入れ替わりのプリンセス

夜宮

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辺境のお姫様

05. 学園入学 2

 本当は初日からルーカス様が迎えに来てくれて一緒にいてくれると言ってくれたのだけど、上級生は新入生とこの日の時間割が異なっていることから、そんなことはしなくて大丈夫だと断り、家の馬車で学園に向かった。

 そして学園につき、馬車から降りてノアと思いつくままに会話を交わしていると、いくつかの視線が私たちに向けられているのに嫌でも気づかされる。

 中でも一人の令嬢が、隠しているつもりでいるのだろうがチラチラと絶えず私とノアへと視線を向けてきているのがわかった。

「あれは、きっとバーンスタイン家のご令嬢よね?」

 燃えるような赤い髪をした美しい令嬢の名はカレン=バーンスタイン侯爵令嬢で間違いないだろう。

 一応、私も辺境伯家の令嬢として他の貴族の情報は頭に入れている。

「そうですね」
「とっても美しい方ね」
「確かに、すごい美人ですね」

 カレン=バーンスタイン嬢は私の年代では1位、2位を争う有名人だ。

 今は少し羽目を外しているところがあるのか美しい顔に好奇心を浮かべているような表情が出ているが、王妃様が第一王子の妃にと望んだほどの完璧な令嬢だというのが彼女の評価だ。

 カレン様は幼いころは我儘で人を人とも思わない酷い令嬢だとか言われていたらしいが、年を重ねるごとにその聡明さと心根の良さ、美しさが褒め称えられるようになっていき、少し年の離れた第一王子の妃にという話も出ていたらしいが、侯爵家の後継者となることを理由に辞退したと言われている。

 この国では継承権が与えられていれば女性でも家督を継げる。

 ちなみに私も継承権はもっているが、辺境伯は弟のルイスが継ぐことになるだろう。

 しかし、カレン様ほどの方の視線をそれほど引き付けるものが私たちにあるのか疑問だ。

 私の存在が珍しいから? 

 それとも、もしかしてもしかするとカレン様は私がルーカス様の婚約者だと知って何か思うところでもあるとか?

 確かカレン様にはまだ婚約者はいないということだったし。

 でも、王子殿下とのお話を蹴って家督を継ぐことを優先された方だもの、ヴェルナー公爵家を継ぐルーカス様のことだって対象外だよね? ね?

 それともノアを見てるのかしら? ノアは黙っていればなかなか見栄えがするほうだし、どう見てもこの場にいるのが場違いなほどに大人びているからあの人なに? 同じ新入生なの? って不思議に思っているのかもしれない。

「あ、ねえ、ほらそしてあれが第二王子殿下ね」

 カレン様からの視線を避けるように会場を見渡していると、ひと際目立つ黄金の髪とスカイブルーの目をした王子殿下が沢山の子息たちに囲まれてどこか退屈そうにも見える顔で曖昧に微笑んでいるのが見えた。

 周囲の令嬢たちはこぞって殿下の距離を詰めたがっているようだ。

 また、これでもかと見つめている令嬢たちの視線が集中している殿下はまるでスポットライトがあたってでもいるみたい。

「そのようですね。まあ、俺たちとはあまりかかわりのないお方ですが」

 わが辺境伯家は正妃様のお産みになった第一王子のネイサン殿下を支持している。

 正妃様には第三王子殿下もいらっしゃるので、側妃様のご実家であるセルジュ公爵家がライアン殿下を次期国王にと考えている限り私たちがライアン王子と親しくする機会はないだろう。

「あーーあの……お嬢様、あちらは……」

 ノアが目立たないように視線を向けた先には、黒髪に緑の目の少女が落ち着かない様子できょろきょろしているのが見えた。

 私は初めて見るその姿に少しだけ気が重くなった。

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