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2.隣国の王太子と学友の証言
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オルタンスが思案してる間にフェルナンドが介入した理由を話し出す。
「令嬢を公衆の面前で辱めるなど騎士道精神にもとる行為を捨て置けなかった事もあるが、そもそも君の大いなる勘違いを指摘したくて我慢できなかったのだよ」
「勘違い、だと?」
「ここにいる誰しも経験があると思う。間違った事を得意満面で話している人を見ると、何故か聞いてるコチラが恥ずかしくなるあの現象を」
周囲からクスクスと小さいながら笑い声が漏れ聞こえる。
「なんだとっ!」
(フェルナンド様、私をかばって下さってると思うのだけど何でこんなに殿下を煽ってるのかしら。まさか、かばってくれてるのではなく殿下で遊んでるだけとか…、まさかね)
「では説明しましょうか。我々が通う学園は身分が一切考慮されず完全なる実力主義なのは君も知っているね? だからこそ私も含め近隣諸国からの留学生も多い。そして、成績が上位30番までの者は特進クラスとなる。君が断罪したオルタンス嬢もそうだ。ついでに言うと私もね」
フェルナンドはオルタンスと成績トップを争うライバルでもあった。
「31位からの30人は高等クラス。ここで良い成績を上げれば特進クラスの下位の者と入れ替われるという激しい競争の場だ。そこから下の約100名は普通クラスとなる。人数が多いから3クラスに分かれていたかな。そして、アルベール殿とそこのご令嬢は普通クラスでしたね」
「な!! それがどうした!! 僕の勘違いとやらとクラスは関係ないだろう!!」
公衆の面前で成績が悪いとあげつらわれたのだ、恥ずかしさを隠すために怒って見せるしかない。
「特進クラスだけ建物が違うだろう? 高等クラスと普通クラスが入る建物まで歩いて10分はかかる。女性の足だともう少しかかるかな?」
「だから、それがどうしたと訊いている!」
「授業の間の休み時間は15分しか無い。わざわざそこの男爵令嬢をイジメに行ったら次の授業に間に合わないだろ? オルタンス嬢が授業をサボったり遅刻したことは一度も無い。学園の出席簿が証拠となるだろう」
フェルナンドは中指で眼鏡のブリッジをクイッと上げる。
「昼休みは友人達と食べている様だし、授業が終われば妃教育のためすぐに王宮に移動だ。一体いつ教科書を破く事ができるのか教えていただきたいね」と肩をすくめたポーズを取る。
(そういえば、お昼も側近候補の皆さんと食べるからと、いつからか別々になりましたね……)
オルタンスは2人のやり取りを聞きながら、当事者にも関わらず呑気に物思いにふける。
「そ、それは……、いつも一緒に居る取り巻き達を使ったのだろう。な? そうだろ? リュシエンヌ」
「え? ええ、そうですわ! 大勢の方に囲まれて怖かったですぅ」
甘えるように語尾を上げ腕にすがりつき、アルベールはまんざらでも無い様子で胸を張る。
「ほら見ろ。自分の手を汚さないなどとんだ悪女だ」
「取り巻きという言い方はどうかと思うが、いつも一緒に居るという事ならご学友の事だな。コレット嬢! フルール嬢! マリエル嬢! あなた方が実行犯だと主張されていますが?」
成り行きを見守っていた令嬢3人がフェルナンドの前に並び腰に手を当てて臨戦態勢を取る。
「わたくしどもはオルタンス様の人柄のみならず慈善活動や領民の生活向上に取り組む姿勢も尊敬しお慕いしております。取り巻きに数えていただけるのは光栄な事ですが……」
「失礼ながらオルタンス様の月光のような輝きの前では貴女などくすんだガラス玉、いじめる価値すら感じておりませんし、そんな暇があるなら勉学に勤しみたいのです」
「それで、わたくしどもが普通クラスの教室に出入りしていたという目撃証言でもおありで?」
3人に早口で凄まじい圧をかけられリュシエンヌは「ひっ!」と空気の漏れるような声をあげてアルベールの背中に隠れる。アルベールは頼りにされていると感じているのだろう、まだ抵抗を試みる。
