王太子レオールと側近セバス(完結)

にのまえ

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ローターとぬるぬる液に溺れる夜(前)

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 7月末前。
 執務開始直後、夏季休暇に入ったミッシェルの使いが執務室を訪れた。部屋に通すと使いは頭を下げて俺に申した。

「ミッシェル王女からの言付けです。レオール王太子殿下に王女から贈り物があるらしく、昼食を庭園のテラスでご一緒いたしませんか、と申されました」

(ミッシェルが俺に贈り物?)

「分かった、ミッシェルには昼頃にテラスに行くと伝えてくれ」

「かしこまりました」







 時刻はお昼頃。

(そろそろ時間か)

「セバス、昼食に行ってくる」

「はい、いってらっしゃいませ」

 俺はミッシェルが待つ庭園のテラスに向かった。そこに着くと弟のアーサーも来ていた。2人は俺が来たことがわかると立ち上がった。

「ごきげんよう、お兄様」

「こんにちは、兄上」

「こんにちは。ミッシェル、昼食のお招きありがとう」

 ミッシェルに手を引かれてテーブルに着くと、軽めのコース料理が運ばれ兄弟の昼食が始まった。しばらくして食事の手を止めた妹は開口一番、頬を染めて俺たちに言葉の矢を放った。

「お兄様方、側近の方とはどうですの? 執務室で、寝室で、熱い夜をお過ごしでしょうか?」

(唐突だな、妹はセバスと俺のことも知っているのか)

 どうミッシェルに答えるか悩むなか、アーサーはすんなり答えた。

「何を今更、毎晩の様に熱い夜を過ごしているぞ、リュートは物凄く可愛い」

「まぁ、そうなんですの。アーサーお兄様はどんな熱い夜をお過ごしですの?」

「俺か、俺はな」

 その後はアーサーは側近と、どんな夜を過ごしているのかを詳しく話だした。ミッシェルはその話に質問しながら楽しそうに聞いている。終いにアーサーはどんな体位でやるかも妹に話だした。

(お前は側近との交接を妹に話しても気にしないのか……俺は余り話したくはないな。セバスとの事は俺だけの胸に留めたい)

 それにデリケートな部分だ。それがミッシェルにも分かるのか、俺にはその話を振ってこなかった。

 ここでお構いなしアーサーは。

「レオール兄上はセバスとどうなの? 仲良くやってる? リュートに聞いても『それなりにやってますよ』としか言わないんだ」


(全くお前は……)


「アーサー、俺とセバスは普通だよ。お前はやり過ぎてはいないのか? 側近の体調もしっかり見てやれよ」


(……って、なんて話を俺にさせるんだ)

 
 昼間から赤バラが見渡せる庭園で、使用人、警備騎士を下がらせ、年頃の兄弟がする話かと思う。

「兄上、分かってるって。裸で抱き合って寝るだけでも良い日もあるし、挿れずにお互いのを触る時もあるから、そこはちゃんとしてる」

「……裸で、そうか」

(アーサーもその辺はしっかり考えているんだな、少し安心した)

 しだいに会話はミッシェルの学園の話になり、あの日ーー俺に媚薬を持った日以来、エリザベスが学園に通っていないと聞いた。それを聞いても、俺はエリザベスに何を言ってやるつもりも、許すつもりもない。

(セバスとの仲は深まったが)

  エリザベスがした事は自業自得でしかない。しかし、このままでもいかない。もう少し考え、正式に答えを出すしかないようだ。

 8月過ぎになったら父上と母上を会食に誘い、そこで俺の気持ちを伝えるとしよう。

「兄上、ミッシェル、もう直ぐ8月だな。別荘に行く用意を始めないとな。僕、楽しみで仕方ないんだ!」

 アーサーの一言で俺たちの会話は変わり、別荘でどのように過ごすかプール、露天風呂、話が弾み食事も進んだ。

 食事も終盤ーーデザートに差し掛かるとミッシェルがテーブルに、白いリボンのかかったピンク色の箱を2つ置いた。

(渡したいものとはそれか……)

「お兄様2人に私からのプレゼントですわ、側近の方とお使いくださいませ」

「リュートと? なんだ、いかがわしいもんか?」

「そんなんじゃありませんわ。2人の夜を熱くするラブグッズですわ。お使いになるかならないかは、お兄様2人にお任せいたします。私、この後。用事がありますのでここで失礼しますわ、お兄様方ごきげんよう」

(ラブグッズ?)

 またミッシェルは変なものを買って来たものだ。だが、中身によってはセバスとの夜に使うのもありか。


(セバスのエロい顔は見たい)


「アーサー、俺も執務に戻る。側近を大切にしろよ。それと、その箱は部屋に戻ってから開けたほうがいいと思うぞ」

  箱を開けようとしたアーサーを止めて、俺はセバスが待つ執務室に戻った。
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