デスパレートレアス

シャオえる

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73. 月明かりに導かれて

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「レアス、来たよ」
 着替えを終えたツムギがメルガと一緒に本棚のある部屋にやってきた。相変わらず薄暗い部屋に慣れないツムギが、恐る恐る部屋の中に入っていく
「あれ?レアスどこ?」
 壁に手をつけて、ゆっくりと歩くツムギの側で一緒に歩くメルガの爪の音がカツカツと響く
「いないね、本棚って言ってたよね」
 一通り部屋の中を見てみても、レアスの姿は見当たらず、困り果てていると、小さな窓から月明かりが入る場所に、ぼんやりと人影が見えて、ツムギが恐る恐る近づいていくと、月明かりの入らない薄暗い場所で本棚を見つめているレアスを見つけた
「やっと見つけた。レアス来たよー」
 声をかけながらレアスの側にきたツムギとメルガ。だが、レアスは振り向くことなく本棚を見つめ続けている
「どうしたの?体調悪いの?」
 横から顔を覗こうとした時、レアスがフラッと体が揺れ、そのまま倒れてしまった
「レアス、大丈夫?」
 慌ててレアスを抱きしめて、声をかけるが、目を閉じ返事をしないレアスに、
「メルガ、レアスをお部屋に……」
 と、ツムギがメルガの方に振り向いたその時、側にあった本棚では本が少しずつ本棚から飛び出しだしていた。それに気づかないツムギは、レアスを抱っこしてメルガの背中に乗せようとていた








「……雨が降る」
 その頃、ミナモの家でのんびり過ごしていたリン。ソファーに座っていたミナモが窓を見てポツリと呟くと、ソファーから立ち上がり窓の方へと歩きだした
「雨が降りそうだ。嵐にもなるかもしれない。早々に帰った方がいい」
 ミナモの言葉を聞いて、リンも窓の方に来て外を見るが、雲一つ無く月明かりが部屋まで灯っている
「晴れてるけど、ミナモが言うなら帰ろうかな」
「メルガがいないが……」
「送ってくれるの?助かるよ」
 ニコニコと微笑むリンに、思っていた反応とは違ったミナモが、はぁ。とため息ついた
「仕方ない、クロウ……」
 ソファーの端で休んでいたクロウを呼んだその時、ガタガタと大きな物音が聞こえてきた。音のする方に振り向くこと、テーブルの上に無かったはずの一冊の本が置かれていた
「あら、雨が降る前に終わるでしょうか」
「さぁ、それは本と本棚次第というところか。リンはどうする?」
 上着を取りクロウと一緒に部屋を出ようとするミナモがリンに問いかけると、また窓から外を見たリンが少し困った顔をしてミナモのいる方に歩きだした
「メルガが心配ですし、ついていこうかな。クロウ、ちょっと重くなるけど頑張ってね」
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