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29. 閉ざされそうな道を突き抜けて
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「何してるの!早く立ちなさい!」
壁にもたれて呆然としているツムギに、大声で発破をかけるレアス。その声と気迫に負けてレアスの隣にゆっくりと移動するツムギ。その間にも、少しずつルトとララが本に飲まれて見えなくなり、いつの間にか本棚にあった本のほとんどが、隙間なく部屋中に飛び回り、本に当たらないようにと逃げていると少しずつ端の方へと追いやられていく
「あなたが、本を動かしたの?」
「ううん、物音がして来たら、こんな風になってて……。それで、私に向かって落ちた本を読んだらルトとララが……。ごめんなさい……」
「謝ってる暇はない。早くどうにかしなきゃ」
うつ向くツムギにそう言いながら速く動き回る本を一冊ずつ確認していくと、ルトとララのいる場所から少し離れた部屋の奥に、ほんのり光る本を見つけた
「あなた、あの本取れる?」
レアスに話しかけられて、うつ向いていた顔を上げ指差す先を見たツムギ。二人からは遠く離れたその本を見て困った顔でレアスに答えた
「私、あまり飛行は得意じゃなくて……。ルトのサポートがないと上手く飛べないの」
ツムギの返事に、レアスがグッと歯を食い縛る。姿が見えなくなってきたルトとララを見つめ、どうするかと悩んでいると、突然二人に強い風が吹いた。思わず目を閉じるが、すぐに風は止んで、そーっと目を開けると二人の目の前に、メルガが二人の方を向いてニコニコと笑って座っていた
「メルガ……なんでここに?」
驚いているツムギに近づいて、手に頬を擦り寄せるメルガ。レアスも驚いて呆然としていると、部屋の入り口の方から少し怒った声が聞こえてきた
「早くメルガと一緒に、本を取りに行きなさい」
再び驚いて声のする方にツムギとレアスが振り向くと、部屋の入り口に二人の方に歩いてくるリンがいた
「えっ?リン先生……なんで」
「ほら、戸惑っている暇はないよ。早く行きなさい」
リンの言葉に、ツムギが慌ててメルガの背中に乗ると、メルガに伝わるようにルトとララの本を指差した
「メルガ、あの本を取りたいの。お願い!」
ツムギの声に一度頷くとふわりと浮かび、本の間を縫うように、目的の本まで向かってく。途中、本がツムギとメルガに当たり、よろけながらも何とか本までたどり着くと、手を伸ばし本をガシッと強くつかんだ
「取った!早くレアスのところに……」
そう言いながらレアスを見ようと後ろを振り向くと、すぐ側にルトとララがいることに気づいて、ぐったりしていた二人の様子を見て、グッと本を強く抱きしめた
「ルト、ララ。ゴメンね、もう少し頑張って!」
大声で叫ぶと、メルガと共に再びあちらこちらに飛び回る本の間を通りぬけ、レアスの元に戻ってきた
「この本でいいの?」
メルガから降りてレアスに本を手渡すツムギの腕や足が、本に当たった時に出来たのか赤くなっていた。だが、見て見ぬふりをして差し出された本を受け取った
「ええ……この本にある魔術ならきっと…… 」
パラパラとページをめくり、ルトとララを助けるための魔術を探しだしたレアス。目当ての魔術があったのか、ページをめくっていた手が止まり、ふぅ。と深呼吸したその時、本を持っていた右手が急に軽くなった
「使い魔のいない君が唱えてはいけない。不安定な魔術は、余計にこの状況を悪化させてしまうよ」
レアスを見ながらそう言うと、レアスが険しい顔でリンを睨む。ツムギもリンの行動に戸惑い、うろたえだした
「でも、リン先生。レアスが唱えなきゃ……」
ツムギの不安そうな言葉を聞きながら、レアスが見つけた魔術のページを見つけ少し読むと、ツムギにニコッと微笑み答えた
「メルガ。おいで」
レアスとツムギの体に頬を擦り寄せ甘えていたメルガを呼び背中に乗ると、二人の側の壁を登りはじめた。二人が呆気に取られるように見ていると、ルトとララが見える所まで登ったメルガが足を止めた。すると、リンの周りを飛び回っている本が再び動くのを止まり、リンがレアスから取った本を見て、ふぅ。と一つ深呼吸をした
