7 / 47
七
しおりを挟む
サン先生、エンと一緒に書庫で転移魔法について考えていた。魔法陣に乗り転移魔法を唱えると、そこまで飛ぶことはできるが戻ることができない。
いやそこまでのゲートは開いているのだから、戻れるはず。
「なぜ帰れない?」
「ローリス君、自分の部屋の場所など覚えていますか?」
「俺の部屋の場所? あっちだろ」
「いいえ、反対側です」
「扉の色は?」
「赤色?」
……クック、エンの笑い声が聞こえた。
サーチ魔法と、エンの見取り図が精巧で転移魔法のゲートは開いたが……帰りの場所、講義室の位置がイマイチな俺は上手く、帰り道の想像ができなくて戻れない。
「うーん、場所が覚えれないのだとすると……施設の地図を描くか。講義室をリンゴとして、部屋をイチゴ、イチゴからリンゴとか、身近な果物で場所を想像するしかありませんね」
……えっ。
「サン先生、でしたら講義室の扉に果物の絵を貼れば、ローリスも覚えれるのでは?」
「いい案だね、さっそく明日みんなで絵を描き、転移魔法の勉強をしましょう」
――みんな、俺の為に優しいな! 果物に例えるのは子供みたいだが、今は子供だからOK!
+
他のみんなも説明をした。みんなは転移魔法を使えば簡単に移動できると喜び、俺の為に果物の絵を描いてくれた。
俺の部屋はイチゴ、エンの部屋はブドウなど、覚えやすく描いてけれたおかげで、迷うことなく移動ができた。日課になったサン先生とエン、俺は講義のあと書庫にいた。
「ハッハハ! これで迷子よ、さらばだ!」
「よかった、ローリス」
「フフッ、そうだといいですがね……明日は王に会いに王城に向かい、魔法省で魔力測定をします」
ウゲッ。
「施設の外に出るのか! 待て、みんなも言語以外の言葉を覚えた……ここに来たときのような、人が発する酷い言葉を理解するぞ!」
「ええ……自分達が人間に、どのように見られているのか知りますね。ここで暮らす以上――それも乗り越えなくてはなりません」
待てよ、女子たち傷付いて泣くんじゃないのか? いや――みんなも傷付くことになる。
「そんな悲しい顔をしないでください、ローリス君も同じです、これは亜人達の通る道なのです」
「サン先生も、ここで働くみんなもか……クソッ、俺たちは何もかわらねぇのに」
「変わりますよ、我々は人間にない魔力量、見た目、不死などですかね」
「そうだ……僕は成竜になると頭のツノが太くなり、背中に羽が生えて、尻尾もいまよりも太くなる」
カッコいい、さすが竜人だな。
「獣人達も成獣になれば姿が変わります。私達エルフもですよ」
「俺も?」
「ええ、エルフ族は男も女も、もっと美形になり……金持ちの貴族が愛玩用――奴隷としてそばに置きたいと言いますね。私の友も数人買われていきました……特にローリス君は成人すると、その声が多くなるかもしれませんね」
――奴隷はいやぁだぁ!!!
いやそこまでのゲートは開いているのだから、戻れるはず。
「なぜ帰れない?」
「ローリス君、自分の部屋の場所など覚えていますか?」
「俺の部屋の場所? あっちだろ」
「いいえ、反対側です」
「扉の色は?」
「赤色?」
……クック、エンの笑い声が聞こえた。
サーチ魔法と、エンの見取り図が精巧で転移魔法のゲートは開いたが……帰りの場所、講義室の位置がイマイチな俺は上手く、帰り道の想像ができなくて戻れない。
「うーん、場所が覚えれないのだとすると……施設の地図を描くか。講義室をリンゴとして、部屋をイチゴ、イチゴからリンゴとか、身近な果物で場所を想像するしかありませんね」
……えっ。
「サン先生、でしたら講義室の扉に果物の絵を貼れば、ローリスも覚えれるのでは?」
「いい案だね、さっそく明日みんなで絵を描き、転移魔法の勉強をしましょう」
――みんな、俺の為に優しいな! 果物に例えるのは子供みたいだが、今は子供だからOK!
+
他のみんなも説明をした。みんなは転移魔法を使えば簡単に移動できると喜び、俺の為に果物の絵を描いてくれた。
俺の部屋はイチゴ、エンの部屋はブドウなど、覚えやすく描いてけれたおかげで、迷うことなく移動ができた。日課になったサン先生とエン、俺は講義のあと書庫にいた。
「ハッハハ! これで迷子よ、さらばだ!」
「よかった、ローリス」
「フフッ、そうだといいですがね……明日は王に会いに王城に向かい、魔法省で魔力測定をします」
ウゲッ。
「施設の外に出るのか! 待て、みんなも言語以外の言葉を覚えた……ここに来たときのような、人が発する酷い言葉を理解するぞ!」
「ええ……自分達が人間に、どのように見られているのか知りますね。ここで暮らす以上――それも乗り越えなくてはなりません」
待てよ、女子たち傷付いて泣くんじゃないのか? いや――みんなも傷付くことになる。
「そんな悲しい顔をしないでください、ローリス君も同じです、これは亜人達の通る道なのです」
「サン先生も、ここで働くみんなもか……クソッ、俺たちは何もかわらねぇのに」
「変わりますよ、我々は人間にない魔力量、見た目、不死などですかね」
「そうだ……僕は成竜になると頭のツノが太くなり、背中に羽が生えて、尻尾もいまよりも太くなる」
カッコいい、さすが竜人だな。
「獣人達も成獣になれば姿が変わります。私達エルフもですよ」
「俺も?」
「ええ、エルフ族は男も女も、もっと美形になり……金持ちの貴族が愛玩用――奴隷としてそばに置きたいと言いますね。私の友も数人買われていきました……特にローリス君は成人すると、その声が多くなるかもしれませんね」
――奴隷はいやぁだぁ!!!
1
あなたにおすすめの小説
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!
くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作)
異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」
学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。
魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。
それは、最強の魔道具だった。
魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく!
すべては、憧れのスローライフのために!
エブリスタにも掲載しています。
異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件
さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ!
食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。
侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。
「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」
気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。
いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。
料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる