デスパレートレアス

21. それぞれの優しさに触れて

「お腹いっぱいだー。食べ過ぎちゃった」
　デザートを食べきり、おかずは少し食べ残しお腹を擦って、ふぅ。と深呼吸しているツムギの側で、ルトとララも食べ過ぎで動けなくなっていた
「ルト、ララ。お皿洗うの手伝ってー」
　そう言うと、椅子から立ち上がりルトとララと一緒に食器を重ね片付けはじめると、紅茶を飲んでいたレアスが、ポツリと呟いた
「……いい。片付けは私がやるから」
　微かに聞こえたレアスの言葉に、片付けをしていた手が止まった
「……そっか。じゃあ、お皿洗うのはお願いするね」
　そう言うと、カチャカチャと食器の音を鳴らして、リビングからルトとララと出ていった。するとすぐ、キッチンの方からガチャガチャと食器の大きな音とルトとララを止めるツムギの大きな声と、ルトとララの騒ぐ音が聞こえて来る中、レアスがそれを聞いて、クスッと笑っうと、ゆっくりと紅茶を一口飲んだ




「レアス。私、そろそろ帰るね」
　ドタバタと騒ぎながらも、リビングにあった食器をキッチンに置き終えて、リビングで少し一息ついた後、本棚のある部屋にで本を読んでいたレアスに声をかけた。声をかけられたレアスが、パタンと本を閉じると、ララが不安そうな顔でレアスの側に駆け寄ってきた
「ララ。今日もあの子達と一緒にいてて」
　ララをぎゅっと抱きしめて、そう言うと、少ししょんぼりとした表情で頷くララ。トボトボとゆっくりとした足取りでツムギの所に戻って肩に乗った
「じゃあね、レアス。明日の朝、学園行く前に来るからね」
　レアスに手を振り部屋の扉を閉めると、パタパタと歩く音が響いてくる。しばらくすると、バタンと玄関のドアが閉じる音が聞こえて、レアスが本を本棚に戻すと、部屋から出て、リビングへと歩きだした



「……ふぅ。やっと静かになった」
　リビングの窓から見えるツムギ達の帰る後ろ姿を見て、レアスがため息ついた。門を抜け姿が見えなくなると、レアスもリビングから出て廊下を歩きだし、本棚のある部屋へと戻る途中、ふとキッチンに目を向け立ち止まった
「寮に来てか……」
　シンクに置かれた、たくさんの洗い物を見て呟くと、また本棚のある部屋へと歩きだした
「私にはお母様の本とララさえいれば、それでいいもの」