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90. 嫌なことは残さないように
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「ツミキちゃん、勝手な行動するなって言われたって」
コツコツと足音を立てて話すルモカ。話し相手であるゼフドの側へと歩いていく
「ミオリちゃんに怒られたって、落ち込んでいたわ」
静かだった指令室に突然現れたルモカの声に微笑むゼフド
「……そうか。あの子も大きくなったな」
深夜、隊員達が休んでいる時間、二人きりの話し声がよく響く
「明日はどう?探せそうなの?」
「さあな。あちらもなにか手を打つかもしれないからな。明日次第だ」
ゼフドの話が終わると、静かな指令室に戻り、時々ゼフドが資料を開く音と、ルモカがパソコンを触るが聞こえる。資料を全部読み終えたゼフドが、ルモカに話しかける
「ルモカ、お前も休め。もしかしたら、明日会うかもしれないからな」
疲れた表情で話すゼフドに、その顔を見たルモカがふふっと笑う
「そうね。でも、それはお互い様よ……」
「うたが聞こえない……」
車椅子を前にして呆然と座り、小さく呟く声が聞こえる。一人うつ向いていると、コンコンと部屋の扉を叩く音のあと、ゆっくりと扉が開くと、シキとシンクが二人分の食事を持って入ってきた
「お父様……お母様も起きて大丈夫なのですか?」
テーブルに食事を置きながらシンクが声をかける
「ああ、もう大丈夫だよ」
笑って答えていると、シンクの後ろ隠れるように食事を置いているシキに気づいた
「シキ、心配かけてすまないね」
気づかれないようにしていたシキに、優しい声で声をかけるが、気づかれてビクッと一瞬たじろぐ。そのせいでお茶を溢しかけ、あたふたするシキを見て、ふふっと微笑む
「ところで二人とも、頼みがあるんだが……」
「はい。なんなりと……」
シンクが答えると、部屋の窓辺に移動し外を眺める
「夜も遅い時間だが、今からこの家の掃除を頼めるかね?」
「掃除ですか?構いませんが、なぜ?」
予想外の頼みに、不思議がるシンク。外を見て、また笑い答えた
「明日はお客様が来る……そんな気がするんだ」
その言葉に、慌ててまたシンクの後ろに隠れるシキ。その言葉のあと、三人とも何も言わず不穏な雰囲気が急に流れ始めた
「……分かりましたわ。出来る限り掃除をしておきます」
しばらくしてシンクが返事をすると、ゆっくりと車椅子を引きながら、二人が用意した食事が置かれたテーブルへと歩いていく
「それじゃ、食事を頂くよ。悪いが頼んだよ」
コツコツと足音を立てて話すルモカ。話し相手であるゼフドの側へと歩いていく
「ミオリちゃんに怒られたって、落ち込んでいたわ」
静かだった指令室に突然現れたルモカの声に微笑むゼフド
「……そうか。あの子も大きくなったな」
深夜、隊員達が休んでいる時間、二人きりの話し声がよく響く
「明日はどう?探せそうなの?」
「さあな。あちらもなにか手を打つかもしれないからな。明日次第だ」
ゼフドの話が終わると、静かな指令室に戻り、時々ゼフドが資料を開く音と、ルモカがパソコンを触るが聞こえる。資料を全部読み終えたゼフドが、ルモカに話しかける
「ルモカ、お前も休め。もしかしたら、明日会うかもしれないからな」
疲れた表情で話すゼフドに、その顔を見たルモカがふふっと笑う
「そうね。でも、それはお互い様よ……」
「うたが聞こえない……」
車椅子を前にして呆然と座り、小さく呟く声が聞こえる。一人うつ向いていると、コンコンと部屋の扉を叩く音のあと、ゆっくりと扉が開くと、シキとシンクが二人分の食事を持って入ってきた
「お父様……お母様も起きて大丈夫なのですか?」
テーブルに食事を置きながらシンクが声をかける
「ああ、もう大丈夫だよ」
笑って答えていると、シンクの後ろ隠れるように食事を置いているシキに気づいた
「シキ、心配かけてすまないね」
気づかれないようにしていたシキに、優しい声で声をかけるが、気づかれてビクッと一瞬たじろぐ。そのせいでお茶を溢しかけ、あたふたするシキを見て、ふふっと微笑む
「ところで二人とも、頼みがあるんだが……」
「はい。なんなりと……」
シンクが答えると、部屋の窓辺に移動し外を眺める
「夜も遅い時間だが、今からこの家の掃除を頼めるかね?」
「掃除ですか?構いませんが、なぜ?」
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「それじゃ、食事を頂くよ。悪いが頼んだよ」
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