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第34話 先入れ先出し
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「アルト、親方が呼んでいる」
俺が水を飲んでいると、ミゼットが呼びに来た。
ラパンに金を盗まれて、ギルド長に金貨が返せていないので、コーヒーを我慢して水を飲んでいるのだ。
カフェイン欲しい。
「親方が?」
「うん。エランが失敗しちゃったんだって。アルトを呼んで、二度と間違わないようにしたいって」
「わかった、行こう」
エランはポーション製造をしている職員だ。
どんな失敗をしたというのだろうか。
ミゼットと一緒にポーション生産部門に行く。
部屋に入ると、腐ったマンドラゴラの入った木箱が置いてあった。
「こら、加藤!」
「加藤?」
ミゼットが不思議そうにこちらを見る。
この世界に腐ったマンドラゴラの方程式は無いのか。
「ごめん、取り乱した。親方、何があったのですか」
「ああ、見ての通り貴重なマンドラゴラを腐らせちまったんだよ」
「どうしてでしょうか」
「古いマンドラゴラからではなく、新しいマンドラゴラから使っていたからな」
「どうしてでしょうか」
「それを担当のエランに聞いて欲しい」
親方がエランに視線をやる。
エランは俯いていた。
30にもなろうかという男がこうも気落ちしているとは、余程ショックだったのだろうな。
それか、親方が落とした雷がすごかったのかもしれない。
「エラン、これから質問することに正直に答えて下さいね」
「わかった」
「まず、どうして新しいマンドラゴラから使ったのですか?」
「新しい箱の方が取りやすかったんだ。腐る前に古いのを使えばいいと思って、取り出しやすい新しい方を使っていたのだが、つい仕入れた日を忘れて、古いやつを腐らせてしまったんだ」
「なるほど、マンドラゴラの入った箱は重ねてあったわけですね」
「ああ」
「それを見せて下さい」
エランに案内されて棚の前に来た。
棚には色々な材料が置いてあるが、箱が重ねてある。
そして、棚は壁に寄り添うようにあり、後ろに回ることが出来ない。
まあ、ありがちだな。
今回の不具合は先入れ先出しが出来ていない事によるものだ。
そして、それが出来ていない理由も、どこの会社でも経験してきた事である。
俺はエランに質問を続けた。
「ここに材料が入った箱を置くのは誰ですか?」
「俺だな」
「つまり、自分で置いて、自分で取り出すわけですね」
「そうだな」
「エランが休んだ時はどうしていますか?」
「親方の指示で誰かが代わりにやっているよ」
「その人も新しい箱を上に置いてますか?」
「多分な」
「ルールはありますか?」
「ないよ。でもみんな判っていると思う」
「仕入れ日は書いてありますか?」
「そんなもんは無いな」
問題が有りすぎだ。
新しいものを置くルールがない、古いものが下になって入れ替えが面倒。
「今日は特別でね、もう一人来ているんだ」
そう言われた気がする。
勿論フィッツカラルドではなく、仕入れ日がわからない事だ。
どれか一つでも無ければ、マンドラゴラを腐らせる事もなかっただろう。
俺は親方を呼んだ。
エランだけでは解決が出来ないからだ。
「どうすればいいんだ?」
「親方、俺の言うようにレイアウトを変えて下さい。ついでに棚も作り変えたい。それと仕入れたときの日付を箱に書きましょう」
「詳しく説明してくれるか」
親方に俺の対策案を説明する。
まずは、この棚の配置が良くない。
箱が複数になるのであれば、後ろから入庫して、前から出庫できるレイアウトにする。
そして、箱を複数おける長さがあり、なおかつ板が前に少し傾いた棚が必要だ。
板を少し傾けるのは、後ろから入庫した箱で、前の箱を押し出せるようにするためだ。
前の箱が落ちないように、ストッパーも必要だな。
こうすれば、新旧の箱を入れ替える手間がなくなる。
