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32. 朧月夜
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「ここで、何をするんですか?」
指令室でみんな集まった後、移動して着いた場所は、トレーニング場。カエデとミオリ、ツミキを部屋に残して、ゼフド達はトレーニング場が見える隣の部屋で、三人の様子を確認している。不安そうなツミキの質問にゼフドが、マイクを通して答えた
「ツミキ君に、うたってもらう」
予想外の提案に戸惑うツミキ。その隣でミオリがまたゼフド達を睨んでいる
「大丈夫だ。予想では現時点で、ツミキ君に力はないと思われる。ただ、調べないと始まらないからな。好きなうたを、うたってくれ」
「……でも」
どうしようかとうろたえていると、カエデが後ろからツミキに抱きつく
「ダメだよ。予想が外れて、ツミキに何かあったら……」
「そうです。予期せぬことが起これば……」
ツミキにうたう事を止めるカエデと、ゼフド達に向かって
叫んでいる。そんな三人の様子にもただ見つめ、ツミキがうたうのを待っている
「……大丈夫。私、うたいます」
「でも……」
止めるカエデの隣、一歩前に出て、か細い声でうたいだす。緊張してうたい始めは、小さい声でうたっていたが、少しずつ慣れてきて、段々と聞こえてきたうた声に、みんな聞き入ってく
「このうた……」
カエデの知っているうたを、楽しそうにうたうツミキ。二人や、別部屋にいるルモカ達も聞き入っている
「……うたは録れたか?」
「はい。もう大丈夫です」
特に何事も起きないまま、ツミキのうたが終わり、ホッとした様子で二人に照れ笑いを見せていると、カエデがツミキの手を握ってきた
「ツミキ、一緒にうたおう」
「でもカエデちゃんは、うたったら……」
「大丈夫。大声で殴ったり飛んだりしなきゃ、多分大丈夫と思うよ。ね、ミオリさん」
「ああ、多分な」
ミオリも二人の側に来て、微笑みツミキとカエデの手を握る
「戦いの時以外にうたうのは久しぶりだ。私も一緒にうたってもいい?」
「……はい!」
さっきツミキが唄っていたうたを、三人楽しそうにうたう。その途中、突然カエデがツミキを背負い、トレーニング場を右へ左へと飛び回る。最初は戸惑っていたツミキも慣れてはしゃぎ、ミオリも一緒に飛びながら、うたい続けてく
「三人とも楽しそう。ミオリちゃんの楽しそうな顔、久しぶりね」
「そうだな。本来ならこうあるべきだな……」
ルモカ達がいる別部屋では、大人達が三人のうた声に聞き入っていた。うたも終わりに近づいてきた頃、部屋の外からバタバタと聞こえてくる音。何事かとゼフド達が振り向いたとき、隊員が慌てて部屋に入り伝えてきた
「避難勧告が出ました!シキとシンクという二人が町に現れています!」
指令室でみんな集まった後、移動して着いた場所は、トレーニング場。カエデとミオリ、ツミキを部屋に残して、ゼフド達はトレーニング場が見える隣の部屋で、三人の様子を確認している。不安そうなツミキの質問にゼフドが、マイクを通して答えた
「ツミキ君に、うたってもらう」
予想外の提案に戸惑うツミキ。その隣でミオリがまたゼフド達を睨んでいる
「大丈夫だ。予想では現時点で、ツミキ君に力はないと思われる。ただ、調べないと始まらないからな。好きなうたを、うたってくれ」
「……でも」
どうしようかとうろたえていると、カエデが後ろからツミキに抱きつく
「ダメだよ。予想が外れて、ツミキに何かあったら……」
「そうです。予期せぬことが起これば……」
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叫んでいる。そんな三人の様子にもただ見つめ、ツミキがうたうのを待っている
「……大丈夫。私、うたいます」
「でも……」
止めるカエデの隣、一歩前に出て、か細い声でうたいだす。緊張してうたい始めは、小さい声でうたっていたが、少しずつ慣れてきて、段々と聞こえてきたうた声に、みんな聞き入ってく
「このうた……」
カエデの知っているうたを、楽しそうにうたうツミキ。二人や、別部屋にいるルモカ達も聞き入っている
「……うたは録れたか?」
「はい。もう大丈夫です」
特に何事も起きないまま、ツミキのうたが終わり、ホッとした様子で二人に照れ笑いを見せていると、カエデがツミキの手を握ってきた
「ツミキ、一緒にうたおう」
「でもカエデちゃんは、うたったら……」
「大丈夫。大声で殴ったり飛んだりしなきゃ、多分大丈夫と思うよ。ね、ミオリさん」
「ああ、多分な」
ミオリも二人の側に来て、微笑みツミキとカエデの手を握る
「戦いの時以外にうたうのは久しぶりだ。私も一緒にうたってもいい?」
「……はい!」
さっきツミキが唄っていたうたを、三人楽しそうにうたう。その途中、突然カエデがツミキを背負い、トレーニング場を右へ左へと飛び回る。最初は戸惑っていたツミキも慣れてはしゃぎ、ミオリも一緒に飛びながら、うたい続けてく
「三人とも楽しそう。ミオリちゃんの楽しそうな顔、久しぶりね」
「そうだな。本来ならこうあるべきだな……」
ルモカ達がいる別部屋では、大人達が三人のうた声に聞き入っていた。うたも終わりに近づいてきた頃、部屋の外からバタバタと聞こえてくる音。何事かとゼフド達が振り向いたとき、隊員が慌てて部屋に入り伝えてきた
「避難勧告が出ました!シキとシンクという二人が町に現れています!」
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