シンフォニー・レイ

シャオえる

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33. 知らないうたを聞いたなら

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「ツミキはどこ?」
 郊外から少し離れた場所で、シキとカエデが戦っていた。ミオリから離れ、シキからの攻撃から逃げるカエデと後を追かけ叫ぶシキ。大分逃げ回り辿り着いた、木々の多い公園で二人睨みあう
「聞いてどうするの?」
「お父様もツミキを必要としている。だから、連れて帰るんだ!」 
「お父様も……?」
「あ、いやそれは……」
 カエデが聞き返した言葉に、あたふたしていると後ろからクスクスと笑う声が聞こえてくる
「シキ。会いたいのは分かるけど、焦りすぎよ」
 二人を追いかけていたシンクが、シキの様子に微笑んでいた
「と、とりえず、どこにいる?」
「教えるわけないじゃない」

「お父様とは、なんだ?なぜツミキを?」
 やっと追い付いたミオリが、カエデの隣でシンクを睨む
「それは、私達も教えるわけにはいかないの」
 二人に微笑むシンクと、隣で頷くシキ。まだ心身ともに余裕そうな二人を見て、息を切らしていたミオリが、大きく深呼吸をする
「ならば、力ずくでも聞くまで!」

「シキちゃん……」
 指令室のモニターから、カエデ達の状況を見ているツミキ。バタバタと慌ただしい指令室で、ルモカが隣で寄り添っている
「ねえ、ツミキちゃん」
 名前を呼ばれてルモカの方を見ると、ルモカは目線はモニターを見つめたまま、ツミキに質問をしていく
「シキって子の声に聞き覚えとかある?」
「ないですけど……」
「シンクって女の人の歌声も?」
「はい。あの日に初めて会いましたし……聞いたこともないと思います」

「あの……なにか?」
 答えを聞いて黙ってしまったルモカに話しかけた時、ノア隊員がゼフドに向かって叫ぶ
「シンクという女性のうた声が録れました」
「よし、急いで解析を……」
 

「カエデちゃん、ミオリさん……」
「ツミキ……」 
 指令室と繋がっているイヤホンから聞こえてきた声に、思わず名前を呟く
「そうだ。ツミキはどこにいる?」
 シキがカエデを睨む。ゆっくり立ち上がり戦闘体制に戻るカエデ。ちらりとミオリの居場所を確認すると、少し離れた場所で、シンクに押されていた
「だから、教えるわけには……」
 カエデの言葉を聞いて、すぅ。と深呼吸をするシキ。前に聞いたうたが聞こえてくる。カエデも、シキに負けじと声を上げ、うたをうたう

「カエデ!これ以上うたっては……!」
 聞こえてくる二人のうたに止めにはいるミオリ。シンクも、二人の様子に慌てて止めにはいってく。指令室も更に慌ただしくなっていく。二人のうたが重なり、その衝撃を受け指令室のモニターが写らなくなってしまった。呆然とするツミキと、バタバタと救護要請のため医務室へ向かうルモカと、緊急事態に叫ぶゼフド
「総員、急いで二人の救護に向かえ!」
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