シンフォニー・レイ

シャオえる

文字の大きさ
88 / 110

88. 怒る理由は、誰のために

しおりを挟む
「そうか……あちらは良くない様子か」
「はい。なので早急に居場所を探さねばならないかと」
 指令室でゼフドに報告をしているミオリ。二人の側で話を聞いていた隊員達も、話を聞いて深刻そうな表情になっている
「……分かった。シキ君が走っていったという場所付近を重点的に探そうか。徒歩ということは、あまり遠い場所ではないとは思うからな」
 ゼフドの話しに頷く隊員達。話を聞き終えると再び各自の仕事を再開していく
「ところで、ツミキ君とカエデ君は?」
 一人で来たミオリに問いかけるゼフド。その問いかけに言いたくなさそうな顔になったミオリ。はぁ。と一つため息をついて、話し始める
「……二人は、今医務室にいますよ」





「はい。治療終わり」
 医務室では、怪我をしたツミキの治療が終わり、ベットに座るツミキの周りには、治療の手伝いをしていたカエデと、治療を終えて片付けをするルモカ達がいた
「もー。勝手に走って、勝手にコケて怪我して……心配するじゃない」
「……ごめんなさい」
 ツミキの隣に座わりながら話すカエデに小さな声で謝るツミキ。その返事を聞いたルモカが片付けながら微笑む
「二人とも、何かあったの?」
 明るく聞くルモカの声に、ツミキがギュッと手に力を込めた
「ミオリさんに怒られちゃって……」

「ミオリさんとカエデちゃんは、私を守るためいるのにって……ごめんなさい。勝手に行動しちゃって」
 話しながら、うつ向いてくツミキ。カエデも何も言えず、静かになってしまった医務室。すると突然、ルモカがツミキの頬っぺたをムニッと軽く引っ張った
「そうね、あなたの姿が見えなくなったら私だって怒るわ」
 笑って話すルモカに戸惑うツミキ。その顔を見てまた微笑むと、パンっと手を一回叩いて全員の注目を集める
「ツミキちゃん。反省するならお部屋でね。暗い雰囲気は、この部屋には必要ないから」
 と、ルモカが話している傍ら、また落ち込み始めたツミキを見てグイッと腕をつかんで部屋の入り口へと引っ張ていく
「ほらほら、ミオリちゃんはきっと、指令室で二人が笑顔で迎えに来るのを待ってるわよ。さっさと行く!」
 慌ててカエデもツミキと一緒に医務室から出ていく。ゆっくりと扉が閉まると、ふぅ。と大きなため息をついた

「ルモカさん、無理矢理過ぎますよ」
「仕方ないでしょ。落ち込む姿なんて見たくないのよ」
 ルモカの行動に呆れ話すメルナ。その隣を歩いて自分の椅子に座ると、机の引き出しに入れていたツミキ達の資料を出すと、パラパラと読みながら、表情が少し暗くなっていく
「あの子達三人は、希望の子だものね……」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

靴屋の娘と三人のお兄様

こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!? ※小説家になろうにも投稿しています。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

処理中です...