三十歳、アレだと魔法使いになれるはずが、異世界転生したら"イケメンエルフ"になりました。

にのまえ

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 翌日、俺たちは王城に王と魔法検査に向かっている。相変わらず周りの人は俺たちを見てあーだ、こーだと言っている。(俺には聞こえるが)みんなには前日おぼえた魔法耳栓(人語だけを遮断)をつけてもらっているから、何を言われても安心だが……

 ――騎士団長のオッサンさん、あんた何考えたんだぁ! 

 いくら迷子防止の為とはいえ、団長と副団長(両方いかつい男)に両手を繋がれるなんて、どうせ繋ぐなら、綺麗なお姉さんがよかった。


 190センチあるであろう、長身の二人と低い俺ではどう見ても、昔テレビで見た"宇宙人捕獲"王都民に笑われて仲間にも笑われ、サン先生なんか「よかったですね」じゃないだろう!


 ーー拗ねるぞ! 


 ご丁寧に迷子札も人が読めないからと、亜人語からこっちの言葉に変わっているし……………ん? 俺たちが徒歩で王都に向かう途中、何処からか邪悪な魔力を感じた……俺は青空を見上げて辺りを見回した。


 その俺の行動に、

「どうした、小僧……」
「どうしたのですか?」


 手を繋ぐ二人が聞く。


「オッサンと副団長――何か得体の知れない魔力を感じた……エン、お前は何か感じたか?」

 オッサンの隣を歩くエンに聞いた。

「何も感じないけど?」

 首を傾げるエンの奥、サン先生にも聞くが首を振り、わざとらしく俺から視線を外して「何も感じないです」と言った。

 あきらかに何か勘付いているサン先生の行動……いつもより変だな。あ、もしかして。連れてこられた日に説明を受けた、勇者によって倒された魔王の怨念攻撃なのか?

(漆黒の闇……禍々しくて、魔力の違いに気持ち悪く……巨大な魔力が)

 ――来る!

 俺は魔力を感じた方角の空を見上げた。そんな俺の瞳に見えたのは、この王城の真上に浮かぶ空森島。その空森島にかがやく魔法陣が浮かんだかと思うと、王都と全体を覆う結界が張られた。

「皆さん、頭を抱えて伏せて!」

 サン先生の声にみんなは頭を抱えしゃがんだ、周りの王都民は何事かと、いぶがしげに俺たちみ見ていたが……ドゴーーン!! と、ぶつかる衝撃音と地震のように足元がグラグラ揺れたのを感じて、王都民達も頭を守り物陰に隠れた。  

「早く物陰に隠れろ!」
「コッチだ、みんな非難しろ!」

「避難場所はここだ!」

 避難場所を見ると魔法結界が張ってあった……王都民は声を掛け合い慌てることなく、王都内にある魔法結界の場所に避難していく。走れないお年寄り、子供達は大人たちが手分けしてが守っていた。

(……王都民はコレに慣れている?)

 あまりの手際の良さにそう感じた。しかし――誰一人、騎士団長と副団長に隠れろと言う者はいたが……サン先生を含む、俺たちに声をかけるものはいなかった。

 ――クソッ、差別しすぎだろう!
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