シンフォニー・レイ

シャオえる

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52. 目覚めれば優しい人達

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「ねえ、知ってる?あの子……」
 クスクスと笑う声が聞こえる。女子達が学校の教室の入り口に集まって話す視線の先には、一人ぼっち教室の机に座っているツミキ。話し声や視線に気づいても見て見ぬふり
「両親いないんだって!ヤバくない?」
「マジで?なんで?」
「さぁ?噂ではヤバイ人達って聞いたよ」
「えー?近づかない方がいいんじゃね?」
 ツミキにわざと聞こえるように話す女子達。クスクスと笑う声に耐えきれず、まだ一時間目の授業が終わったばかりだが、急いで帰る準備を始めだした。教室にいる人達は見て見ぬふりで、女子達はそんなツミキを見てまだクスクス笑う。準備を終えたツミキは、バタバタと音をたて、学校から出ていってしまった
「つ、疲れた……」
 走り、息を切らして家に帰ってきたツミキ。そのまま、ベットに倒れて無造作に置かれたテレビのリモコンを探して、テレビをつけると、情報番組が流れ最近多い避難勧告についての疑問や情報が流れていた。ボーッと流し見ていると、今度は最新スイーツの特集が始まった
「パフェかぁ……」
「この町には、こんな美味しそうなの無いなぁ、良いなぁ……」
 美味しそうなパフェが食べれないと思い、しょんぼりしている。と思っていると、突然起きてカレンダーを確認して、ウンウンと一人頷いている
「行ってみよ!明日学校休みだし、そうしよ!」




「あっ!ツミキ!!」
 突然ハッと目を開けたツミキ。結局、医務室にすぐ戻ってきて隣に座っていたカエデが大声で名前を呼ぶ
「カエデ……ちゃん?」
 ゆっくり体を起こすツミキ。ちょっとふらついているのに、カエデが勢いよく抱きついた
「ツミキ、おはよう」
「ミオリさん。おはようございます」
 カエデの隣にいたミオリは落ちついてツミキに声をかけて、ほっとした表情
「あら、良かった。目が覚めたのね」
 騒がしい声が聞こえて、隣で隊員の手当てをしていたルモカが三人の元に来ると、カエデをツミキから離して体調の様子を見始めてく
「うん。前より大分顔色も良いし、反応も良いわね。良かったわ」
 元気そうなツミキに安堵するルモカとミオリと、抱きついて離れないカエデ。ちょっと抱きつく力が緩んだ時に、ツミキが、カエデにペコリと頭を下げた
「ごめんなさい……私、来ちゃダメって言っていたのに……」
「ううん。そんなのもういいの。元気になって本当に良かった!」
 またツミキを強く抱きしめ大泣きするカエデ。さっきよりも力が強すぎて離れられず、苦しそうにしているとツミキのお腹が、ぐぅ。となった
「あっ……ごめんなさい」
 恥ずかしくて顔をどうにか隠そうとするツミキ。それを見て、ふふっとルモカが笑う
「まっ、元気になった証拠ね。もうちょっと検査してから、みんなでご飯食べに行きなさい」
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