三十歳、アレだと魔法使いになれるはずが、異世界転生したら"イケメンエルフ"になりました。

にのまえ

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空森島にやってきたモフモフ黒い鳥。

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 魔王の怨念攻撃の後――俺の顔に飛んできたモフモフ。いいだけ顔を引っ掻き、いま俺の頭の上で騒いでいる。

 時刻は昼すぎ。
 

「余の許可なく。からだを触るとは変態、スケベ、エルフ!」

 ――いや、エルフだけど。

「別にモフモフの羽を触っただけだ、なんだよ尻揉まれたいのか?」

「ひゃぁ、ついに本性をあらわしたなぁ。そこの猫の子よ気をつけるのだ、コヤツは女の子の尻が好きだぞ」

 ヌヌの目が開きお尻を隠す。

「はぁ? ヌヌ違うから、男だから尻は好きだけど。いきなりさわらねぇって……俺は紳士だ!」

「ええ、世の魅惑的なボディーに触らないだと。そんなに余は魅力がないのか?」

 しょんぼりした。

「…………!」

 ――いや、いや、どっちだよ。

 と、変な黒い鳥が空森島にやってきた。


 
 その鳥は――このあと盛大に「ぐるるるる、きゅるるるる」腹の音を、俺の頭の上で鳴らした。

「…………あ!」

「なんだ、お前、腹減ってんのか? まってろ、いまから冷やしうどん作ろうと思ってたんだ、食べるか?」

「冷やしうどん?」

「知らないよな。まっ、作るから食べてくれ」

 俺はモフモフを連れたままキッチンに行き。
 作っておいたうどん五玉を茹でて水と氷魔法で冷やし、麺をしめる。次にレタスなどの野菜を切って、温泉たまごを作った。

 透明な器に冷やしたうどんいれて、野菜をたっぷり乗せた。
 さいごに醤油、みりん、ダシで作っておいた汁をかけ、手作りマヨネーズをべつ皿に添えて完成。

 残った野菜はサラダにする。

 ――われながら美味そう!

 三人前をトレーに乗せて、家の隣に新たにつくったテラスに持っていき、ヌヌとできるまで大人しかった頭のモフモフに声をかけた。

「できたぞ、食べよう!」
「ローリス君、美味しそう」 
 
「うわっ、はじめてみる食べ物だ、ローリス、ローリス、どう食べるのだ?」

 モフモフは飛んできテラスのテーブルに乗って、冷やしうどんをのぞきこんで。キラッキラな目をして、小さい羽をパタパタさせた。

「お好きにマヨネーズをかけて、端かフォークで食べるんだが……お前、その小さな羽では食べれないか。まあ、ここには俺とヌヌしかいないから、お前の好きに食べればいい。汚れたら風呂にはいる」

「うん!」

「さあ、いただきましょう」
 

「「いただきます!」」
 

 と、モフモフは気にせず、顔を器に突っ込んだ。
 
 マヨネーズもいれると美味かったのか、目を輝かせて、さらにうどんをがっつく。
 みるみる、黒い鳥が白くなっていく。
 その可愛い姿をみて、俺とヌヌはさっきの疲れなんか飛んで、笑いながら冷やしうどんをすすった。
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