シンフォニー・レイ

シャオえる

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71. その寝姿は私だけに

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「寝ちゃった……久々に、はしゃいで疲れたのね」
 シキの部屋で、一人言を呟くシンク。ベットで寝ているシキに毛布をかけると、頭を撫でながら寝息を聞いて、ふふっと微笑む
「お父様は、シキの事を分かっているのかしら……」
 シキの頭を撫で続けながら、ふと今日の出来事を思い出す。二人きりの静かな時間が流れていると、コンコンと扉を叩く音が聞こえる。シンクが扉を開けに行こうとすると、ゆっくりと扉が開いた
「シンク、シキ。いるかい?」
「お父様……」
 姿が見えて、焦るシンク。一人部屋に入ると、シンクの回りに落ちているお菓子の袋の山を見つけて、クスクスと笑う
「おや……。シンク、いくらシキが可愛いといっても甘やかしすぎはダメだよ」
「申し訳ありません……すぐに片付けを……」
 袋を片付けている側で、キィと音が聞こえた。音に気づいて振り返ると、車椅子に座った女性を連れて部屋に入ってきていた
「お母様……お体は大丈夫なのですか?」
 姿を見るなり急いで駆け寄るシンク。車椅子の前に来ると目線を合わせ話しかけても、女性は目を瞑ったままシンクの声には無反応のまま
「ああ、二人に会いたがっていたから、一緒に来たけれど……シキは寝ているのかい?」
 代わりにシンクに話しかけて、ベットに寝ているシキを見ると、騒ぎに気づいていないシキが熟睡していた
「今、眠ったばかりで……すぐに起こします」
「いや、ムリに起こすのは悪いから……それよりちょっと散歩して戻ってくるよ……すまないが、僕らの夕御飯を頼むよ」
 シキを起こすため、寝ているベットへ向かおうと立ち上がったシンクを止めて、ゆっくり車椅子を押し部屋を後にする
「分かりました。お二人ともお気をつけて……」
 少し暗い廊下を歩いている後ろ姿に話しかける。姿が見えなくなると、音を立てないようにゆっくりと部屋の扉を閉めて、ふぅ。とため息をつく

「片付けなきゃ……」
 ベットの回りに床に散らばったお菓子の袋を片付けてく。その側でシキは、まだ寝ている。時々、寝ている姿を見ては微笑んでいると、モゾモゾと寝返りを打とうと動き出す
「お菓子は、もう食べれません……」
 寝返りをうちながら、大きな寝言を言うシキ。その寝言にクスクスと笑うシンク。片付けていた手を止めて、シキの頭を優しく撫でる
「そうね、いつまでも一緒にお菓子を食べれる日が続くといいわね。シキ」
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