王子とヒロインに騙された私を救ったのは、優しいもふもふの王子様でした。

にのまえ

文字の大きさ
17 / 20

十七

しおりを挟む
 ベッドに潜り気付く。

「私、服を着てない」

 さっき着た服はどこに、いってしまったの?
 それに裸でベッドの上だなんて
 もぞもぞと顔だけを出して、リュート様にお願いをした。

「あの、リュート様。何か着るものを貸してください」
「ここに僕のシャツを置いておくね。お腹すいたから、キッチンに見てくるね」

 そう言って、リュート様は部屋を出て行った。
 私が着替えやすくしてくれたんだ、彼の気遣いに感謝してベッドから這い出た。


 (えっ?)


 リュート様の部屋の姿見に映るのは、銀色の耳と尻尾が生えた……私?
 耳と尻尾を触るとふわふわ、もふもふ。

「獣人に……なったの?」

 どうして? 
 その謎はいくら考えても分からない。

「「くしゅん」服、服」

 リュート様のシャツを着たのだけど……尻尾がピンと上を向いてしまって、尻尾がシャツをめくりお尻がでちゃう。

 どうにか隠そうと悪戦苦闘中に、ガチャッと扉が開き、リュート様が戻って来た。

「リア、キッチンに桃とぶどうがあったよ。それと紅茶を入れてきた」
「あ、ありがとう、リュート様」

 私のおどおどした姿と、キレの悪い返事にこちらを向いた。

「リア?」

「あの、リュート様! 尻尾が……なぜか、上に、上がっちゃうの」
「ん? 尻尾? うわっ、リア! 鏡にお尻が映ってる!」

 えっ? お尻?

 顔はリュート様の方に向けているけど、お尻は鏡の前……鏡ごしにリュート様に丸見えだ。

 慌てて、お尻を押さえたけど

「やだぁ、隠れない、隠れてくれないわ」
「ふふっ、落ち着いてリア。ベッドに座って」

「うん……」

 ちょこんと座ると、彼はベッド近くにテーブルを運び、キッチンから持ってきた果物と紅茶を置いた。


「さあ、食べよう」


 リュート様は横に座り、桃をフォークにさした。

「リア、あーん」
「あーん」

 リュート様につられて口を開けると、小さく切った桃が口のなかに。
 噛むと桃の果汁が溢れて、みずみずしくて喉を潤す。

「美味しい」
「うん、美味しいね」

 微笑んだリュート様に心がほんわかして、嬉しくて、尻尾がふりふりと揺れた。

 その後も、桃とぶどうを食べさせてもらい、ふりふり。
 紅茶を飲んでも、ふりふり。

(ううっ……ふりふりが止まらない)


 これって、恥ずかしいことじゃない?
 喜んでいる気持ちを隠せない、リュート様に丸わかり。

「僕もだけど、リアとリアの尻尾が喜んでいるね」

 リュート様の長い尻尾が伸びて来て、くるりと私の尻尾を絡ませてきた。

「あっ、く、くすぐったいわ」
「そう?」

 こちょこちょと尻尾で、くすぐってくる。

「ふふっ、もう、リュート様たら」
「リアの尻尾はふさふさで、触り心地がいいね」

 私の尻尾はもふっとふさふさで、リュート様の尻尾は毛が短くて、しなやか、それが絡み合ってる。

 なんだか、少し、エッチだ。

 でも、これって恋人同士みたい。

「リア。今、僕達、恋人同士みたいだ」

 リュート様も同じことを考えてる。

 嬉しい。


 ♢


「……っ」
「リアの愛は激しいね」

「ううっ……(真っ赤)」

 可愛いふりふりから、ぶんぶんと激しい愛情表現に変わった。


 だって、止まらないのですもの!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。 「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

【 完結 】「婚約破棄」されましたので、恥ずかしいから帰っても良いですか?