人間面倒な事はしなくなるから、そう云った状況を少しでもなくすことが重要だ。
それから、全ての箱に仕入れた日付を記入する。
これによって誰が見てもどれが古いかが判るようになる。
後は、この作業に関わる作業者に、これらのルールを説明して遵守してもらうことだ。
棚の板に傾斜を付けているので、逆から入庫するのは難しいから、やらないとは思うが、それでもやってしまうから不良が出るんだよな。
仕組みを作っても、教育を怠れば不良は流出する。
これですよ。
後日棚が完成したので、俺が入庫方法を実演してみせた。
エランも親方もそれを見て納得する。
更に今回は水平展開の必要性があるので、他の職場の職員も呼んである。
例えば食堂でも同じ事が起きる可能性が十分にあるからだ。
受付の事務用品も、インクなどは古い方から使うべきであり、水平展開できる部分はして欲しい。
数日新規のレイアウトでの作業性を確認する。
何事もやりっぱなしは良くないからな。
まずはエランから。
「エラン、新しいレイアウトはどうですか」
「最初は材料を置く場所が増えて、狭くなると思ったけど、全体のレイアウトを見直したお陰で、狭いと感じることはないね。それでいて、前よりも材料の出し入れが楽になったんだから言うことないね」
特に問題は無いみたいだな。
材料の出し入れの工数が削減できたのは怪我の功名といったところか。
次は親方だな。
「親方は?」
「材料の取り出し時間が短くなったから、部下共の働きが良くなったわい」
こちらも評価は上々か。
こういうのは昭和の時代の不具合だと思っていたけど、平成や令和になってもまだあるんだよね。
製造業って流通業に比べて改善が遅れているんだよなー。
ええ、転生したのは令和になってからですよ。
アルトのステータス
品質管理レベル18
スキル
作業標準書
作業標準書(改)
ノギス測定
三次元測定
マクロ試験
振動試験
電子顕微鏡
塩水噴霧試験
引張試験
硬度測定
重量測定 new!
蛍光X線分析
シックネスゲージ作成
ブロックゲージ作成
ピンゲージ作成
品質偽装
リコール
俺が水を飲んでいると、ミゼットが呼びに来た。
ラパンに金を盗まれて、ギルド長に金貨が返せていないので、コーヒーを我慢して水を飲んでいるのだ。
カフェイン欲しい。
「親方が?」
「うん。エランが失敗しちゃったんだって。アルトを呼んで、二度と間違わないようにしたいって」
「わかった、行こう」
エランはポーション製造をしている職員だ。
どんな失敗をしたというのだろうか。
ミゼットと一緒にポーション生産部門に行く。
部屋に入ると、腐ったマンドラゴラの入った木箱が置いてあった。
「こら、加藤!」
「加藤?」
ミゼットが不思議そうにこちらを見る。
この世界に腐ったマンドラゴラの方程式は無いのか。
「ごめん、取り乱した。親方、何があったのですか」
「ああ、見ての通り貴重なマンドラゴラを腐らせちまったんだよ」
「どうしてでしょうか」
「古いマンドラゴラからではなく、新しいマンドラゴラから使っていたからな」
「どうしてでしょうか」
「それを担当のエランに聞いて欲しい」
親方がエランに視線をやる。
エランは俯いていた。
30にもなろうかという男がこうも気落ちしているとは、余程ショックだったのだろうな。
それか、親方が落とした雷がすごかったのかもしれない。
「エラン、これから質問することに正直に答えて下さいね」
「わかった」
「まず、どうして新しいマンドラゴラから使ったのですか?」
「新しい箱の方が取りやすかったんだ。腐る前に古いのを使えばいいと思って、取り出しやすい新しい方を使っていたのだが、つい仕入れた日を忘れて、古いやつを腐らせてしまったんだ」
「なるほど、マンドラゴラの入った箱は重ねてあったわけですね」
「ああ」
「それを見せて下さい」
エランに案内されて棚の前に来た。
棚には色々な材料が置いてあるが、箱が重ねてある。
そして、棚は壁に寄り添うようにあり、後ろに回ることが出来ない。
まあ、ありがちだな。
