56 / 67
56. 光と共に溢れる想い
しおりを挟む
「でも、私は願いを覚えてないのに、今から叶えるなんて出来ないよ」
「大丈夫。私の動きを見ててくれればいいから……」
ニコニコと微笑むサクラに、また少しずつ後退りしてくミツバ。離れているのに気づいていてもサクラは後を追わずただ微笑んでいる
「ただちょっと、怖くて嫌かもしれないけれど、ミツバちゃんなら大丈夫だからね」
と言うとミツバに背を向けて、少しうつ向いたサクラ。急に動かず喋らなくなったサクラを心配して、恐る恐るサクラの方に歩きだしたミツバ。声をかけようとした瞬間、サクラが突然、微笑み振り向いた
「私、本を書くの嫌いだったの」
再び話はじめたサクラ。近づいていた足を止め、戸惑うミツバ
「お母さんは、本を書けってうるさいし、ナツメちゃん達はお母さんの為にってうるさいし、みんな、本のためって毎日あっちこっち忙しそうに動いていたから」
と話ながら、本をぎゅっと抱きしめ空を見上げた
「ミツバちゃんだけは違った。本を書く私じゃなく、友達としていつも遊んでくれてた」
と、またミツバを見てニコニコと微笑むサクラに、ミツバは更に戸惑うばかり。ミツバの気持ちとは裏腹にサクラの話は続いていく
「本を書くって決めたのも私のため。生まれてからずっと本を書く運命から離れて、ずっと一緒に笑って遊べるようにって。……けど、願いは叶ってない。私の願いが叶っていない。だから……」
と言うと、サクラの周りに浮かんでいた本達が、慌ただしくバサバサと音をたててサクラの周りを動き回る。サクラが抱きしめていた本がサクラから離れて、周りに浮かぶ本の中に紛れていった。その様子を見ていたミツバ。不安そうにサクラの様子を見ていると、サクラがふわり浮かぶ本からまた一冊を取り、パラパラとページをめくりはじめた
「ナツメ、ツバキ!あれ、ほら!」
まだサクラとミツバを探していたナツメ達。暗い景色の中に、突然ポツンと現れた光にユリが気づいて指差した
「なにあの光……」
ナツメとツバキも光に気づいて驚いていると、その光がどんどんと大きくなっていく
「サクラ達かも……急いで行こう!」
「ツバキ。ほら早く!」
先に光に向かっていったナツメ。ユリもツバキと手を繋いでナツメの後を追っていく
「サクラさん……これって……」
月を背にしたサクラの姿に驚くミツバ。その表情を見たサクラがクスッと微笑んだ
「思い出した?この光景は二回目だね」
と言うと少し振り向いて月を見たサクラ。ミツバもサクラにつられて同じく月を見た
「今日も、月が綺麗だね。ミツバちゃん」
「サクラさん……私……」
とサクラが話しかけると、後退りしていたミツバが、ポツリと呟きながらペタンと地面に座りうつ向いた。怯え震えるミツバに心配する様子もなく、サクラはただ微笑んでいる
「大丈夫。今度は必ず叶えてみせるから、少しだけ我慢してね」
「大丈夫。私の動きを見ててくれればいいから……」
ニコニコと微笑むサクラに、また少しずつ後退りしてくミツバ。離れているのに気づいていてもサクラは後を追わずただ微笑んでいる
「ただちょっと、怖くて嫌かもしれないけれど、ミツバちゃんなら大丈夫だからね」
と言うとミツバに背を向けて、少しうつ向いたサクラ。急に動かず喋らなくなったサクラを心配して、恐る恐るサクラの方に歩きだしたミツバ。声をかけようとした瞬間、サクラが突然、微笑み振り向いた
「私、本を書くの嫌いだったの」
再び話はじめたサクラ。近づいていた足を止め、戸惑うミツバ
「お母さんは、本を書けってうるさいし、ナツメちゃん達はお母さんの為にってうるさいし、みんな、本のためって毎日あっちこっち忙しそうに動いていたから」
と話ながら、本をぎゅっと抱きしめ空を見上げた
「ミツバちゃんだけは違った。本を書く私じゃなく、友達としていつも遊んでくれてた」
と、またミツバを見てニコニコと微笑むサクラに、ミツバは更に戸惑うばかり。ミツバの気持ちとは裏腹にサクラの話は続いていく
「本を書くって決めたのも私のため。生まれてからずっと本を書く運命から離れて、ずっと一緒に笑って遊べるようにって。……けど、願いは叶ってない。私の願いが叶っていない。だから……」
と言うと、サクラの周りに浮かんでいた本達が、慌ただしくバサバサと音をたててサクラの周りを動き回る。サクラが抱きしめていた本がサクラから離れて、周りに浮かぶ本の中に紛れていった。その様子を見ていたミツバ。不安そうにサクラの様子を見ていると、サクラがふわり浮かぶ本からまた一冊を取り、パラパラとページをめくりはじめた
「ナツメ、ツバキ!あれ、ほら!」
まだサクラとミツバを探していたナツメ達。暗い景色の中に、突然ポツンと現れた光にユリが気づいて指差した
「なにあの光……」
ナツメとツバキも光に気づいて驚いていると、その光がどんどんと大きくなっていく
「サクラ達かも……急いで行こう!」
「ツバキ。ほら早く!」
先に光に向かっていったナツメ。ユリもツバキと手を繋いでナツメの後を追っていく
「サクラさん……これって……」
月を背にしたサクラの姿に驚くミツバ。その表情を見たサクラがクスッと微笑んだ
「思い出した?この光景は二回目だね」
と言うと少し振り向いて月を見たサクラ。ミツバもサクラにつられて同じく月を見た
「今日も、月が綺麗だね。ミツバちゃん」
「サクラさん……私……」
とサクラが話しかけると、後退りしていたミツバが、ポツリと呟きながらペタンと地面に座りうつ向いた。怯え震えるミツバに心配する様子もなく、サクラはただ微笑んでいる
「大丈夫。今度は必ず叶えてみせるから、少しだけ我慢してね」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
魅了の対価
しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。
彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。
ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。
アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。
淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる