104 / 106
第2章
11話
しおりを挟む
ダンス練習の後からルノン街、冒険者ギルドでカイに出会うと、挨拶をしたり冒険の終わりに食事をする仲になった。トラ丸は彼らの聖獣の2人と楽しそうだ。
(お父様とお母様にカイのことを話しても何も言わないし、なによりトラ丸が楽しそうだからいいっか)
たまに学園の舞踏会の話をするために、デリオン殿下に王都へ呼ばれたり。楽しく冒険者、ゲドウさんとラゴーネさんと魔法の勉強をして過ごし。
春を迎え、私は王都にあるシュリル学園に入学する。
だけど、前世に遊んでいた乙女ゲームとは違い、デリオン殿下の婚約者候補から、婚約者にはなっていない。
(まぁ、デリオン殿下が学園でヒロインと出会ったら、婚約者候補からもはずれるはず)
そうなれば婚約破棄も牢屋行きも、国外追放さえもなくなる。早くこいこいヒロインちゃん~と、私は学園の入学に浮かれ、クラス分けの掲示板の前にトラ丸といる。
このシュリル学園は貴族しか通わない学園だけど、学問と魔法テストがあり、その順位によってSからFまでの7クラスに振り分けられる――ひとクラスの人数は10人程度だ。
〈ねえ、トラ丸、テスト勉強を頑張ったから、上位内に入りたいわね〉
《大丈夫だ、マリは頭だけはよかった》
〈それは前世の話だよ、異世界のテストは魔法もあって、けっこう難しいわ〉
「そうだな」っと、トラ丸とテストの順位表とクラスを確認する。私はSクラスで、テストの順位は5位だった。
(5位か~ここはゲームと同じ順位だ。どれどれ1位と2位は?)
確認すると1位と2位はカイとトル。デリオン殿下は7位で、私よりも上にいるはずのヒロイン――リリア・マロンの名前がなかった。――え? 乙女ゲームだと彼女もSクラスなんだけど、上位に彼女の名前が見当たらない。
――だとしたら、魔力が高いヒロインは特別枠かも。
(あとは、同じ学園に通うヴォルフ殿下は……1年の終わり頃に転入してくるのよね。……そして、ヒロインと恋に落ちる)
彼を思い出して、少し寂しくなった。
《……マリ、クラスも確認したし帰るぞ。明日は舞踏会があるのだろう?》
〈うん、帰ろう〉
このシュリル学園は、このロベルト国の中央にある学園。学生は辺境地など、王都よりも遠い土地に住む者もいるため、引っ越しに時間もかかる。
明日の舞踏会のあと、学園が始まるのは1週間後。
私はお父様とお母様に許可を貰ったので、トラ丸と魔力共有しながら一緒に登校だ。――トラ丸は馬車よりも速いし、魔力の訓練にもなる。シュリル学園は制服もあるので、制服をアイテムバッグに入れて登校する予定。
(お父様とお母様にカイのことを話しても何も言わないし、なによりトラ丸が楽しそうだからいいっか)
たまに学園の舞踏会の話をするために、デリオン殿下に王都へ呼ばれたり。楽しく冒険者、ゲドウさんとラゴーネさんと魔法の勉強をして過ごし。
春を迎え、私は王都にあるシュリル学園に入学する。
だけど、前世に遊んでいた乙女ゲームとは違い、デリオン殿下の婚約者候補から、婚約者にはなっていない。
(まぁ、デリオン殿下が学園でヒロインと出会ったら、婚約者候補からもはずれるはず)
そうなれば婚約破棄も牢屋行きも、国外追放さえもなくなる。早くこいこいヒロインちゃん~と、私は学園の入学に浮かれ、クラス分けの掲示板の前にトラ丸といる。
このシュリル学園は貴族しか通わない学園だけど、学問と魔法テストがあり、その順位によってSからFまでの7クラスに振り分けられる――ひとクラスの人数は10人程度だ。
〈ねえ、トラ丸、テスト勉強を頑張ったから、上位内に入りたいわね〉
《大丈夫だ、マリは頭だけはよかった》
〈それは前世の話だよ、異世界のテストは魔法もあって、けっこう難しいわ〉
「そうだな」っと、トラ丸とテストの順位表とクラスを確認する。私はSクラスで、テストの順位は5位だった。
(5位か~ここはゲームと同じ順位だ。どれどれ1位と2位は?)
