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5話
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「なんなの?」と、喉元まで出かけた言葉をぐっと飲み込む。
王妃教育を終え、私は夕食の時間まで書庫に籠もり、いつものように部屋でひとり、静かに食事を楽しむつもりだった。
しかし、書庫から部屋へと戻った私を待ち受けていたのは、アーイス殿下専属のメイド。彼女は控えめに、一礼しながら告げる。
「ミーシャ様。アーイス殿下より、夕食へのご招待を承っております」
――殿下から、食事の招待? うわっ、面倒くさい。
喉元まで出かかった、言葉をあわてて飲み込む。
いま招待を受けた、アーイス殿下の食事の場には、国王夫妻が同席する可能性が高い。この状況で「断る」という選択肢が、私に与えられていない。
ため息をひとつ胸の内に収め、私は無言で頷く。メイドが退出した後、自分の専属メイドを呼び寄せた。
「ミーシャ様、どうなさいました?」
「アーイス殿下から夕食に招かれたわ。王妃教育で汗をかいたから、さっと流しておきたいの。それと、ドレスの用意もお願いね」
「かしこまりました。すぐにご用意いたします」
「よろしく頼むわ」
支度を整え、重々しい気持ちで食堂へ向かうと、国王と王妃の姿は見当たらなかった。
国王の執事が「陛下と王妃は所用で、食事が遅れる」と説明するが、それが真実かどうかはどうでもよい。お二人が「聖女カオリ」を快く思っていないことは、私も含め皆が知っている。
小さくため息を吐き、席につくと、アーイス殿下の隣に聖女カオリがいた。
彼女はピンク色のドレスを身に纏い、愛らしい笑顔でアーイス殿下に寄り添い。豪華な食事を前に、二人は楽しそうに会話を交わしている。だが、それに何か言うつもりはない。私にとって今最も重要なのは、目の前に並ぶ料理だ。
「いただきます」
スープを一口飲むと、口の中に広がる深い旨味。続いて、柔らかい肉と香り高い焼きたてのパン、新鮮な野菜に彩られたドレッシング。それらを静かに堪能する。
――至福の時間。
食事を楽しんでいる最中、不意に声をかけられた。
「ミーシャ嬢は、よく食べるね」
アーイス殿下が、興味深げにこちらを見ていた。
「あら、そうかしら? 本日、ダンスレッスンがありましたし、何より料理が美味しいのですもの」
にっこりと笑顔を返すと、聖女カオリが驚いたように目を輝かせた。
「えっ、ミーシャさんはダンスが踊れるのですか?」
その「さん」付けの呼び方に、周囲がざわつく。私も、彼女の呼び方になにか意図のようなものを感じたが、面倒ごとは避けたい。
「はい、一応は。上手とは言えませんが」
と、気にせず微笑んで答え。デザートの苺を口に運び、紅茶を飲み食事を終えた。
「ごちそうさまでした。あとは、お二人でごゆっくり、お食事を楽しんでください」
さっと席を立ち、背を向け、食堂を後にしたのだった。
王妃教育を終え、私は夕食の時間まで書庫に籠もり、いつものように部屋でひとり、静かに食事を楽しむつもりだった。
しかし、書庫から部屋へと戻った私を待ち受けていたのは、アーイス殿下専属のメイド。彼女は控えめに、一礼しながら告げる。
「ミーシャ様。アーイス殿下より、夕食へのご招待を承っております」
――殿下から、食事の招待? うわっ、面倒くさい。
喉元まで出かかった、言葉をあわてて飲み込む。
いま招待を受けた、アーイス殿下の食事の場には、国王夫妻が同席する可能性が高い。この状況で「断る」という選択肢が、私に与えられていない。
ため息をひとつ胸の内に収め、私は無言で頷く。メイドが退出した後、自分の専属メイドを呼び寄せた。
「ミーシャ様、どうなさいました?」
「アーイス殿下から夕食に招かれたわ。王妃教育で汗をかいたから、さっと流しておきたいの。それと、ドレスの用意もお願いね」
「かしこまりました。すぐにご用意いたします」
「よろしく頼むわ」
支度を整え、重々しい気持ちで食堂へ向かうと、国王と王妃の姿は見当たらなかった。
国王の執事が「陛下と王妃は所用で、食事が遅れる」と説明するが、それが真実かどうかはどうでもよい。お二人が「聖女カオリ」を快く思っていないことは、私も含め皆が知っている。
小さくため息を吐き、席につくと、アーイス殿下の隣に聖女カオリがいた。
彼女はピンク色のドレスを身に纏い、愛らしい笑顔でアーイス殿下に寄り添い。豪華な食事を前に、二人は楽しそうに会話を交わしている。だが、それに何か言うつもりはない。私にとって今最も重要なのは、目の前に並ぶ料理だ。
「いただきます」
スープを一口飲むと、口の中に広がる深い旨味。続いて、柔らかい肉と香り高い焼きたてのパン、新鮮な野菜に彩られたドレッシング。それらを静かに堪能する。
――至福の時間。
食事を楽しんでいる最中、不意に声をかけられた。
「ミーシャ嬢は、よく食べるね」
アーイス殿下が、興味深げにこちらを見ていた。
「あら、そうかしら? 本日、ダンスレッスンがありましたし、何より料理が美味しいのですもの」
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「えっ、ミーシャさんはダンスが踊れるのですか?」
その「さん」付けの呼び方に、周囲がざわつく。私も、彼女の呼び方になにか意図のようなものを感じたが、面倒ごとは避けたい。
「はい、一応は。上手とは言えませんが」
と、気にせず微笑んで答え。デザートの苺を口に運び、紅茶を飲み食事を終えた。
「ごちそうさまでした。あとは、お二人でごゆっくり、お食事を楽しんでください」
さっと席を立ち、背を向け、食堂を後にしたのだった。
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