12 / 52
ローターとぬるぬる液に溺れる夜(前)
しおりを挟む
7月末前。
執務開始直後、夏季休暇に入ったミッシェルの使いが執務室を訪れた。部屋に通すと使いは頭を下げて俺に申した。
「ミッシェル王女からの言付けです。レオール王太子殿下に王女から贈り物があるらしく、昼食を庭園のテラスでご一緒いたしませんか、と申されました」
(ミッシェルが俺に贈り物?)
「分かった、ミッシェルには昼頃にテラスに行くと伝えてくれ」
「かしこまりました」
+
時刻はお昼頃。
(そろそろ時間か)
「セバス、昼食に行ってくる」
「はい、いってらっしゃいませ」
俺はミッシェルが待つ庭園のテラスに向かった。そこに着くと弟のアーサーも来ていた。2人は俺が来たことがわかると立ち上がった。
「ごきげんよう、お兄様」
「こんにちは、兄上」
「こんにちは。ミッシェル、昼食のお招きありがとう」
ミッシェルに手を引かれてテーブルに着くと、軽めのコース料理が運ばれ兄弟の昼食が始まった。しばらくして食事の手を止めた妹は開口一番、頬を染めて俺たちに言葉の矢を放った。
「お兄様方、側近の方とはどうですの? 執務室で、寝室で、熱い夜をお過ごしでしょうか?」
(唐突だな、妹はセバスと俺のことも知っているのか)
どうミッシェルに答えるか悩むなか、アーサーはすんなり答えた。
「何を今更、毎晩の様に熱い夜を過ごしているぞ、リュートは物凄く可愛い」
「まぁ、そうなんですの。アーサーお兄様はどんな熱い夜をお過ごしですの?」
「俺か、俺はな」
その後はアーサーは側近と、どんな夜を過ごしているのかを詳しく話だした。ミッシェルはその話に質問しながら楽しそうに聞いている。終いにアーサーはどんな体位でやるかも妹に話だした。
(お前は側近との交接を妹に話しても気にしないのか……俺は余り話したくはないな。セバスとの事は俺だけの胸に留めたい)
それにデリケートな部分だ。それがミッシェルにも分かるのか、俺にはその話を振ってこなかった。
ここでお構いなしアーサーは。
「レオール兄上はセバスとどうなの? 仲良くやってる? リュートに聞いても『それなりにやってますよ』としか言わないんだ」
(全くお前は……)
「アーサー、俺とセバスは普通だよ。お前はやり過ぎてはいないのか? 側近の体調もしっかり見てやれよ」
(……って、なんて話を俺にさせるんだ)
昼間から赤バラが見渡せる庭園で、使用人、警備騎士を下がらせ、年頃の兄弟がする話かと思う。
「兄上、分かってるって。裸で抱き合って寝るだけでも良い日もあるし、挿れずにお互いのを触る時もあるから、そこはちゃんとしてる」
「……裸で、そうか」
(アーサーもその辺はしっかり考えているんだな、少し安心した)
しだいに会話はミッシェルの学園の話になり、あの日ーー俺に媚薬を持った日以来、エリザベスが学園に通っていないと聞いた。それを聞いても、俺はエリザベスに何を言ってやるつもりも、許すつもりもない。
(セバスとの仲は深まったが)
エリザベスがした事は自業自得でしかない。しかし、このままでもいかない。もう少し考え、正式に答えを出すしかないようだ。
8月過ぎになったら父上と母上を会食に誘い、そこで俺の気持ちを伝えるとしよう。
「兄上、ミッシェル、もう直ぐ8月だな。別荘に行く用意を始めないとな。僕、楽しみで仕方ないんだ!」
アーサーの一言で俺たちの会話は変わり、別荘でどのように過ごすかプール、露天風呂、話が弾み食事も進んだ。
食事も終盤ーーデザートに差し掛かるとミッシェルがテーブルに、白いリボンのかかったピンク色の箱を2つ置いた。
(渡したいものとはそれか……)
「お兄様2人に私からのプレゼントですわ、側近の方とお使いくださいませ」
「リュートと? なんだ、いかがわしいもんか?」
「そんなんじゃありませんわ。2人の夜を熱くするラブグッズですわ。お使いになるかならないかは、お兄様2人にお任せいたします。私、この後。用事がありますのでここで失礼しますわ、お兄様方ごきげんよう」
(ラブグッズ?)
またミッシェルは変なものを買って来たものだ。だが、中身によってはセバスとの夜に使うのもありか。
(セバスのエロい顔は見たい)
「アーサー、俺も執務に戻る。側近を大切にしろよ。それと、その箱は部屋に戻ってから開けたほうがいいと思うぞ」
箱を開けようとしたアーサーを止めて、俺はセバスが待つ執務室に戻った。
執務開始直後、夏季休暇に入ったミッシェルの使いが執務室を訪れた。部屋に通すと使いは頭を下げて俺に申した。
「ミッシェル王女からの言付けです。レオール王太子殿下に王女から贈り物があるらしく、昼食を庭園のテラスでご一緒いたしませんか、と申されました」
(ミッシェルが俺に贈り物?)
