57 / 65
57. 届かぬ声に願いを込めて
しおりを挟む
アリアを追いかけ次々に木々を倒していくアクア。辺りを一通り倒し終えると、視界も広くなり、少しずつアリアの姿も見えだすと、アクアが出す魔術が段々と当たりはじめた
「ちょっと疲れた……」
使えそうな薬草を拾ったり木に隠れつつ逃げたりし続け、ほんの少し休めそうな所がないか辺りを見渡し走っていると、突然見慣れた風景が現れ足を止めた
「えっ、ここって……」
よくミオと魔術対戦をしていた公園が現れ戸惑い、ゆっくりと歩きながら辺りを見渡す。いつもはたくさんの人が集まる公園に誰一人居らず、静かな風景を歩いていると、ドンッと大きな物音が聞こえアリアのすぐ側にあった建物が崩れ落ちた
「やっと見つけた……」
アリアを見失い、村を迷っていたアリアが疲れた顔でやって来た。息を切らしつつ、術を唱えはじめるアクアを見てアリアがまた走り出した。無造作に建物を壊していくアクアから逃げていると、アリアとミオの家が見えた
「あれ、ミオだ……」
ミオの家を見ると一人、自室の片付けをしていたミオの姿が見えた。声をかけようと家に近づいた時、すぐ後ろまで来ていたアクアが、ふぅ。と一つ息を整え、炎の魔術を唱えはじめた
「ちょっと待って!」
アリアが気づいた時には、アクアの周りに炎が現れ、木々や草花を燃やされていた。今度は水の魔術を唱え、燃やした木々や草花が、ヒラヒラと地面に舞い落ちる。その間にも近づく水を見て、アリアがドンドンと家の窓を叩いた
「ミオ、気づいて!」
何度も声をかけても、ミオがアリアに気づくことなく大量の水がすぐ側まで来ていた。慌てて逃げると、あっという間にミオの家は水に溢れた
「ミオ、大丈夫?」
アクアがすぐに術を解き、家に一杯に溢れていた水が無くなると、アリアが家の中に入ると、水が入り流れた時に当たった家具で体に傷が出来、ぐった りしているミオを見つけた。慌てて体を触り、容態を見るアリアをアクアがクスクスと笑って後ろから声をかけた
「これくらい、お姉ちゃんが得意な薬草で治せるでしょ?結局は薬草なんて、傷を治すくらいしか使い道ないんだから」
「確かに、調合した薬が治せるけれど……」
ミオの家の中を見渡して薬草やアリアが調合した薬が置いてあるか探してみるが、すぐには見当たらずどうしようかと悩みつつ、まだぐったりして動かないミオを見た
「あれ、どこ行くの?」
「私の家。私を倒すのはミオの傷を治してからにして」
アリアがミオをおんぶしようとしていると、アクアがフフッと笑って問いかけると、アリアが少し起こった声で返事をした
「ああ、あのつまんない家?でも、引っ越すって聞いたから、あの家には薬草なんてないでしょ?」
「そうだった……。ほとんど調合した物は新しいお家に運んでもらったんだった」
アクアの言葉を聞いて、家に行こうとしていた足を止めたアリア。少し頭を下げまたどうしようかと悩んでいると、耳元から微かにミオの吐息が聞こえてきた
「あれ、どこに行くの?今度は二人で逃げるの?」
再び歩きだし、玄関の方へと向かうアリアにアクアが声をかけると、アリアがゆっくりと玄関の扉を開けながらアクアの方に振り向き、今度はアリアがフフッと笑った
「そうだね。ミオのためにも早くあなたから逃げないといけないね」
「ちょっと疲れた……」
使えそうな薬草を拾ったり木に隠れつつ逃げたりし続け、ほんの少し休めそうな所がないか辺りを見渡し走っていると、突然見慣れた風景が現れ足を止めた
「えっ、ここって……」
よくミオと魔術対戦をしていた公園が現れ戸惑い、ゆっくりと歩きながら辺りを見渡す。いつもはたくさんの人が集まる公園に誰一人居らず、静かな風景を歩いていると、ドンッと大きな物音が聞こえアリアのすぐ側にあった建物が崩れ落ちた
「やっと見つけた……」
アリアを見失い、村を迷っていたアリアが疲れた顔でやって来た。息を切らしつつ、術を唱えはじめるアクアを見てアリアがまた走り出した。無造作に建物を壊していくアクアから逃げていると、アリアとミオの家が見えた
「あれ、ミオだ……」
ミオの家を見ると一人、自室の片付けをしていたミオの姿が見えた。声をかけようと家に近づいた時、すぐ後ろまで来ていたアクアが、ふぅ。と一つ息を整え、炎の魔術を唱えはじめた
「ちょっと待って!」
アリアが気づいた時には、アクアの周りに炎が現れ、木々や草花を燃やされていた。今度は水の魔術を唱え、燃やした木々や草花が、ヒラヒラと地面に舞い落ちる。その間にも近づく水を見て、アリアがドンドンと家の窓を叩いた
「ミオ、気づいて!」
何度も声をかけても、ミオがアリアに気づくことなく大量の水がすぐ側まで来ていた。慌てて逃げると、あっという間にミオの家は水に溢れた
「ミオ、大丈夫?」
アクアがすぐに術を解き、家に一杯に溢れていた水が無くなると、アリアが家の中に入ると、水が入り流れた時に当たった家具で体に傷が出来、ぐった りしているミオを見つけた。慌てて体を触り、容態を見るアリアをアクアがクスクスと笑って後ろから声をかけた
「これくらい、お姉ちゃんが得意な薬草で治せるでしょ?結局は薬草なんて、傷を治すくらいしか使い道ないんだから」
「確かに、調合した薬が治せるけれど……」
ミオの家の中を見渡して薬草やアリアが調合した薬が置いてあるか探してみるが、すぐには見当たらずどうしようかと悩みつつ、まだぐったりして動かないミオを見た
「あれ、どこ行くの?」
「私の家。私を倒すのはミオの傷を治してからにして」
アリアがミオをおんぶしようとしていると、アクアがフフッと笑って問いかけると、アリアが少し起こった声で返事をした
「ああ、あのつまんない家?でも、引っ越すって聞いたから、あの家には薬草なんてないでしょ?」
「そうだった……。ほとんど調合した物は新しいお家に運んでもらったんだった」
アクアの言葉を聞いて、家に行こうとしていた足を止めたアリア。少し頭を下げまたどうしようかと悩んでいると、耳元から微かにミオの吐息が聞こえてきた
「あれ、どこに行くの?今度は二人で逃げるの?」
再び歩きだし、玄関の方へと向かうアリアにアクアが声をかけると、アリアがゆっくりと玄関の扉を開けながらアクアの方に振り向き、今度はアリアがフフッと笑った
「そうだね。ミオのためにも早くあなたから逃げないといけないね」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる