67 / 98
67. ボロボロになってもまだ
しおりを挟む
「でも、レアスはどこに?」
「さぁ?そこまでは……」
ミナモに向かって叫ぶツムギに、素っ気なく答えると、クロウと共に部屋の奥へと飛び立っていく。薄暗い部屋ではミナモの姿がすぐ見えなくなり、一人残されたツムギが、大急ぎで本棚の部屋を飛び出しレアスを探しに行くと、ドタバタと騒がしいツムギの声や足音が、家を出ようとしていたミナモの所まで聞こえてきて、呆れたようにはぁ。とため息ついた
「それにしても、リンは何か知っていそうだな。面倒な事が起きる前に聞いておくか」
「どうして、使えないの?」
その頃、身体中傷だらけのレアスが木にもたれていた。呼吸も荒く意識朦朧としている中、本を抱きしめ休んでいると、レアスの側に空から何かが舞い降り駆け寄ってきた
「メルガ……。どうしてここに?」
レアスを見つけるなり頬に顔を擦り寄せるメルガに、驚きつつも微笑んでいると、一通り甘え終えたメルガが、レアスに背を向けちらちらと振り向きだした
「ううん、帰らない。まだ、本は使えるもの……。メルガ、少し手伝ってくれる?」
「それは困るかな。あまりメルガに無理はさせないでほしい」
メルガに話しかけていたつもりが、レアスの後ろから困ったような声で返事が聞こえてきた
「……リン先生も、なんでここに」
リンが現れ驚いているとレアスが持っていたボロボロになっている本を取り、はぁ。とため息つきながら、ゆっくりと本を開いた
「大分無理をさせたようだな。術がほとんど読めないじゃないか」
「それは……」
呆れながらレアスに問いかけるリンに、レアスが顔を背けていると、メルガが飛んできた場所と同じ所からまた、誰かが飛んでやってきた
「レアス!メルガ!」
ルトとララを抱きしめてフラフラと落ち着きなく空を飛ぶツムギを見たメルガが、ふわりと浮かびツムギ達の所へ向かい、背中に乗せてレアスの元へと戻ってくる
「お迎えかな。ちょうど良かった」
その様子を微笑みながら見ていたリンが、同じくツムギ達を見ているレアスに話しかけながら、暗い林の中へと一人歩きだした
「メルガに、ちょっと大変だけど、二人を家まで送って、レアス君の傷が治るまで一緒にいるようにと伝えておくように。それと、この本は少し借りるよ」
「さぁ?そこまでは……」
ミナモに向かって叫ぶツムギに、素っ気なく答えると、クロウと共に部屋の奥へと飛び立っていく。薄暗い部屋ではミナモの姿がすぐ見えなくなり、一人残されたツムギが、大急ぎで本棚の部屋を飛び出しレアスを探しに行くと、ドタバタと騒がしいツムギの声や足音が、家を出ようとしていたミナモの所まで聞こえてきて、呆れたようにはぁ。とため息ついた
「それにしても、リンは何か知っていそうだな。面倒な事が起きる前に聞いておくか」
「どうして、使えないの?」
その頃、身体中傷だらけのレアスが木にもたれていた。呼吸も荒く意識朦朧としている中、本を抱きしめ休んでいると、レアスの側に空から何かが舞い降り駆け寄ってきた
「メルガ……。どうしてここに?」
レアスを見つけるなり頬に顔を擦り寄せるメルガに、驚きつつも微笑んでいると、一通り甘え終えたメルガが、レアスに背を向けちらちらと振り向きだした
「ううん、帰らない。まだ、本は使えるもの……。メルガ、少し手伝ってくれる?」
「それは困るかな。あまりメルガに無理はさせないでほしい」
メルガに話しかけていたつもりが、レアスの後ろから困ったような声で返事が聞こえてきた
「……リン先生も、なんでここに」
リンが現れ驚いているとレアスが持っていたボロボロになっている本を取り、はぁ。とため息つきながら、ゆっくりと本を開いた
「大分無理をさせたようだな。術がほとんど読めないじゃないか」
「それは……」
呆れながらレアスに問いかけるリンに、レアスが顔を背けていると、メルガが飛んできた場所と同じ所からまた、誰かが飛んでやってきた
「レアス!メルガ!」
ルトとララを抱きしめてフラフラと落ち着きなく空を飛ぶツムギを見たメルガが、ふわりと浮かびツムギ達の所へ向かい、背中に乗せてレアスの元へと戻ってくる
「お迎えかな。ちょうど良かった」
その様子を微笑みながら見ていたリンが、同じくツムギ達を見ているレアスに話しかけながら、暗い林の中へと一人歩きだした
「メルガに、ちょっと大変だけど、二人を家まで送って、レアス君の傷が治るまで一緒にいるようにと伝えておくように。それと、この本は少し借りるよ」
0
あなたにおすすめの小説
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
魅了の対価
しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。
彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。
ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。
アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。
淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる