お気楽、極楽⁉︎ ポンコツ女神に巻き込まれた俺は、お詫びスキルで異世界を食べ歩く！

目が覚めた

　女神が消えた途端、真っ白な空間がバラバラと音を立てて崩れていく。

（おいおい、もしかするとここは俺の意識空間の中か？　そうだったら、俺の意識が戻ろうとしてるのか？）

　そう、だとしたら。

　ここがすべて崩れ落ちたら、俺は目が目覚めるかもしれないが、空間が崩れるのはかなりの恐怖だ。

「おい女神！　説明してから消えろ！」

　消えてしまった女神ルルーナに、文句を言っても、聞こえないだろうが。

　ーー俺の気が治らん！

「この、ポンコツ女神！」

　と叫んだ後に意識が浮上して、俺はランタンの明かりが淡く光る部屋の、布団が硬いベッドで目が覚めた。

「「⁉︎」」

　その俺の側に、今風の装いの若い男女がいたて「よかった、オッサンが目が覚めた」と喜んでいる。まあ、君たちから見れば俺はオッサンだが、まだ20代だと言うのは虚しいかと口をつむんだ。

「あの、ここは何処ですか？」

　女神ルルーナに話を聞いて知ってるが、それらしいことを言ってみると。側にいる若い男女は……「僕たちは勇者として、呼ばれたみたいなんです」「そうみたいです」とこたえた。

　2人は召喚をした者達に「勇者召喚」の説明をされているのか。気落ちとか慌てず、落ち着いといるところを見ると、それを受け入れているのかな？　と俺は考えた。

「そうだ。オッサンの目が覚めたと、この国の王に伝えたから、王の間というところに呼ばれると思う」

「はい、一緒にいた騎士が"目が覚めた"とき伝えに行きました」

　王の間、そこで俺は追い出されるのか。……おっとそうだ、目が覚めたから女神から貰ったスキルと、アイテムを確認しないとな。

（すぐにでも確かめたいが、2人がいるし、ここを追い出された後にするか）
　
　しかし、スキルとアイテムはワクワクするな。

　淡いランタンの灯り、部屋の中の家具、前までいた場所とはまったく違う異世界。今日から俺は、ここで生きていくんだ。

「雫様、杏果様、王の間で王がお待ちです」

「はい、わかりました」
「いま向かいます」

　はぁ？　俺は無視か……

「王の間へ、行きましょう……えっと」
　
「鈴村凛太郎だ」
「僕は相葉雫と言います」
「私は美空杏果です」

「雫くんと杏果さんか、俺のことは凛太郎と呼んでくれ」

「「はい」」
　
　と言っても.すぐに俺は追い出されるだろうがな。だが、この世界の何処かで、2人に会うかもしれんからな。