「そ、それなら……、そうだ! 普通クラスにもオルタンスを慕う者たちは居る。そういった者を使ったのであろう!」
(え? 何故わたくしがそんな人気者かのような話になっているのでしょう? 恥ずかしくて声が出せません……)
「令嬢を公衆の面前で辱めるなど騎士道精神にもとる行為を捨て置けなかった事もあるが、そもそも君の大いなる勘違いを指摘したくて我慢できなかったのだよ」
「勘違い、だと?」
「ここにいる誰しも経験があると思う。間違った事を得意満面で話している人を見ると、何故か聞いてるコチラが恥ずかしくなるあの現象を」
周囲からクスクスと小さいながら笑い声が漏れ聞こえる。
「なんだとっ!」
(フェルナンド様、私をかばって下さってると思うのだけど何でこんなに殿下を煽ってるのかしら。まさか、かばってくれてるのではなく殿下で遊んでるだけとか…、まさかね)
「では説明しましょうか。我々が通う学園は身分が一切考慮されず完全なる実力主義なのは君も知っているね? だからこそ私も含め近隣諸国からの留学生も多い。そして、成績が上位30番までの者は特進クラスとなる。君が断罪したオルタンス嬢もそうだ。ついでに言うと私もね」
フェルナンドはオルタンスと成績トップを争うライバルでもあった。
「31位からの30人は高等クラス。ここで良い成績を上げれば特進クラスの下位の者と入れ替われるという激しい競争の場だ。そこから下の約100名は普通クラスとなる。人数が多いから3クラスに分かれていたかな。そして、アルベール殿とそこのご令嬢は普通クラスでしたね」
「な!! それがどうした!! 僕の勘違いとやらとクラスは関係ないだろう!!」
公衆の面前で成績が悪いとあげつらわれたのだ、恥ずかしさを隠すために怒って見せるしかない。
「特進クラスだけ建物が違うだろう? 高等クラスと普通クラスが入る建物まで歩いて10分はかかる。女性の足だともう少しかかるかな?」
「だから、それがどうしたと訊いている!」
「授業の間の休み時間は15分しか無い。わざわざそこの男爵令嬢をイジメに行ったら次の授業に間に合わないだろ? オルタンス嬢が授業をサボったり遅刻したことは一度も無い。学園の出席簿が証拠となるだろう」
フェルナンドは中指で眼鏡のブリッジをクイッと上げる。
「昼休みは友人達と食べている様だし、授業が終われば妃教育のためすぐに王宮に移動だ。一体いつ教科書を破く事ができるのか教えていただきたいね」と肩をすくめたポーズを取る。
(そういえば、お昼も側近候補の皆さんと食べるからと、いつからか別々になりましたね……)
オルタンスは2人のやり取りを聞きながら、当事者にも関わらず呑気に物思いにふける。
「そ、それは……、いつも一緒に居る取り巻き達を使ったのだろう。な? そうだろ? リュシエンヌ」
「え? ええ、そうですわ! 大勢の方に囲まれて怖かったですぅ」
甘えるように語尾を上げ腕にすがりつき、アルベールはまんざらでも無い様子で胸を張る。
「ほら見ろ。自分の手を汚さないなどとんだ悪女だ」
「取り巻きという言い方はどうかと思うが、いつも一緒に居るという事ならご学友の事だな。コレット嬢! フルール嬢! マリエル嬢! あなた方が実行犯だと主張されていますが?」
成り行きを見守っていた令嬢3人がフェルナンドの前に並び腰に手を当てて臨戦態勢を取る。
「わたくしどもはオルタンス様の人柄のみならず慈善活動や領民の生活向上に取り組む姿勢も尊敬しお慕いしております。取り巻きに数えていただけるのは光栄な事ですが……」
「失礼ながらオルタンス様の月光のような輝きの前では貴女などくすんだガラス玉、いじめる価値すら感じておりませんし、そんな暇があるなら勉学に勤しみたいのです」
「それで、わたくしどもが普通クラスの教室に出入りしていたという目撃証言でもおありで?」
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