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57. みんなの本を集めて
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「く、苦しい……」
胸を押さえて体を丸めて耐えるミツバ。助けることなく苦しむミツバを、ニコニコと微笑んで見つめていたサクラがミツバに手のひらを向けた。すると、ミツバの意思とは関係なく、ふわりと浮かびだしたミツバの本。勝手にふわふわと動いてゆっくりとサクラのもとに向かっていく
「本が……」
手を伸ばして本を取ろうとするが体が動かず、少しも触れることなく、本はサクラの手元に着いた
「この本は、ミツバちゃんのじゃないよ。元々は私の本」
と、ミツバの本をめくり話すサクラ。本がサクラの手元に届いて、ほんの少し苦しさが減り深呼吸していたミツバが、サクラの発言に首をかしげた
「でも、ずっと私の家にあって、サクラさんが勝手に持って帰って……」
「ミツバちゃんが私達の記憶を無くしてから、私には本が来なくなったの」
「願いが少しだけでも叶ったと思って喜んでいたのに、ミツバちゃんの元に本が届いて元に戻るのかなって不安だったんだよ。ナツメちゃん達も、本を書く魔力のあるミツバちゃんの力を必要としてたからね」
「サクラさんの願いは……」
「サクラ!ミツバ!」
ミツバの話を遮るように、突然聞こえてきた声。その声がする方に振り向くと、息を切らして空から降りてくるナツメ達がいた
「ナツメちゃん……ユリちゃんにツバキちゃんも……よくここが分かったね」
三人の姿を見て嬉しそうなサクラ。その一方、ナツメ達はサクラとミツバの光景に戸惑い、ユリとツバキが手を繋いで、呆然と言葉を失っている
「やっぱり、本で何かしたんでしょ?何をしたの?」
ナツメが大声でサクラに向かって叫ぶ。怒った表情のナツメに対し、サクラは変わらずずっと微笑んでいる
「んー。ナツメちゃんも喜ぶことだよ。みんなだって、願うことだよ」
「なにそれ……」
ニコニコと笑って答えるサクラに呆れるナツメ。すると、ナツメ達が大事そうに本を持っているのに気づいたサクラが、ふと何か思い付いた顔をした
「そうだ。みんなの本も使わなきゃね」
と言うと、ナツメ達が持っていた本が、勝手にふわりと浮かんで、サクラのもとに向かっていく
「えっ……なんで……」
慌てて本を取り戻そうと走り出すナツメ達。だが、突然息苦しくなり、三人ともペタンとその場に座り込んでしまった
。その間にサクラの周りに浮かぶ本達に紛れたナツメ達の三冊の本。周りに浮かぶ、たくさんの本を見つめ、サクラが歯をグッと強く噛み締めた
「こんな本はもう消さなきゃ。今もこれからも、ずっと要らないよね」
胸を押さえて体を丸めて耐えるミツバ。助けることなく苦しむミツバを、ニコニコと微笑んで見つめていたサクラがミツバに手のひらを向けた。すると、ミツバの意思とは関係なく、ふわりと浮かびだしたミツバの本。勝手にふわふわと動いてゆっくりとサクラのもとに向かっていく
「本が……」
手を伸ばして本を取ろうとするが体が動かず、少しも触れることなく、本はサクラの手元に着いた
「この本は、ミツバちゃんのじゃないよ。元々は私の本」
と、ミツバの本をめくり話すサクラ。本がサクラの手元に届いて、ほんの少し苦しさが減り深呼吸していたミツバが、サクラの発言に首をかしげた
「でも、ずっと私の家にあって、サクラさんが勝手に持って帰って……」
「ミツバちゃんが私達の記憶を無くしてから、私には本が来なくなったの」
「願いが少しだけでも叶ったと思って喜んでいたのに、ミツバちゃんの元に本が届いて元に戻るのかなって不安だったんだよ。ナツメちゃん達も、本を書く魔力のあるミツバちゃんの力を必要としてたからね」
「サクラさんの願いは……」
「サクラ!ミツバ!」
ミツバの話を遮るように、突然聞こえてきた声。その声がする方に振り向くと、息を切らして空から降りてくるナツメ達がいた
「ナツメちゃん……ユリちゃんにツバキちゃんも……よくここが分かったね」
三人の姿を見て嬉しそうなサクラ。その一方、ナツメ達はサクラとミツバの光景に戸惑い、ユリとツバキが手を繋いで、呆然と言葉を失っている
「やっぱり、本で何かしたんでしょ?何をしたの?」
ナツメが大声でサクラに向かって叫ぶ。怒った表情のナツメに対し、サクラは変わらずずっと微笑んでいる
「んー。ナツメちゃんも喜ぶことだよ。みんなだって、願うことだよ」
「なにそれ……」
ニコニコと笑って答えるサクラに呆れるナツメ。すると、ナツメ達が大事そうに本を持っているのに気づいたサクラが、ふと何か思い付いた顔をした
「そうだ。みんなの本も使わなきゃね」
と言うと、ナツメ達が持っていた本が、勝手にふわりと浮かんで、サクラのもとに向かっていく
「えっ……なんで……」
慌てて本を取り戻そうと走り出すナツメ達。だが、突然息苦しくなり、三人ともペタンとその場に座り込んでしまった
。その間にサクラの周りに浮かぶ本達に紛れたナツメ達の三冊の本。周りに浮かぶ、たくさんの本を見つめ、サクラが歯をグッと強く噛み締めた
「こんな本はもう消さなきゃ。今もこれからも、ずっと要らないよね」
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