デスパレートレアス

シャオえる

文字の大きさ
上 下
16 / 98

16. ため息を重ねて

しおりを挟む
「……ふぅ。もう、今日の分の勉強は終わりにしよ」
 レアスの家から戻ったその日の夜、部屋で勉強をしていたツムギ。うーんと背伸びをすると、座っている椅子がギィッと鳴った
「レアス、大丈夫かな……」
 ふと、ベッドを見るとルトとララが隣同士、スヤスヤと眠っている
「ララがいるし。大丈夫か」
 二人の寝姿を見てクスッと笑うと、起こさないように、そーっとベッドに入ると、疲れていたのかすぐにツムギも眠りに入った








「そんなはずは……。だって、本には」
「嘘を書く事はよくあることだ。そうでなければ、せっかく得た魔術を簡単に他者に渡してしまうからな」
 その頃、リンの話を聞いて、レアスが側にある本に手を添え震えていた
「だって、ララもいるもの。きっと、お母様の間違い……」
「無理に使えば、ララという君の使い魔にも、かなりの負担になる。使い魔がなければ、更に魔術は安定しなくなり、余計に君の望む事は不可能になる」
「なんにも知らないくせに、そんな……」
 すぐにリンに言い返され、キッと睨みつけるレアス。その目を見たリンが、はぁ。とため息をついた
「もう諦めて学園に戻るんだな。そうでなければ、君を力ずくで止めに来るだろう」
「力ずくでって、誰が……」
「君のお母様の本が好きな人達さ。あまり、過度な動きはするべきじゃないよ」
 リンがそう言うと、話に飽きてきたメルガがリンの頬に擦り寄り甘えだした
「メルガも疲れたみたいだし、帰らせてもらうよ。話はまた今度」
 ニコッと微笑みメルガに乗ると、消えていったリン。暗い部屋に一人、本棚に囲まれているレアス。ツムギが持ってきた側にある本を見つめると、ゆっくりと本を起こして、引きずるように本を引っ張り本棚に立て置くと、少し足を引きずりながら部屋を出るため一人呟きながら、ゆっくりと歩きだした
「お母様、ララ……。それでも、私は……」
しおりを挟む

処理中です...