デスパレートレアス

68. 不安を取り除く温もりを

「レアス、大丈夫？メルガも怪我してない？」
　リンが帰っていった後すぐにレアスの側に駆け寄ってくツムギ。うつ向いたまま動かないレアスを心配していると、ツムギに抱きしめられていたララがレアスの足元に降りて、レアスの顔を見上げた
「……ララ」
　ララを見て、ぎゅっと抱きしめるレアス。思っていたよりも強く抱きしめられて苦しそうなララを見ていると、ツムギの隣にメルガが手に顔を擦り寄せてきた
「メルガ、レアスを治せる？」
　ツムギが問いかけると、レアスの側に近づいて隣にペタンと寝転んで休みだした。メルガのお腹付近を触り、クスッと笑うレアス。その様子にララがちょっと嫉妬しているのを見て、ツムギがララを抱きしめた

「レアス、帰ろう。ちゃんと休んで怪我治さないと……」
「……そうね。どうせ本は持っていかれたし、ここにいる意味もないもの」
　ちょっと言葉強めにツムギに返事をしながら、ゆっくりと立ち上がった
「メルガ、お願い」
　ツムギの声にメルガもゆっくりと立ち上がる。レアスが先にメルガの背中に乗ると、ツムギが落ちないようにとレアスをぎゅっと抱きしめた。ルトとララも落ちないように二人の間に入るとメルガがふわりと空を飛んでレアスの家へと向かっていった







「リン……」
　ツムギ達がいる場所から大分離れ、一人歩くリンの後ろから、名前を呼ぶ声が聞こえ振り向くと老人やたくさんの人達がリンの後ろに立っていた
「おや、こんな夜のこんな場所に何のようですか？」
　少し異様な光景に思わずクスッと笑っていると、老人の後ろから、ぞろぞろと人々が現れリンの周りを囲む
「……少し話を聞こうか」
「いいですけど、学園の人達がレアス君を探しに、ここに来そうなので場所を変えませんか？」
　リンがそう言うと、騒がしい声と魔術を使っているような物音が、リンが歩いてきた方向から聞こえてくる
「いいだろう。ミナモも帰ってくる頃だ。我らの本棚で話をしよう」
「ミナモも一緒にですか？」
「ああ、あいつも最近不審な動きばかりしているからな。あの本棚の管理人になったら、性格が似るのか……」
「そうですね、あの本棚にある本も似たようなものですし」
「そうだな。その辺も聞きたいところだ」
　リンの言葉に老人がフフッと笑うと、満月の空を見上げた
「夜も大分更ける。あの子達には、ちゃんと休んで本のために動いてももらわねばな」