今回の不具合は先入れ先出しが出来ていない事によるものだ。
そして、それが出来ていない理由も、どこの会社でも経験してきた事である。
俺はエランに質問を続けた。
「ここに材料が入った箱を置くのは誰ですか?」
「俺だな」
「つまり、自分で置いて、自分で取り出すわけですね」
「そうだな」
「エランが休んだ時はどうしていますか?」
「親方の指示で誰かが代わりにやっているよ」
「その人も新しい箱を上に置いてますか?」
「多分な」
「ルールはありますか?」
「ないよ。でもみんな判っていると思う」
「仕入れ日は書いてありますか?」
「そんなもんは無いな」
問題が有りすぎだ。
新しいものを置くルールがない、古いものが下になって入れ替えが面倒。
「今日は特別でね、もう一人来ているんだ」
そう言われた気がする。
勿論フィッツカラルドではなく、仕入れ日がわからない事だ。
どれか一つでも無ければ、マンドラゴラを腐らせる事もなかっただろう。
俺は親方を呼んだ。
エランだけでは解決が出来ないからだ。
「どうすればいいんだ?」
「親方、俺の言うようにレイアウトを変えて下さい。ついでに棚も作り変えたい。それと仕入れたときの日付を箱に書きましょう」
「詳しく説明してくれるか」
親方に俺の対策案を説明する。
まずは、この棚の配置が良くない。
箱が複数になるのであれば、後ろから入庫して、前から出庫できるレイアウトにする。
そして、箱を複数おける長さがあり、なおかつ板が前に少し傾いた棚が必要だ。
板を少し傾けるのは、後ろから入庫した箱で、前の箱を押し出せるようにするためだ。
前の箱が落ちないように、ストッパーも必要だな。
こうすれば、新旧の箱を入れ替える手間がなくなる。
人間面倒な事はしなくなるから、そう云った状況を少しでもなくすことが重要だ。
それから、全ての箱に仕入れた日付を記入する。
これによって誰が見てもどれが古いかが判るようになる。
後は、この作業に関わる作業者に、これらのルールを説明して遵守してもらうことだ。
棚の板に傾斜を付けているので、逆から入庫するのは難しいから、やらないとは思うが、それでもやってしまうから不良が出るんだよな。
仕組みを作っても、教育を怠れば不良は流出する。
これですよ。
後日棚が完成したので、俺が入庫方法を実演してみせた。
エランも親方もそれを見て納得する。
更に今回は水平展開の必要性があるので、他の職場の職員も呼んである。
例えば食堂でも同じ事が起きる可能性が十分にあるからだ。
受付の事務用品も、インクなどは古い方から使うべきであり、水平展開できる部分はして欲しい。
数日新規のレイアウトでの作業性を確認する。
何事もやりっぱなしは良くないからな。
まずはエランから。
「エラン、新しいレイアウトはどうですか」
「最初は材料を置く場所が増えて、狭くなると思ったけど、全体のレイアウトを見直したお陰で、狭いと感じることはないね。それでいて、前よりも材料の出し入れが楽になったんだから言うことないね」
特に問題は無いみたいだな。
材料の出し入れの工数が削減できたのは怪我の功名といったところか。
次は親方だな。
「親方は?」
「材料の取り出し時間が短くなったから、部下共の働きが良くなったわい」
こちらも評価は上々か。
こういうのは昭和の時代の不具合だと思っていたけど、平成や令和になってもまだあるんだよね。
製造業って流通業に比べて改善が遅れているんだよなー。
ええ、転生したのは令和になってからですよ。
アルトのステータス
品質管理レベル18
スキル
作業標準書
作業標準書(改)
ノギス測定
三次元測定
マクロ試験
振動試験
電子顕微鏡
塩水噴霧試験
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ブロックゲージ作成
ピンゲージ作成
品質偽装
リコール
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