しずもり
恋愛
ミレーヌはガルド国のシルフィード公爵令嬢で、この国の第一王子アルフリートの婚約者だ。いや、もう元婚約者なのかも知れない。 王立学園の卒業パーティーが始まる寸前で『婚約破棄』を宣言されてしまったからだ。アルフリートの隣にはピンクの髪の美少女を寄り添わせて、宣言されたその言葉にミレーヌが悲しむ事は無かった。それよりも彼女の心を占めていた感情はー。 恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい!! ミレーヌは恥ずかしかった。今すぐにでも気を失いたかった。 この国で、学園で、知っていなければならない、知っている筈のアレを、第一王子たちはいつ気付くのか。 孤軍奮闘のミレーヌと愉快な王子とお馬鹿さんたちのちょっと変わった断罪劇です。 なんちゃって異世界のお話です。 時代考証など皆無の緩い設定で、殆どを現代風の口調、言葉で書いています。 HOT2位 &人気ランキング 3位になりました。(2/24) 数ある作品の中で興味を持って下さりありがとうございました。 *国の名前をオレーヌからガルドに変更しました。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

悪役令嬢だとわかったので身を引こうとしたところ、何故か溺愛されました。

香取鞠里
恋愛
公爵令嬢のマリエッタは、皇太子妃候補として育てられてきた。 皇太子殿下との仲はまずまずだったが、ある日、伝説の女神として現れたサクラに皇太子妃の座を奪われてしまう。 さらには、サクラの陰謀により、マリエッタは反逆罪により国外追放されて、のたれ死んでしまう。 しかし、死んだと思っていたのに、気づけばサクラが現れる二年前の16歳のある日の朝に戻っていた。 それは避けなければと別の行き方を探るが、なぜか殿下に一度目の人生の時以上に溺愛されてしまい……!?

【完結】ハメられて追放された悪役令嬢ですが、爬虫類好きな私はドラゴンだってサイコーです。

美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
 やってもいない罪を被せられ、公爵令嬢だったルナティアは断罪される。  王太子であった婚約者も親友であったサーシャに盗られ、家族からも見捨てられてしまった。  教会に生涯幽閉となる手前で、幼馴染である宰相の手腕により獣人の王であるドラゴンの元へ嫁がされることに。  惨めだとあざ笑うサーシャたちを無視し、悲嘆にくれるように見えたルナティアだが、実は大の爬虫類好きだった。  簡単に裏切る人になんてもう未練はない。  むしろ自分の好きなモノたちに囲まれている方が幸せデス。

断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる

葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。 アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。 アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。 市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。

死亡予定の脇役令嬢に転生したら、断罪前に裏ルートで皇帝陛下に溺愛されました!?

六角
恋愛
「え、私が…断罪?処刑?――冗談じゃないわよっ!」 前世の記憶が蘇った瞬間、私、公爵令嬢スカーレットは理解した。 ここが乙女ゲームの世界で、自分がヒロインをいじめる典型的な悪役令嬢であり、婚約者のアルフォンス王太子に断罪される未来しかないことを! その元凶であるアルフォンス王太子と聖女セレスティアは、今日も今日とて私の目の前で愛の劇場を繰り広げている。 「まあアルフォンス様! スカーレット様も本当は心優しい方のはずですわ。わたくしたちの真実の愛の力で彼女を正しい道に導いて差し上げましょう…!」 「ああセレスティア!君はなんて清らかなんだ!よし、我々の愛でスカーレットを更生させよう!」 (…………はぁ。茶番は他所でやってくれる?) 自分たちの恋路に酔いしれ、私を「救済すべき悪」と見なすめでたい頭の二人組。 あなたたちの自己満足のために私の首が飛んでたまるものですか! 絶望の淵でゲームの知識を総動員して見つけ出した唯一の活路。 それは血も涙もない「漆黒の皇帝」と万人に恐れられる若き皇帝ゼノン陛下に接触するという、あまりに危険な【裏ルート】だった。 「命惜しさにこの私に魂でも売りに来たか。愚かで滑稽で…そして実に唆る女だ、スカーレット」 氷の視線に射抜かれ覚悟を決めたその時。 冷酷非情なはずの皇帝陛下はなぜか私の悪あがきを心底面白そうに眺め、その美しい唇を歪めた。 「良いだろう。お前を私の『籠の中の真紅の鳥』として、この手ずから愛でてやろう」 その日から私の運命は激変! 「他の男にその瞳を向けるな。お前のすべては私のものだ」 皇帝陛下からの凄まじい独占欲と息もできないほどの甘い溺愛に、スカーレットの心臓は鳴りっぱなし!? その頃、王宮では――。 「今頃スカーレットも一人寂しく己の罪を反省しているだろう」 「ええアルフォンス様。わたくしたちが彼女を温かく迎え入れてあげましょうね」 などと最高にズレた会話が繰り広げられていることを、彼らはまだ知らない。 悪役(笑)たちが壮大な勘違いをしている間に、最強の庇護者(皇帝陛下)からの溺愛ルート、確定です!

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

処理中です...