56 / 65
56. 心を読まれないように
しおりを挟む
「早く魔術を使ってよ!逃げるだけじゃ、つまんないじゃん」
アクアの魔術を避け続けるアリア。二人とも息切れをすることもなく逃げたり術を使い続けている。アクアがアリアに向けた風の魔術が木に当たり、枝や葉っぱが大きく揺れている
「あっ。そういえば、さっき……」
アリアが術から逃げている途中、ふとアクアの言葉を思い出して足を止めた。隣にあった大きな木が突然ドンッと大きな物音と共に倒れ、アリアとアクアの間に土埃が立ち込める
「私の事、アリアお姉ちゃんとか言っていたけど、どうして?」
と、アリアが問いかけると、杖を両手に持ち術を唱えようとしていたアクアの表情が一瞬固まった
「なんで一緒にいないの?」
アリアの問いかけに答えるように小声で呟き杖を振り下ろす。杖の先がコツンと地面について、アクアの足元にあった落ち葉が数枚ヒラヒラと浮かび舞う
「どうしてお姉ちゃんだけ外で魔術も使えて、色々な人と出会えるの?」
アリアの方へと一歩進みながら今度はアクアが問いかける。その言葉にアリアが不思議そうに首をかしげた
「あなたもたくさんの人達に会えているよ。たくさんの人がお城にいたし、はじめて見た日も村の人達に歓迎されていたし……」
そうアリアが返事をすると、アクアが持っている杖をぎゅっと強く握り直した。すると、ヒラヒラと地面に落ちそうだった落ち葉がまた舞い上がり、アクアと共にアリアへと向かっていった
「二人を助けにいかないと」
お城の魔術室で二人の様子を見ていたクリアが隣にいるユーノに声をかけるが、ユーノは二人の様子を見たまま、ゆっくりと顔を横に動かした
「あれは二人の夢の中だ。我々が入ることは不可能だ。今この状況は、あの子達だからというべきだよ」
と、二人が見ていた横では、用意された部屋でスヤスヤと眠るアリアと寝室で眠るアクアの姿が写されていた。ユーノとクリアが交互に術を見ていると、魔術室の外からバタバタと騒がしく走る足音が聞こえたすぐに後に、バンッと勢いよく扉が開いた
「ユーノ様、アクア様が倒した木が、現実でも同じように倒れています」
そう報告してきた魔術師が一冊の本を広げると、アリアとアクアが出会い、ユーノがさっきまでいた場所の木々達がなぎ倒されていた。それを見て、ユーノが二人を写す二つの術から少し離れると、稽古場に隠していた一冊の本がユーノの前に現れ、パラパラとページがめくられはじめた
「本に書かれたままに二人は今、夢の中で動いている」
ユーノの前にある本のページの上に、動くアリアとアクアの姿が現れ、次々と木々をなぎ倒し、草花を燃やしている
「それに、私達が二人をこうして見れるのもあと数秒というところかな、二人の魔力に我々では、もう追いつかない」
ユーノがアリアとアクアがまだ対戦をする姿が写る術を見ると、術がユラユラと揺れはじめ、二人の写る姿が途切れ途切れになった
「やっと会えたのにね。本当つまんないの……。お母様よりも楽しく対戦できると思ったのに」
ユーノ達の術にアリアとアクアがあまり写らなくなってすぐ、逃げ疲れたアリアが木に隠れ、息を整えている。一方アクアは、疲れた様子もなくゆっくりと歩き近づいていると、足元にアリアが見せていた炎に使える薬草を見つけ薬草をつまみ取り、ジーッと見つめた後、空に向かって薬草を投げフフッと笑った
「今すぐ、お姉ちゃんを倒してあげる。痛くしないから安心してね」
アクアの魔術を避け続けるアリア。二人とも息切れをすることもなく逃げたり術を使い続けている。アクアがアリアに向けた風の魔術が木に当たり、枝や葉っぱが大きく揺れている
「あっ。そういえば、さっき……」
アリアが術から逃げている途中、ふとアクアの言葉を思い出して足を止めた。隣にあった大きな木が突然ドンッと大きな物音と共に倒れ、アリアとアクアの間に土埃が立ち込める
「私の事、アリアお姉ちゃんとか言っていたけど、どうして?」
と、アリアが問いかけると、杖を両手に持ち術を唱えようとしていたアクアの表情が一瞬固まった
「なんで一緒にいないの?」
アリアの問いかけに答えるように小声で呟き杖を振り下ろす。杖の先がコツンと地面について、アクアの足元にあった落ち葉が数枚ヒラヒラと浮かび舞う
「どうしてお姉ちゃんだけ外で魔術も使えて、色々な人と出会えるの?」
アリアの方へと一歩進みながら今度はアクアが問いかける。その言葉にアリアが不思議そうに首をかしげた
「あなたもたくさんの人達に会えているよ。たくさんの人がお城にいたし、はじめて見た日も村の人達に歓迎されていたし……」
そうアリアが返事をすると、アクアが持っている杖をぎゅっと強く握り直した。すると、ヒラヒラと地面に落ちそうだった落ち葉がまた舞い上がり、アクアと共にアリアへと向かっていった
「二人を助けにいかないと」
お城の魔術室で二人の様子を見ていたクリアが隣にいるユーノに声をかけるが、ユーノは二人の様子を見たまま、ゆっくりと顔を横に動かした
「あれは二人の夢の中だ。我々が入ることは不可能だ。今この状況は、あの子達だからというべきだよ」
と、二人が見ていた横では、用意された部屋でスヤスヤと眠るアリアと寝室で眠るアクアの姿が写されていた。ユーノとクリアが交互に術を見ていると、魔術室の外からバタバタと騒がしく走る足音が聞こえたすぐに後に、バンッと勢いよく扉が開いた
「ユーノ様、アクア様が倒した木が、現実でも同じように倒れています」
そう報告してきた魔術師が一冊の本を広げると、アリアとアクアが出会い、ユーノがさっきまでいた場所の木々達がなぎ倒されていた。それを見て、ユーノが二人を写す二つの術から少し離れると、稽古場に隠していた一冊の本がユーノの前に現れ、パラパラとページがめくられはじめた
「本に書かれたままに二人は今、夢の中で動いている」
ユーノの前にある本のページの上に、動くアリアとアクアの姿が現れ、次々と木々をなぎ倒し、草花を燃やしている
「それに、私達が二人をこうして見れるのもあと数秒というところかな、二人の魔力に我々では、もう追いつかない」
ユーノがアリアとアクアがまだ対戦をする姿が写る術を見ると、術がユラユラと揺れはじめ、二人の写る姿が途切れ途切れになった
「やっと会えたのにね。本当つまんないの……。お母様よりも楽しく対戦できると思ったのに」
ユーノ達の術にアリアとアクアがあまり写らなくなってすぐ、逃げ疲れたアリアが木に隠れ、息を整えている。一方アクアは、疲れた様子もなくゆっくりと歩き近づいていると、足元にアリアが見せていた炎に使える薬草を見つけ薬草をつまみ取り、ジーッと見つめた後、空に向かって薬草を投げフフッと笑った
「今すぐ、お姉ちゃんを倒してあげる。痛くしないから安心してね」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる