デスパレートレアス

シャオえる

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94. 私も一緒に

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「あら、ノスカまで来てくれたの?嬉しいわ」
「久しぶりだな、ヒカリ」
 ノスカと話をしながら、持っていた本をパタンと閉じた
「ノスカも私の手伝いに来てくれたの?」
「いや、私は本が書くことは、本のままに変えるべきではないと思っている。残念だが、手伝うことは出来ないな」
「……そう、残念ね。ノスカがいれば確実なのに……」
 ノスカの返事を聞いて、ヒカリがはぁ。とため息ついていると、隣で開いたまま浮かんでいた本が一冊パタンと閉じた
「本達の準備が出来たみたいね」
 そう言うと、持っていた本を再び開いて読みはじめた。すると、周りに浮かんでいた本達が、バサバサとページの音を立てて床に落ちていく


「二人ともメルガと一緒に逃げなさい。さっきの場所なら本へ出入り出来る術が残っているはずです。急いで」
 ヒカリの様子を見て、リンが後ろにいたツムギにそう言うと、ツムギが一度頷いてレアスを抱きしめるようにしてメルガに乗った
「メルガ、行こう」
 ツムギの言葉を聞いて、メルガがグッと顔を上げ、一歩踏み出そうとした時、レアスがゆっくりと体を起こした
「……待って」
 ツムギの手を退けて、顔を上げヒカリを見つめるレアス。本を読むその姿を見て、少し震えながらメルガから降りた
「レアス、動いちゃダメだよ、それに……」
「私はお母様といる。帰りたいならララと一緒に先に帰ってて」
「……でも」
 フラフラとした足取りで、リン達の側を通りヒカリの方に歩いていくレアス。それを止めるでもなくリン達が見ていると、ヒカリの魔方陣の少し前に足を止めた
「あらレアス。あまり魔力も残っていないけれど、頑張ってくれるの?」
 嬉しそうに微笑み話しかけるヒカリに、ゆっくりと頷くと、近くに落ちていた本を拾い、ふぅ。と一つ深呼吸をして本をぎゅっと抱きしめた
「お母様は私のために頑張ってくれているもの、私も一緒に……」
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