「少々面倒そうな魔術だな。でも、致し方ない。メルガ、頑張ろうか」
壁にもたれて呆然としているツムギに、大声で発破をかけるレアス。その声と気迫に負けてレアスの隣にゆっくりと移動するツムギ。その間にも、少しずつルトとララが本に飲まれて見えなくなり、いつの間にか本棚にあった本のほとんどが、隙間なく部屋中に飛び回り、本に当たらないようにと逃げていると少しずつ端の方へと追いやられていく
「あなたが、本を動かしたの?」
「ううん、物音がして来たら、こんな風になってて……。それで、私に向かって落ちた本を読んだらルトとララが……。ごめんなさい……」
「謝ってる暇はない。早くどうにかしなきゃ」
うつ向くツムギにそう言いながら速く動き回る本を一冊ずつ確認していくと、ルトとララのいる場所から少し離れた部屋の奥に、ほんのり光る本を見つけた
「あなた、あの本取れる?」
レアスに話しかけられて、うつ向いていた顔を上げ指差す先を見たツムギ。二人からは遠く離れたその本を見て困った顔でレアスに答えた
「私、あまり飛行は得意じゃなくて……。ルトのサポートがないと上手く飛べないの」
ツムギの返事に、レアスがグッと歯を食い縛る。姿が見えなくなってきたルトとララを見つめ、どうするかと悩んでいると、突然二人に強い風が吹いた。思わず目を閉じるが、すぐに風は止んで、そーっと目を開けると二人の目の前に、メルガが二人の方を向いてニコニコと笑って座っていた
「メルガ……なんでここに?」
驚いているツムギに近づいて、手に頬を擦り寄せるメルガ。レアスも驚いて呆然としていると、部屋の入り口の方から少し怒った声が聞こえてきた
「早くメルガと一緒に、本を取りに行きなさい」
再び驚いて声のする方にツムギとレアスが振り向くと、部屋の入り口に二人の方に歩いてくるリンがいた
「えっ?リン先生……なんで」
「ほら、戸惑っている暇はないよ。早く行きなさい」
リンの言葉に、ツムギが慌ててメルガの背中に乗ると、メルガに伝わるようにルトとララの本を指差した
「メルガ、あの本を取りたいの。お願い!」
ツムギの声に一度頷くとふわりと浮かび、本の間を縫うように、目的の本まで向かってく。途中、本がツムギとメルガに当たり、よろけながらも何とか本までたどり着くと、手を伸ばし本をガシッと強くつかんだ
「取った!早くレアスのところに……」
そう言いながらレアスを見ようと後ろを振り向くと、すぐ側にルトとララがいることに気づいて、ぐったりしていた二人の様子を見て、グッと本を強く抱きしめた
「ルト、ララ。ゴメンね、もう少し頑張って!」
大声で叫ぶと、メルガと共に再びあちらこちらに飛び回る本の間を通りぬけ、レアスの元に戻ってきた
「この本でいいの?」
メルガから降りてレアスに本を手渡すツムギの腕や足が、本に当たった時に出来たのか赤くなっていた。だが、見て見ぬふりをして差し出された本を受け取った
「ええ……この本にある魔術ならきっと…… 」
パラパラとページをめくり、ルトとララを助けるための魔術を探しだしたレアス。目当ての魔術があったのか、ページをめくっていた手が止まり、ふぅ。と深呼吸したその時、本を持っていた右手が急に軽くなった
「使い魔のいない君が唱えてはいけない。不安定な魔術は、余計にこの状況を悪化させてしまうよ」
レアスを見ながらそう言うと、レアスが険しい顔でリンを睨む。ツムギもリンの行動に戸惑い、うろたえだした
「でも、リン先生。レアスが唱えなきゃ……」
ツムギの不安そうな言葉を聞きながら、レアスが見つけた魔術のページを見つけ少し読むと、ツムギにニコッと微笑み答えた
「メルガ。おいで」
レアスとツムギの体に頬を擦り寄せ甘えていたメルガを呼び背中に乗ると、二人の側の壁を登りはじめた。二人が呆気に取られるように見ていると、ルトとララが見える所まで登ったメルガが足を止めた。すると、リンの周りを飛び回っている本が再び動くのを止まり、リンがレアスから取った本を見て、ふぅ。と一つ深呼吸をした
「少々面倒そうな魔術だな。でも、致し方ない。メルガ、頑張ろうか」
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