これくしょんブック ~ミナモの本棚編~

シャオえる

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25. 動かないように、進めるように

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「だいぶ変わったわね」
「本当だ。ついさっきまでいつもの本棚だったのに」
 ミナモの本棚がある場所に戻ってくると、まだまだ沢山の人達が、あちらこちらで困った顔で話し合いをしていた
「あのー、すみません。ミナモ君の本棚って……」
 近くにいた人達にアカリが声をかけると、その声に気付いた人達が一斉に振り向き、アカリが一瞬ビクッと後退りをした
「ああ。ミナモ君の本棚は、本とミナモくんの魔力が暴走しても大丈夫なように隠すことにしたんだ。結界は張っているけど、危ないから、これ以上近寄らないようにね」
 アカリの質問に答えていると、ヒカリがアカリの頭の上にちょこんと乗りながら問いかけた
「じゃあ、ルカの本棚は?」
「まだ見つかってないよ。みんなで探しているけどね」
「一緒に隠したわけじゃないの?」
「隠してないよ。本棚の暴走が加速しても困るからね、一緒にはしないよ」
 ヒカリの質問には困ったように笑いながら答えると、一応納得したのか、アカリの方に移動して顔に背もたれた
「君達は本に影響ないように、あまり動かないようにね」
 そうアカリ達に言うと、途中で止めていた会話をまたしながら去っていった
「動くなって言われたら余計に動きたくなるのよね」
 人達の姿が見えなくなり、リリがクスッと笑い言うと、その言葉にアカリが苦笑いで答える
「そうね、とりあえずまたルカの本棚でも探してみましょうか。アカリ、行きましょ」
「うん……」
 ヒカリの言葉に小声で答え、少し騒がしさが増えた大人達を横目に歩き出したアカリの頭の上では、サクラとリリが言い争いをはじめていた






「ここ、どこ?」
 その頃、ルカは目を覚ましたように少しボーッしながら、薄暗く見覚えのない周辺を見渡していた
「サクラいるの?」
 と、大声でサクラを呼んでみても返事はなく、胸にぎゅっと手を当てながらまた辺りを見渡した
「アカリもいないの?返事して!」
 そう言いい、しばらくアカリからの返事を待ってみても来ず、不安になりつつもアカリやサクラを探すため、少し歩こうと歩いたその時、背後にドスンと大きな物音が聞こえ、恐る恐る振り向くと、本が沢山入っている大きな本棚が突然現れていた
「これ私の本棚じゃない……。誰の?」
 現れた本棚を恐る恐る触ろうと手を伸ばす。するとまた、ルカの背後に何かが現れた感覚を感じ、慌てて振り向くと、モナカを抱きしめ目を閉じ動かないミナモが立っていた

「ミナモ君!モナカ!」
 声をかけてみるが、目覚めないミナモ。モナカも起きる気配はなく、仕方なく触れて起こそうとするが、バチンと指先に電気が走り触れられず手を離した
「触れない……。なんで……」
 ミナモの周りを見渡してみると、ミナモを囲うように術がかかっているのに気づいて、少し後退りをすると、本棚に背中が当たった
「もしかして、これ本の中なの……?」
 と、いつの間にか空っぽになっていた本棚を見て呟くルカ。もう一度ミナモとモナカを見て、少しうつむいた
「早くアカリ達に言わなきゃ」
「……ルカ、いるの?」
 特に宛もなくアカリ達を探しに走り出そうとした時、聞き覚えのある声が聞こえてきて、顔を上げ辺りを見渡す
「サクラ?どこにいるの?」
 姿が見当たらず、キョロキョロと見渡してしていると、ミナモの周りに感じていた術が、うっすらと光を放った
「もしかして、ミナモ君とモナカと一緒?」
 と、ルカが言うと、光が更に少し眩しくなった
「ミナモとモナカが暴れる前にアカリ達を呼んできて」
 ルカの言葉に答えるサクラの声に、一瞬困った顔をして辺りを見渡すルカ。すぐにミナモとモナカを見て、微かに感じる術に向かって、うんと頷いた
「わかった。すぐみんなを連れて戻ってくるから、待ってて!」
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