シンフォニー・レイ

シャオえる

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95. 素敵な人がいるから

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「うたを……ですか?」
「そうだよ。素敵なうたを聞かせておくれ」
 恐る恐る聞き返すツミキに微笑む
「でも……私は……」
「ツミキは、うたいません。うたを唄う理由はないです」
 ツミキが何か言おうとした時、前に出て話すミオリ。カエデもツミキの前に出て、ミオリと隣に並びツミキを守ろうとしている
「……君達は、うたの力を知っているのかい?」
 そんな二人を見て楽しそうに話しかけると、入り口に立ったまま動かないシキとシンクの方を一瞬見る
「まあ、二人のお友達なら、知ってても仕方ないか」
 笑い話す姿に、シンクに隠れているシキが、シンクの服を更に強くつかむ
「あの、どうしてうたを……?」
 ツミキの質問に、車椅子に座り目を閉じうつ向いている、その人の顔をそっと触る。反応のないその表情に、微笑んでいた顔が寂しそうな表情になる
「それは、この人のためだよ」
「お母様……」
「シキちゃんのお母さん?」


「あの人……」
「ルモカさん、大丈夫ですか?」
 車椅子に座る人の顔が拡大され段々と見えてくる、その姿に、ルモカが戸惑い、焦りはじめていた
「会いたかったんだろうが……どうして」
「ゼフドさん?」
 渋い顔でルモカと同じく、モニターを見続けているゼフドにノア隊員が話しかけても返事をせず、不穏な雰囲気が指令室の中で流れ続けている


「そう、二人の母親だよ。今は少し機嫌が悪いけど……いつもは明るく優しい笑顔の人だよ」
「そうです。お母様は素敵な人です」
 ツミキ達に優しく語りかける様子に、シキもシンクの隣に来て答える
「シキちゃん……」
 それでも顔を上げることなく、うつ向いたままのシキに、ツミキがシキに話しかけようとすると、またゆっくりとツミキ達の元へとキィと車椅子を押す音が近づいてくる。その音が近く大きくなる度に、壁を背に追い込まれ動けないツミキ達の鼓動が早くなっていく。その様子を見て笑い、ツミキに優しく話しかけた
「だから、その笑顔に僕は会いたいんだ……だからちょっと手伝ってくれないかな?」
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