デスパレートレアス

95. 突然の雨と本

「どうしよう。メルガ、レアスを……」
　離れていくレアスを見て、戸惑いうろたえるツムギ。メルガもツムギの声を聞いて、困ったようにウロウロと動き回る。すると、その足音で寝ていたルトとララが目を覚ました。
「ルト、ララ。良かった、起きた……」
　と、ツムギが声かけていると、レアスの様子に気づいたララがふわりと浮かんで一目散にレアスの方へと向かいだした
「ララ！」
　ツムギの止める声を無視して、リン達の横を通り、レアスの服をつかんだララ。グイグイと力強く引っ張り続けるララに、レアスは気づいていても本を読むことを止めない
「ララ、ごめんね。もう少しあの子達と……」
　と、ポツリと呟いた時、ガタンとツムギ達のいる真上から大きな物音が聞こえてきた
「クロウ、見てきてくれ」
　ミナモの言葉を聞いたクロウが、バサッと大きく翼を広げ、音のした方へと飛び立っていった。その姿にツムギとルトが見入っていると、リンがツムギに声をかけてた
「ツムギ君、悪いがメルガと一緒に見てくれるかい？」
「……はい。メルガ、行こう」
　ツムギがメルガに声をかけると、大きく背伸びをして、クロウの後を追って、ふわりと浮かんだメルガ。落とされないように、ルトを挟んでメルガにぎゅっと抱きつくツムギ。リン達がその様子を見ていると、あっという間に姿が見えなくなって、リンとミナモが少し心配そうな顔をしていると、はぁ。とため息つくノスカの声が聞こえて振り向くと、ノスカが一冊の本を読んでいた
「どこから？」
　リンがクスッと笑って問いかけると、本をパタンと閉じると、リンにその本を渡しながら答えた
「一応、全ての本棚の管理者だ。ここがヒカリの本棚であろうと、本を出すことは容易い。だが新たに出来た本は、管理が少し面倒そうだな」




「あれ、なに？」
　その頃、クロウの後を追っていたツムギが、大きな暗い穴を見つけて指を指していた。ツムギがメルガの背中をポンッと叩いて、メルガにその大きな暗い穴を気づかせると、進路を変えてその穴へと向かいだした
「ねえ、こっち！こっち来て！」
　ツムギがクロウに呼びかけると、ツムギの指差す先に気づいたクロウがメルガの後を追いかけだす。大分その穴に近づいた時、ツムギの肩にポツポツと何かが辺り、その穴の方を見た
「……雨？なんで」
　と、少しずつポツポツと肩に当たる量が増えて、それが雨だということに気づいた時、大量の雨がツムギ達に振りかかった
「メルガ、ルト大丈夫？」
　更に強くなっていく雨に、メルガがぎゅっと目を閉じ、フラフラと動いているとその隣でクロウも雨にやられて少しずつ動きが鈍くなっていく
「あなたも大丈夫？」
　と、ツムギがクロウに声をかけると力尽きたクロウがメルガに当たって地面に落ちはじめた。メルガも当たった衝撃で、フラフラと地面に落ちていった
「痛っ……。ルト、大丈夫？」
　ルトを抱きしめたまま、地面に振り落とされてしまったツムギ。まだ雨が降り注ぐ中、少しふらつきながら、体を起こすと、ツムギのすぐ側に一冊の本が置かれていた
「これ、レアスから預かった本……」
　本をぎゅっと抱きしめると、立ち上がり体を震わせ水を弾いていたメルガに駆け寄り、背中に乗ってレアスの所に戻ろうとしていると、クロウもテンション低くゆっくりと体を起こし、ツムギ達の後を追うように、また大きな翼を広げ雨の中ふわりと飛ぶと、メルガが少し走る速度を上げた
「みんな、急いで戻ろう！この本、レアスに届けなきゃ」