「分かった、ミッシェルには昼頃にテラスに行くと伝えてくれ」
「かしこまりました」
+
時刻はお昼頃。
(そろそろ時間か)
「セバス、昼食に行ってくる」
「はい、いってらっしゃいませ」
俺はミッシェルが待つ庭園のテラスに向かった。そこに着くと弟のアーサーも来ていた。2人は俺が来たことがわかると立ち上がった。
「ごきげんよう、お兄様」
「こんにちは、兄上」
「こんにちは。ミッシェル、昼食のお招きありがとう」
ミッシェルに手を引かれてテーブルに着くと、軽めのコース料理が運ばれ兄弟の昼食が始まった。しばらくして食事の手を止めた妹は開口一番、頬を染めて俺たちに言葉の矢を放った。
「お兄様方、側近の方とはどうですの? 執務室で、寝室で、熱い夜をお過ごしでしょうか?」
(唐突だな、妹はセバスと俺のことも知っているのか)
どうミッシェルに答えるか悩むなか、アーサーはすんなり答えた。
「何を今更、毎晩の様に熱い夜を過ごしているぞ、リュートは物凄く可愛い」
「まぁ、そうなんですの。アーサーお兄様はどんな熱い夜をお過ごしですの?」
「俺か、俺はな」
その後はアーサーは側近と、どんな夜を過ごしているのかを詳しく話だした。ミッシェルはその話に質問しながら楽しそうに聞いている。終いにアーサーはどんな体位でやるかも妹に話だした。
(お前は側近との交接を妹に話しても気にしないのか……俺は余り話したくはないな。セバスとの事は俺だけの胸に留めたい)
それにデリケートな部分だ。それがミッシェルにも分かるのか、俺にはその話を振ってこなかった。
ここでお構いなしアーサーは。
「レオール兄上はセバスとどうなの? 仲良くやってる? リュートに聞いても『それなりにやってますよ』としか言わないんだ」
(全くお前は……)
「アーサー、俺とセバスは普通だよ。お前はやり過ぎてはいないのか? 側近の体調もしっかり見てやれよ」
(……って、なんて話を俺にさせるんだ)
昼間から赤バラが見渡せる庭園で、使用人、警備騎士を下がらせ、年頃の兄弟がする話かと思う。
「兄上、分かってるって。裸で抱き合って寝るだけでも良い日もあるし、挿れずにお互いのを触る時もあるから、そこはちゃんとしてる」
「……裸で、そうか」
(アーサーもその辺はしっかり考えているんだな、少し安心した)
しだいに会話はミッシェルの学園の話になり、あの日ーー俺に媚薬を持った日以来、エリザベスが学園に通っていないと聞いた。それを聞いても、俺はエリザベスに何を言ってやるつもりも、許すつもりもない。
(セバスとの仲は深まったが)
エリザベスがした事は自業自得でしかない。しかし、このままでもいかない。もう少し考え、正式に答えを出すしかないようだ。
8月過ぎになったら父上と母上を会食に誘い、そこで俺の気持ちを伝えるとしよう。
「兄上、ミッシェル、もう直ぐ8月だな。別荘に行く用意を始めないとな。僕、楽しみで仕方ないんだ!」
アーサーの一言で俺たちの会話は変わり、別荘でどのように過ごすかプール、露天風呂、話が弾み食事も進んだ。
食事も終盤ーーデザートに差し掛かるとミッシェルがテーブルに、白いリボンのかかったピンク色の箱を2つ置いた。
(渡したいものとはそれか……)
「お兄様2人に私からのプレゼントですわ、側近の方とお使いくださいませ」
「リュートと? なんだ、いかがわしいもんか?」
「そんなんじゃありませんわ。2人の夜を熱くするラブグッズですわ。お使いになるかならないかは、お兄様2人にお任せいたします。私、この後。用事がありますのでここで失礼しますわ、お兄様方ごきげんよう」
(ラブグッズ?)
またミッシェルは変なものを買って来たものだ。だが、中身によってはセバスとの夜に使うのもありか。
(セバスのエロい顔は見たい)
「アーサー、俺も執務に戻る。側近を大切にしろよ。それと、その箱は部屋に戻ってから開けたほうがいいと思うぞ」
箱を開けようとしたアーサーを止めて、俺はセバスが待つ執務室に戻った。
0
あなたにおすすめの小説
禁断の祈祷室
土岐ゆうば(金湯叶)
BL
リュアオス神を祀る神殿の神官長であるアメデアには専用の祈祷室があった。
アメデア以外は誰も入ることが許されない部屋には、神の像と燭台そして聖典があるだけ。窓もなにもなく、出入口は木の扉一つ。扉の前には護衛が待機しており、アメデア以外は誰もいない。
それなのに祈祷が終わると、アメデアの体には情交の痕がある。アメデアの聖痕は濃く輝き、その強力な神聖力によって人々を助ける。
救済のために神は神官を抱くのか。
それとも愛したがゆえに彼を抱くのか。
神×神官の許された神秘的な夜の話。
※小説家になろう(ムーンライトノベルズ)でも掲載しています。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる