ストラグルガールズ

シャオえる

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42. もう一度、戻ってくることを

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「……何この緊張感」
「ミコトなんで止めなかったの?」
「だって、もしかしたらそのままって可能性も……」
 ミコトの家に帰ってくるなり、ナギとミコトがキッチンで一人忙しそうにしているノエルに聞こえないようにヒソヒソと話している
「いや、あんなに記憶が戻ってきているなら、そのままの可能性は低いはず」
 二人の会話に入ってきたノアの言葉に、ナギが苦笑いで固まりミコトは慌てふためく
「ノア、あまり怖いこと言わないで」
「ごめん……」
 しょんぼりする三人の様子を側で見ていたモカも困ったように苦笑いでキッチンにいるノエルを見ると、散らかったキッチンからドタバタと足音をたててノエルがリビングにやって来た

「お待たせ!ご飯出来たよ!」
 ご機嫌でドンッとテーブルにお皿を置くと、ノエルが作ったそのご飯を見て、ミコト達四人の表情が強ばる
「ノエル、これは……」
「んー、わかんない。冷蔵庫にあるもの適当に炒めたんだけど」
 エヘヘと笑ってミコトの質問に答えるノエル。その笑顔を見てミコトもつられてエヘヘと苦笑いをする

「料理の記憶、もう戻ったんだ……」
 と、沢山のおかずが盛られたお皿を見つめながらモカがポツリと呟くと、ナギがミコトの手をぎゅっと強くつかんだ
「ミコト、料理の記憶だけは戻そう。私も手伝うよ」
 ナギの提案にウンウンと何度も頷くミコト。二人のやり取りに、ノエルが不思議そうに首をかしげていると、同じく会話を聞いていたノアがはぁ。とため息ついた
「ナギ、ミコト。それは無理だよ……」
 そうノアが呟いた言葉を聞いたナギとミコトが、つかんでいた手を力なく解いた







「あのう……サクナさん」
 ミコト達がノエルの作ったご飯に困っているその頃、アードルド学園の役員室では、サクナが机や棚から色々物を取り出して、大きな鞄に詰め込んでいる姿を、困った顔をして生徒会の役員が見ていた
「サクナさん、何をしてるんですか?」
「もう私は生徒会長ではないから片付けをね。ノエルさんなら、記憶があまりなくても、すぐにでも生徒会を動かせるでしょうから……」
「サクナさん……」
 クスッと笑って答えながら片付け続けるサクナに、役員の生徒達が顔を見合わせる。すると、その中の一人が、突然サクナの側まで駆け寄りだした
「あの、サクナさん!」
 と、大声で名前を呼ばれてちょっと驚くサクナに、ふぅ。と深呼吸をして、また大声でサクナに叫ぶ
「私はサクナさんがまた生徒会長として、ここに戻ってくること信じています!」
 その声聞いて、次々と生徒達がサクナの所に駆け寄り続くようにサクナに話しかける
「私も……。ノエルさんも素敵ですが、サクナさんも負けないくらい素敵な生徒会長で……あの、だから……」
 上手く伝えられずあたふたする生徒の側で、サクナを見つめる生徒や言葉に頷いている生徒達がいて、その様子に、サクナが嬉しくも困ったように微笑む
「あなた達のお陰で片付けも苦もなく出来そうね、ありがとう」
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