、ホンの少し魔術のことも書いてあるけど、ほぼ全部夢で見たことね」
「夢の記憶……」
と、アルノの話にミツバが、ポツリ呟いて夢のことを思い出そうと考え込みはじめた
「ミツバの本は、何が書いているんですか?」
「サクラとの思い出ね。まあ、大体私も知ってる思い出だけど」
「私達を忘れてたこととかは……」
「残念ながら、書いてないわ」
ユリとナツメの質問に答えていくアルノ。すると、ミツバの本の話が始まってから、話に入らずうつ向いているサクラにツバキが気づいた
「サクラ、大丈夫?」
ツバキが声をかけても、無言で返事をしないサクラ。そんなサクラの様子にホンの一瞬、リビングが静かになった
「サクラに聞きたいことが、たくさんあるだろうけど、その前に……」
「アルノさんは、二人が何かしたのか、何が起こったのか知ってるんですか?」
リビングに流れる嫌な雰囲気を変えようと話はじめたアルノ。その話を遮り問いかけたユリ。話を途中で止められてアルノが、ふぅ。とため息ついた
「いいえ、知らないわ」
「じゃあ……」
「ただ、二人が何かをしようと願ったことはわかるわ。それが例え叶わないことだとしても……」
とアルノが言うと、サクラとミツバに目を向けたアルノ。ナツメやユリ、ツバキだけでなく、家政婦達も二人を見つめている。全員の視線を感じてうろたえるミツバに対し、サクラはまだうつ向いたまま。またリビングに静かな時間が流れてく。すると、このまま待っても二人とも何も言わないと思ったアルノがミツバに本を渡して、家政婦達を呼んだ
「さてと、そろそろ帰ろうかしら。みんな。また家に遊びに来てね」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
魅了の対価
しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。
彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。
ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。
アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。
淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる