アリアノート

45. 話に驚かないように

「えっ、引っ越しですか？」
「はい。この家が少々古くなってきたので、アリアさんの安全のため壊すことにしたんです」
　目が覚めた数分後、お城の家政婦に作ってもらったお粥を食べている途中、警備の人に言われて驚き食べていた手を止めたアリア。ミオも驚いて、食べようとしていた手が止まり呆然としている
「急ですね。いつ引っ越すんですか？」
「明日です。引っ越す場所はこの付近ではなく、近くの村に行くことになりました。もちろん、手配などは私達が行いますから」
　警備の人達の話に呆然としていたミオが驚きすぎて手に持っていたスプーンを床に落とした。コツンとなったスプーンの音を気にもせず、アリアの方に振り向いた
「本当はすぐに話す予定でしたが、お二人が倒れ眠ってしまったので言えずじまいでした。ごめんなさい」
「い、いえ……」
　ペコリと頭を下げ謝ると、アリアもつられるようにペコリと頭を下げると、ミオがガタンと椅子の音を立てて突然立ち上がり右手を大きく上げた
「あの！ちょっといいですか？」
　と、大声で言うミオに全員が視線を向けると、ミオがちらりとアリアを見て警備の人達に向かって言った
「アリアが私の家に住むのはダメなんですか？明日なんて急すぎるし、私はアリアと離れたくないもん。時々お互いの家に泊まったりもしているし、きっと一緒に住んでも大丈夫です！」
　と、段々と声を大きく言葉強めに言うミオの迫力に警備の人が呆気に取られていると、アリアも椅子から立ち上がり、ミオをぎゅっと抱きしめた
「私も急にミオと一緒にいたいです。一緒に住むのはダメなんですか？」
「私達には変更を決めることなど出来ませんので……」
　二人の話を聞いて困った顔で返事をしていると、ミオもアリアの体を抱きしめ返し、寝室いた警備の人達が外にある木にまだいるフクロウをちらりと見た
「そうだ、アリア……」
　アリアの耳元でヒソヒソと話はじめたミオ。話す内容が聞こえず二人の様子を見守っていると、アリアが少し驚いた顔でミオを見ると、ミオがエヘヘと笑って頷いた
「大丈夫。アリアのお願いならきっと聞いてくれるよ」