寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。

にのまえ

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九十二

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 流石の独身三人も!この事態に気が付き、竜を優しく下ろした。

「マジか! 俺は竜達に酷いことをしちまったのか」
「気付かなかった、俺も同じだ……」
「コレは、私としたことが気付きませんでした」

 反省をし始める三人に、ナサは。

「シッシシ、みんなで緊張していたんだから仕方ねぇよ。親父、ここに片割れを呼んで説明しようぜ!」

『その方がいいな。竜よ、旦那をここに呼べ』

 竜が中央区で暴れて、怪我人が出る前に、呼ぶことにコチラにした。

「はい、呼びます」

 息を吸い、番を呼んだ。


 ギャオォォォォン、ギャオ、ギャオ!!
 ギャオォォォォン

 キャオン


 ロカが通訳してくれる。

「ジン、こっちに来て北門の外で待ってる……だそうです」

「すぐ、そっちに行く」
「……待ってる」

 竜の夫妻、旦那はジン、嫁はシャン。

『よし、竜の呼びかけに成功したような、片割れが北門に来るな』

 ナサのお父様は薄暗くなってきた空を仰いだ。



 時刻は七時で外は暗くなり。
 ミカとロカは光の魔法を使い北門の外を照らし、北門にある篝火にも火を灯した。

 みんなは今かと、片割れの到着を待っている。

「ここにジンが来たわ、私はここよ!」

 竜は嬉しそうに夜空を見上げて笑った。
 いなくなってから探してようやく会えた番、彼女の瞳からはポタポタ涙が流れる。

 その前に短な黒髪と切長な赤い瞳で長身、汚れたシャツとスラックス。手枷と足枷とちぎれた鎖が着いている。

「シャン、そいつらは誰だ! ……余がいないからと、よそのものと仲良くしていたのか?」

「違うの、私、ズッと貴方を探していたの……探して、悪いこともしたし、私、……私、置いていかれて寂しかった」

 ポタポタ涙を流して、寂しかったと伝える。
 竜は驚いたような表情と、眉をひそめて、

「すまない、まだ幼い竜のシャンを守りたかった。しばらくすればなにもなくなり、また会えると思っていた……余の説明不足だ、探してくれてありがとう」


 彼女に向けて手を広げた、その腕の中に飛び込む。
 長年会えなかった二人はしっかりと抱き合う。

 それをみたお父様は両手を空にあげて、

『ウオォォォーー! めでたいな!』

「シッシシ、めでたい!」
「ええ、おめでたいわ」

 みんな竜夫妻に拍手っと、喜びの言葉をかけた。
 終わったのをみて隠れていた、ユーシリンの人々が現れて、お父様にお母様が近付き。

「あんた、国から野営のために酒と材料持ってきたんだけど、いまから何か作るかい?」

『おお、それはいいな。こんな、めでたい日には美味い酒を飲んで、美味いもんを食べよう!!』

 お父様の声にみんなは声を上げ、火を起こして、料理を作り始めた。
 

 しばらくして料理ができて宴が始まる。
 そこにお兄様とランドル様が戻ってきて報告する、今夜の舞踏会は中止となった。

 明日の夜におこなえたら、各貴族に連絡すると言っていたそうだ。
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