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87. 忘れていたあの人
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「レアス、どうなってるの?あの本にはルト達が苦しむなんて魔術書いてなかったよ!」
ルトとメルガを抱きしめながら、ララを抱きしめてうつ向くレアスにツムギが叫ぶ。何度も名前を呼んだり聞いたりしてもレアスから返事は聞こえず、だんだんと苛立っていく
「ねえ!聞いてるの!」
叫び続け浸かれたのか、息も荒くなっていくツムギ。すると、黙って聞いていたレアスの手が震えだした
「……嘘つき」
と、か細い声で呟いた言葉が聞こえて、恐る恐るレアスを見ると、目に涙をためてヒカリを睨んでいた
「お母様の嘘つき!あの本は、いつか私とララのためにって言っていたのに!」
「レアス……」
ヒカリに向かって叫ぶレアスに声をかけるツムギ。息も荒く、まだ手が震えてる。そんな二人にヒカリがニコッと微笑んだ
「そうよ、レアス。あなたのためよ、ツムギちゃんもそう思うでしょ?」
「どうして、私の名前……」
ツムギを見ながら言うヒカリに、驚いてレアスがツムギの方に振り向くと、ツムギも驚いた顔をしてルトを少し力強く抱きしめていた。その様子をニコニコと見ていたヒカリの手元にまた新しい本が現れ、その本を開くと、とあるページを指差した。すると、二人の後ろからカタンと物音が聞こえて、またツムギとレアスが驚いてその音のする方に振り向くと、小さな女の子と女の人が見つめ合っていた
「私が魔術学園に……ですか?」
「ええ、一人よりかは良いと思って。あなたはとても魔力が強いし、年齢の割に高度魔術も使えるもの。どうかしら?」
今よりも少し背の低いツムギがルトを抱きしめ、ヒカリと話をしている。その光景をツムギとレアスが呆然と見ている
「でも私、ルトがいるし、別に学園なんて行かなくても……」
「そう……。でも、美味しいご飯が毎日食べれるわよ」
「ご飯?本当に?」
「ええ、だから行ってみない?」
「……じゃあ、見学だけ」
ヒカリの質問に、ほんの少し考えた後ツムギがエヘヘと笑って返事をする。その笑顔にヒカリもクスッと笑って頷くと、ふと消えてしまった
「……そうだ、あの人。なんで忘れてたんだろう」
小さなツムギとヒカリがいたその場所を見つめ、まだ呆然とした表情で呟くツムギ。その声を聞いて、レアスが一瞬ツムギを見た
「聞きたいことがたくさんあるけど、それどころじゃなさそう……」
レアスの言葉に、ツムギが恐る恐るヒカリを見ると、ヒカリの座る椅子の傍からポツリポツリと本が溢れるように現れていた。その中の一冊をヒカリが取り本をめくると、クスッと微笑みながらページにそっと触れた
「本が書かれていく……。ツムギちゃんとレアスの思い出ね。とても素敵……。急いでこの本に書き留めなきゃね」
ルトとメルガを抱きしめながら、ララを抱きしめてうつ向くレアスにツムギが叫ぶ。何度も名前を呼んだり聞いたりしてもレアスから返事は聞こえず、だんだんと苛立っていく
「ねえ!聞いてるの!」
叫び続け浸かれたのか、息も荒くなっていくツムギ。すると、黙って聞いていたレアスの手が震えだした
「……嘘つき」
と、か細い声で呟いた言葉が聞こえて、恐る恐るレアスを見ると、目に涙をためてヒカリを睨んでいた
「お母様の嘘つき!あの本は、いつか私とララのためにって言っていたのに!」
「レアス……」
ヒカリに向かって叫ぶレアスに声をかけるツムギ。息も荒く、まだ手が震えてる。そんな二人にヒカリがニコッと微笑んだ
「そうよ、レアス。あなたのためよ、ツムギちゃんもそう思うでしょ?」
「どうして、私の名前……」
ツムギを見ながら言うヒカリに、驚いてレアスがツムギの方に振り向くと、ツムギも驚いた顔をしてルトを少し力強く抱きしめていた。その様子をニコニコと見ていたヒカリの手元にまた新しい本が現れ、その本を開くと、とあるページを指差した。すると、二人の後ろからカタンと物音が聞こえて、またツムギとレアスが驚いてその音のする方に振り向くと、小さな女の子と女の人が見つめ合っていた
「私が魔術学園に……ですか?」
「ええ、一人よりかは良いと思って。あなたはとても魔力が強いし、年齢の割に高度魔術も使えるもの。どうかしら?」
今よりも少し背の低いツムギがルトを抱きしめ、ヒカリと話をしている。その光景をツムギとレアスが呆然と見ている
「でも私、ルトがいるし、別に学園なんて行かなくても……」
「そう……。でも、美味しいご飯が毎日食べれるわよ」
「ご飯?本当に?」
「ええ、だから行ってみない?」
「……じゃあ、見学だけ」
ヒカリの質問に、ほんの少し考えた後ツムギがエヘヘと笑って返事をする。その笑顔にヒカリもクスッと笑って頷くと、ふと消えてしまった
「……そうだ、あの人。なんで忘れてたんだろう」
小さなツムギとヒカリがいたその場所を見つめ、まだ呆然とした表情で呟くツムギ。その声を聞いて、レアスが一瞬ツムギを見た
「聞きたいことがたくさんあるけど、それどころじゃなさそう……」
レアスの言葉に、ツムギが恐る恐るヒカリを見ると、ヒカリの座る椅子の傍からポツリポツリと本が溢れるように現れていた。その中の一冊をヒカリが取り本をめくると、クスッと微笑みながらページにそっと触れた
「本が書かれていく……。ツムギちゃんとレアスの思い出ね。とても素敵……。急いでこの本に書き留めなきゃね」
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