確認すると1位と2位はカイとトル。デリオン殿下は7位で、私よりも上にいるはずのヒロイン――リリア・マロンの名前がなかった。――え? 乙女ゲームだと彼女もSクラスなんだけど、上位に彼女の名前が見当たらない。
――だとしたら、魔力が高いヒロインは特別枠かも。
(あとは、同じ学園に通うヴォルフ殿下は……1年の終わり頃に転入してくるのよね。……そして、ヒロインと恋に落ちる)
彼を思い出して、少し寂しくなった。
《……マリ、クラスも確認したし帰るぞ。明日は舞踏会があるのだろう?》
〈うん、帰ろう〉
このシュリル学園は、このロベルト国の中央にある学園。学生は辺境地など、王都よりも遠い土地に住む者もいるため、引っ越しに時間もかかる。
明日の舞踏会のあと、学園が始まるのは1週間後。
私はお父様とお母様に許可を貰ったので、トラ丸と魔力共有しながら一緒に登校だ。――トラ丸は馬車よりも速いし、魔力の訓練にもなる。シュリル学園は制服もあるので、制服をアイテムバッグに入れて登校する予定。
10
あなたにおすすめの小説
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
【完結】 悪役令嬢が死ぬまでにしたい10のこと
淡麗 マナ
恋愛
2022/04/07 小説ホットランキング女性向け1位に入ることができました。皆様の応援のおかげです。ありがとうございます。
第3回 一二三書房WEB小説大賞の最終選考作品です。(5,668作品のなかで45作品)
※コメント欄でネタバレしています。私のミスです。ネタバレしたくない方は読み終わったあとにコメントをご覧ください。
原因不明の病により、余命3ヶ月と診断された公爵令嬢のフェイト・アシュフォード。
よりによって今日は、王太子殿下とフェイトの婚約が発表されるパーティの日。
王太子殿下のことを考えれば、わたくしは身を引いたほうが良い。
どうやって婚約をお断りしようかと考えていると、王太子殿下の横には容姿端麗の女性が。逆に婚約破棄されて傷心するフェイト。
家に帰り、一冊の本をとりだす。それはフェイトが敬愛する、悪役令嬢とよばれた公爵令嬢ヴァイオレットが活躍する物語。そのなかに、【死ぬまでにしたい10のこと】を決める描写があり、フェイトはそれを真似してリストを作り、生きる指針とする。
1.余命のことは絶対にだれにも知られないこと。
2.悪役令嬢ヴァイオレットになりきる。あえて人から嫌われることで、自分が死んだ時の悲しみを減らす。(これは実行できなくて、後で変更することになる)
3.必ず病気の原因を突き止め、治療法を見つけだし、他の人が病気にならないようにする。
4.ノブレス・オブリージュ 公爵令嬢としての責務をいつもどおり果たす。
5.お父様と弟の問題を解決する。
それと、目に入れても痛くない、白蛇のイタムの新しい飼い主を探さねばなりませんし、恋……というものもしてみたいし、矛盾していますけれど、友達も欲しい。etc.
リストに従い、持ち前の執務能力、するどい観察眼を持って、人々の問題や悩みを解決していくフェイト。
ただし、悪役令嬢の振りをして、人から嫌われることは上手くいかない。逆に好かれてしまう! では、リストを変更しよう。わたくしの身代わりを立て、遠くに嫁いでもらうのはどうでしょう?
たとえ失敗しても10のリストを修正し、最善を尽くすフェイト。
これはフェイトが、余命3ヶ月で10のしたいことを実行する物語。皆を自らの死によって悲しませない為に足掻き、運命に立ち向かう、逆転劇。
【注意点】
恋愛要素は弱め。
設定はかなりゆるめに作っています。
1人か、2人、苛立つキャラクターが出てくると思いますが、爽快なざまぁはありません。
2章以降だいぶ殺伐として、不穏な感じになりますので、合わないと思ったら辞めることをお勧めします。
魅了魔法…?それで相思相愛ならいいんじゃないんですか。
iBuKi
恋愛
サフィリーン・ル・オルペウスである私がこの世界に誕生した瞬間から決まっていた既定路線。
クロード・レイ・インフェリア、大国インフェリア皇国の第一皇子といずれ婚約が結ばれること。
皇妃で将来の皇后でなんて、めっちゃくちゃ荷が重い。
こういう幼い頃に結ばれた物語にありがちなトラブル……ありそう。
私のこと気に入らないとか……ありそう?
ところが、完璧な皇子様に婚約者に決定した瞬間から溺愛され続け、蜂蜜漬けにされていたけれど――
絆されていたのに。
ミイラ取りはミイラなの? 気付いたら、皇子の隣には子爵令嬢が居て。
――魅了魔法ですか…。
国家転覆とか、王権強奪とか、大変な事は絡んでないんですよね?
いろいろ探ってましたけど、どうなったのでしょう。
――考えることに、何だか疲れちゃったサフィリーン。
第一皇子とその方が相思相愛なら、魅了でも何でもいいんじゃないんですか?
サクッと婚約解消のち、私はしばらく領地で静養しておきますね。
✂----------------------------
不定期更新です。
他サイトさまでも投稿しています。
10/09 あらすじを書き直し、付け足し?しました。
疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
悪役令嬢の取り巻き令嬢(モブ)だけど実は影で暗躍してたなんて意外でしょ?
無味無臭(不定期更新)
恋愛
無能な悪役令嬢に変わってシナリオ通り進めていたがある日悪役令嬢にハブられたルル。
「いいんですか?その態度」
出来損ないの私がお姉様の婚約者だった王子の呪いを解いてみた結果→
AK
恋愛
「ねえミディア。王子様と結婚してみたくはないかしら?」
ある日、意地の悪い笑顔を浮かべながらお姉様は言った。
お姉様は地味な私と違って公爵家の優秀な長女として、次期国王の最有力候補であった第一王子様と婚約を結んでいた。
しかしその王子様はある日突然不治の病に倒れ、それ以降彼に触れた人は石化して死んでしまう呪いに身を侵されてしまう。
そんは王子様を押し付けるように婚約させられた私だけど、私は光の魔力を有して生まれた聖女だったので、彼のことを救うことができるかもしれないと思った。
お姉様は厄介者と化した王子を押し付けたいだけかもしれないけれど、残念ながらお姉様の思い通りの展開にはさせない。
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる