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空森島にやってきたモフモフ黒い鳥。
四
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――黒、落ち着け。
「余は、余はダメな魔王だ――滅びたほうがよい」
「ばーか、誰がそんなこと言ったのか?」
「いいや、みんなは新米魔王の余を大切にしてくれた……余もみんなが好きだった」
魔王黒は魔力はたかいが、病魔に倒れる仲間を助けれなくて、なさけなくて、勇者に倒されようと自分の力を水晶玉に封じた。
「勇者に倒されたんだろ? 黒はなんで目を覚ました?」
黒は首を振り。
「それがわからぬ。目を覚ました余は王座に座っておった。そして――余が力を封じた水晶が人間に悪さしておったのだ……すまぬ。壊そうとしたが、余では壊せなかった」
「壊せない? 今の黒って力は?」
「余の力? ――ここにいるみんなより弱い。みじんこじゃ」
「なぜ、ここにきた?」
「探しておったら、魔力が高い奴がいて水晶を壊してもらおうと思ってな――そうすれば攻撃も止む」
なに、攻撃がやむ?
この中で魔力が高いのは俺かな?
サン先生と魔女先生、ヌヌ、エンも高いとはおもうけど、黒がいう水晶を壊してしまえば、王都を攻撃しなくなる。
そうなれば俺は自由だ!
他の亜人達も自由になる。
まあ、王都を出れなかったら食堂でもやって、お金が貯まったら温泉付きの家を建てて、のんべんだらりと暮らす。
いいな、ニシシ。
「ククッ、ローリス、顔がやばいぞ」
「え、マジ?」
エンがいうには、そうとう、顔がにやけていたらしい。
いやぁ、でも嬉しいよな。
いままで黙って黒の話を聞いていたオッサン達は、口々に口を開く。
「黒の話はわかった、上の者と話してからだな」
「そうですね、人はまず話し合いからですからね」
「でもさ、魔王の攻撃がなくなっなら、ゆっくり休めるわね。ヌヌ、買い物し放題よ」
「魔女先生と洋服、コスメの買い物したいです」
魔女先生とヌヌ――キャピキャピ話す女子の会話は可愛いなぁ。
「ありがとうじゃ――よろしく頼む」
「すぐに報告して、会議を開いてもらうな」
「結果がでたら、すぐに報告いたしますね」
オッサンとサン先生、魔女先生は「明日、城に報告しに行く」といい下に帰っていった。
残った俺とエン、黒、ヌヌ。
エンは明日も休みだからお泊まりだ。
「エン、片付けが終わったら、ゆっくり露天風呂でもはいるか」
「いいな。はいりながら冷えたエールを飲もう」
「なんだ。まだ飲み足りないのか……つまみはソーセージ、ベーコンでも焼くか?」
「なぬ。ソーセージ、ベーコンだと、余も食べる」
あれだけ食べたのに、まだ食べるという黒。
「ダメ。ここからは男同士の語り合いの時間だ。子供ははやく寝ろ!」
「ローリス、余は子供ではない。…………そうか、ローリス、エン。二人はそうなのかわかった、そうなら、二人の時間は邪魔せぬ」
「ちょっ、その言い方やめてぇ」
「フフ、俺はかまわん」
「エン!」
俺の情けない声が島に響いた。
「余は、余はダメな魔王だ――滅びたほうがよい」
「ばーか、誰がそんなこと言ったのか?」
「いいや、みんなは新米魔王の余を大切にしてくれた……余もみんなが好きだった」
魔王黒は魔力はたかいが、病魔に倒れる仲間を助けれなくて、なさけなくて、勇者に倒されようと自分の力を水晶玉に封じた。
「勇者に倒されたんだろ? 黒はなんで目を覚ました?」
黒は首を振り。
「それがわからぬ。目を覚ました余は王座に座っておった。そして――余が力を封じた水晶が人間に悪さしておったのだ……すまぬ。壊そうとしたが、余では壊せなかった」
「壊せない? 今の黒って力は?」
「余の力? ――ここにいるみんなより弱い。みじんこじゃ」
「なぜ、ここにきた?」
「探しておったら、魔力が高い奴がいて水晶を壊してもらおうと思ってな――そうすれば攻撃も止む」
なに、攻撃がやむ?
この中で魔力が高いのは俺かな?
サン先生と魔女先生、ヌヌ、エンも高いとはおもうけど、黒がいう水晶を壊してしまえば、王都を攻撃しなくなる。
そうなれば俺は自由だ!
他の亜人達も自由になる。
まあ、王都を出れなかったら食堂でもやって、お金が貯まったら温泉付きの家を建てて、のんべんだらりと暮らす。
いいな、ニシシ。
「ククッ、ローリス、顔がやばいぞ」
「え、マジ?」
エンがいうには、そうとう、顔がにやけていたらしい。
いやぁ、でも嬉しいよな。
いままで黙って黒の話を聞いていたオッサン達は、口々に口を開く。
「黒の話はわかった、上の者と話してからだな」
「そうですね、人はまず話し合いからですからね」
「でもさ、魔王の攻撃がなくなっなら、ゆっくり休めるわね。ヌヌ、買い物し放題よ」
「魔女先生と洋服、コスメの買い物したいです」
魔女先生とヌヌ――キャピキャピ話す女子の会話は可愛いなぁ。
「ありがとうじゃ――よろしく頼む」
「すぐに報告して、会議を開いてもらうな」
「結果がでたら、すぐに報告いたしますね」
オッサンとサン先生、魔女先生は「明日、城に報告しに行く」といい下に帰っていった。
残った俺とエン、黒、ヌヌ。
エンは明日も休みだからお泊まりだ。
「エン、片付けが終わったら、ゆっくり露天風呂でもはいるか」
「いいな。はいりながら冷えたエールを飲もう」
「なんだ。まだ飲み足りないのか……つまみはソーセージ、ベーコンでも焼くか?」
「なぬ。ソーセージ、ベーコンだと、余も食べる」
あれだけ食べたのに、まだ食べるという黒。
「ダメ。ここからは男同士の語り合いの時間だ。子供ははやく寝ろ!」
「ローリス、余は子供ではない。…………そうか、ローリス、エン。二人はそうなのかわかった、そうなら、二人の時間は邪魔せぬ」
「ちょっ、その言い方やめてぇ」
「フフ、俺はかまわん」
「エン!」
俺の情けない声が島に響いた。
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