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万能の実の威力
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カルロ家族の家は庭の奥にある。その木製のコンコンコンと家の扉を叩くと、枯れたカルロの中から声が聞こえた。彼が病気になったすぐ、マサさんとリヤさんは屋敷の間部屋に移動してもらっている。
「カルロ、入ってもいい?」
「え? マリーナお嬢様? だ、だめです! たぶん、移ります」
《そうなのか? お前に薬を持ってきた》
「え? 薬? この声が誰かわかりませんが、扉を少し開けますので、そこから受け取ります」
どうやら憑依した事によってカルロにも、トラ丸の言葉が聞こえたみたいで。目の前の扉が少しだけ開き、細くなった彼の手が出てくる。私はその手に万能の実がなった皿を渡した。
「カルロ、まずはひとつだけ食べてみて。ダメだったら、もうひとつ食べてみて」
「これは紫色をした……ジャガイモですか? はじめてみますね。いただきます」
扉の向こうで食べてくれるのがわかったが。ひとつ食べたすぐ――「おお! な、なんですかこのみなぎるパワーは?」と、彼の雄叫びが聞こえた。
「体が熱い、熱い――!」
「カルロ!」
《大丈夫か!》
あわてて扉を開けた私とトラ丸の目の前で、カルロの服が"パン!"弾け飛び……ムキムキ、細マッチョの裸体が目に入る。
「ひゃぁ――!!」
《おお! なかなかいい体だな。それで体はどうだ?》
「なんだか分かりませんが、調子はバツグンです! マリーナお嬢様と誰だかわからない人――ありがとう!」
いつもの落ち着いた優しいカルロじゃない……アツい、アツいよう。もしかしてゲドウさんは万能の実を、一度にたくさん食べては"だめ"だと言いたかったのかな?
《病気が吹っ飛び、元気になってよかったな》
「う、うん」
万能の実のおかげで、パワーが溢れて仕方がないのか。カルロは満面の笑みで筋トレをはじめた。いつもの彼じゃない――明日も同じだったら、ゲドウさんに聞きに王都へ行こうーーそう、それしかない。
「あ、あのカルロ……今日1日は部屋で過ごしてね。何か欲しいものがあったら持ってくるから」
「はい、ありがとうございます!」
私はそれだけ言って、ソッと扉を閉めた。
「カルロ、入ってもいい?」
「え? マリーナお嬢様? だ、だめです! たぶん、移ります」
《そうなのか? お前に薬を持ってきた》
「え? 薬? この声が誰かわかりませんが、扉を少し開けますので、そこから受け取ります」
どうやら憑依した事によってカルロにも、トラ丸の言葉が聞こえたみたいで。目の前の扉が少しだけ開き、細くなった彼の手が出てくる。私はその手に万能の実がなった皿を渡した。
「カルロ、まずはひとつだけ食べてみて。ダメだったら、もうひとつ食べてみて」
「これは紫色をした……ジャガイモですか? はじめてみますね。いただきます」
扉の向こうで食べてくれるのがわかったが。ひとつ食べたすぐ――「おお! な、なんですかこのみなぎるパワーは?」と、彼の雄叫びが聞こえた。
「体が熱い、熱い――!」
「カルロ!」
《大丈夫か!》
あわてて扉を開けた私とトラ丸の目の前で、カルロの服が"パン!"弾け飛び……ムキムキ、細マッチョの裸体が目に入る。
「ひゃぁ――!!」
《おお! なかなかいい体だな。それで体はどうだ?》
「なんだか分かりませんが、調子はバツグンです! マリーナお嬢様と誰だかわからない人――ありがとう!」
いつもの落ち着いた優しいカルロじゃない……アツい、アツいよう。もしかしてゲドウさんは万能の実を、一度にたくさん食べては"だめ"だと言いたかったのかな?
《病気が吹っ飛び、元気になってよかったな》
「う、うん」
万能の実のおかげで、パワーが溢れて仕方がないのか。カルロは満面の笑みで筋トレをはじめた。いつもの彼じゃない――明日も同じだったら、ゲドウさんに聞きに王都へ行こうーーそう、それしかない。
「あ、あのカルロ……今日1日は部屋で過ごしてね。何か欲しいものがあったら持ってくるから」
「はい、ありがとうございます!」
私はそれだけ言って、ソッと扉を閉めた。
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