アリアノート

シャオえる

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11. お互い寂しくないように

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 アリアがミオに起こされる少し前、アクアがお城にある自室で本を読んでいた。パラパラとページをめくり真剣な顔で読む姿を見つけたクリアが声をかけた
「アクア、今日はお出掛けしないの?」
「はい。今日はお勉強をしようと思って」
 パタンと本を閉じながら答えると、クリアがその本の表紙をちらりと見た
「そうなの。でも、私は明日まで出掛けるから、今日は稽古場を壊さないでね」
「お出かけ?今日は帰らないの?」
「ええ、お仕事なの。ごめんね」
 クリアが少し申し訳なさそうに言うと、アクアが椅子から立ち上がりクリアの体をぎゅっと強く抱きしめた
「私は大丈夫です。お仕事、頑張ってくださいね」
「ありがとう。あなたへお土産買ってくるからね」
「楽しみ。新しい魔術の本がいいな」
 クリアに頭を優しく撫でられ、嬉しそうに返事をするアクア。それを見てクリアの表情も綻ぶ。二人のやり取りを見ている家政婦達もニコニコと微笑む。しばらく抱き合った後、クリアがポンッとアクアの頭に手を置くと、名残惜しそうにアクアから離れた。家政婦達と部屋を出ていく後ろ姿にアクアが手を振り見送り、クリアが閉ざされていくアクアの部屋の扉を見た
「みなさん、アクアとアリアをよろしくね」
「はい。もちろんです」
 家政婦達が頭を下げ答えると、ふぅ。と一つ深呼吸をして出かける準備のため、少し足取り重くクリアの部屋へと歩きだした





「ねー、これどうなっているの?合っているかなぁ?」
 倒れたアリアの代わりにガサゴソと部屋の中を探るミオ。あまり得意じゃない薬草の調合に四苦八苦しながら、アリアの指示に従っているが少しずつ調合が難しくなっていくと、ガチャガチャと部屋が騒がしくなっていき、寝室のベッドにいるアリアの表情が少しずつ不安そうになっていく
「……大丈夫?」
「今は大丈夫。けど……」
 アリアに返事をした瞬間、ガチャンと物が落ちて割れた音が響いて、慌ててベッドから降りてミオのいる部屋に行くと、床に倒れたミオと薬草の入った瓶が割れて落ちていた
「ミオ、大丈夫?」
 慌ててミオに駆け寄り手を伸ばし、ミオを起こすと、床に落ちた薬草を確認をすると不安そうなミオを見て微笑む
「落とした薬草は元々捨てる予定だったから平気だよ。ついでだからこの薬草、燃やしてくれる?」
「うん。今から燃やしてくるから持っていくね」
「ありがとう」
 アリアから薬草を受けとり外で燃やすため部屋を出ていったミオ。部屋に残ったアリアは、ミオが調合した薬草を確認して、うーんと困った顔をした

「アリア、ちょっと来て!早く」
 突然、玄関からミオの呼ぶ大きな声が聞こえてきた。ジタバタと急かす足音も聞こえて、アリアがふぅ。と一つため息をついて玄関に歩きだした
「どうしたの?」
「見てみて!クリア様だよ!」
「……はぁ」
 アリアの家から少し過ぎた先に、たくさんの人達と一緒に歩くクリアの姿を見つけため息をついた

「クリア様、いかがなさいましたか?」
 と、クリアの隣を歩く女性がコソッと話しかけると、離れて見えなくなったアリアの家の方に少し振り返った
「本当に良かったのかしらと思って……」
「仕方ないのです。二人のためには」
 そう言われて少しうつ向きつつ前を向くと、空を見上げて目を閉じた
「そうね、いつか一緒になるためにも早くこの仕事も終わらせて帰らないと」
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