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第1章:エルフの国編
第20話 セーナの覚悟
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大和とケイトは大広場にて解散後、一度王室特殊兵団の本部に戻り、情報をまとめてから国王に報告へ行こうとしていた。
大広場から本部までの道で、大和は氷属性のことをしっかりと話した。
「つまり君は自分で想像した魔法をある程度までは再現、または創れてしまうわけで、氷属性もその感覚でやったと?」
「ああそうだ。まあある程度っていっても、元の世界に帰る魔法は創れなかったけどね」
大和が返事をすると、ケイトは何か考えているように視線を逸らした。
「多分だけどさ、君は勇者アルナ・フェイバスと何か関わりがあるのかもしれないね」
「え?何で?俺異世界人だよ?」
大和はまさか自分が異世界の人物と関わりがあるなんて考えものしなかったので、ケイトの発言には正直驚いた。
「スピリチアン王国立レバイアス特殊学校の異世界研究所によると、魂は異世界の概念を超えるもので、転移も可能なら転生も可能という仮説が立てられていて、世界的にもその仮説が支持されているんだ」
「つまり俺はその勇者アルナって、人の転生者ってこと?」
「いや、それはわからない。個々の魔法身体技能を決定するものは魂だけでなく血筋だ。そして特殊な魔力や属性の継承は発現者から孫の代まで、だからつまり、君は勇者アルナの血筋のものである可能性が高いというわけだ」
大和は何となく納得したが、さっきヴォルドに言われたことを思い出してあることに気づく。
「でもさっきヴォルドは氷属性が最後に確認されたのは勇者アルナ・フェイバスが最後だって言ってたぞ?」
「それは勇者アルナが孫の代だったからだよ。これはあくまでも仮説だけど氷属性の最初の使用者は、彼女の祖父だといわれているが、真相はわからんな」
大和はとにかく自分が普通じゃない状況に立たされていることを理解した。
しかし大和はそのうち自分の世界に帰るつもりなので、細かいことは気にしないことにした。
もっとも、元の世界に帰る方法に繋がるのであればその真相には価値があると感じてはいた。
「そうか、わかった。ありがとなケイト。とりあえず自分でも調べてみることにするよ」
大和とケイトが話している間に、王室特殊兵団本部に到着していた。
□□□□□
大和とケイトが団長室で資料をまとめていると、ヴォルドとジェイルが本部に戻ってきた。
「王室特殊兵団1番隊隊長ヴォルド・ハイツだ」
「王室特殊兵団副団長兼3番隊隊長ジェイル・フラストだ」
「2人とも入っていいぞ」
ヴォルドとジェイルはドアをノックして団長室に入る。
「もう準備は終わったか?」
「ああ、もう行けるよ」
「じゃあ早く王宮戻るぞ」
「ああ。じゃあ3人とも、円になるように手を繋いで」
ケイトは王宮に向かおうとすることなく、大和達にそう告げた。
しかし、状況が分かっていないのは大和だけで、ヴォルドとジェイルはケイトの言う通りにしていた。
「今日はスパン短いんだな」
「今日はそんなに長い距離で使ってないからね。ほら、大和も早く」
大和はヴォルドとケイトの言っていることはわからなかったが、とりあえず言う通りにすることにし、ヴォルドとジェイルの手を繋いだ。
「よし、じゃあいくよ!転移魔法陣」
ケイトが魔法を唱えると、気づいたらそこは団長室ではなく、王宮の正門の前だった。
正門のまえには2番隊の隊員4名が警備をしていた。
警備をしている4名は、ケイト達の存在に気づき敬礼をする。
「「「「お疲れ様です!!」」」」
4人は声を揃え、ケイトに挨拶をする。
「おう。国王陛下に報告をしたい。最重要事項の報告だ。通してもらいたい」
「わかりました。4名ともお通ししてよろしいですか?」
「ああ、頼むよ」
「わかりました」
2番隊隊員の1人がそういうと、門を開けるように後ろの隊員に促した。
「ありがとな。とりあえず気を抜くことなく任務に当たってくれ。だがくれぐれも無茶はするなよ?」
「「「「わかりました!ありがとうございました!」」」」
ケイトの激励に、2番隊隊員の4名は嬉しそうに返事をした。
門が完全に開くと、ケイト達は王宮の中に入っていく。
□□□□□
ケイト達が王宮の中に入り、玉座の間の扉の前まで来るとケイトが扉を叩いた。
「国王陛下!夜分遅く失礼致します!王室特殊兵団団長ケイト・バストン、1番隊隊長ヴォルド・ハイツ、副団長兼3番隊隊長ジェイル・フラスト、そして1番隊Bチーム所属ヤマト・ハナオカの4名、ただいま先程の事件に関する資料がまとまったのでご報告に参りました!」
「入るがいい」
「失礼致します」
ドズムが入室許可を伝えると、扉がゆっくりと開いた。
扉の先には、玉座がポツンとと赤い長絨毯の先にあるだけの、まるでゲームによく出てくるような部屋が広がっていた。
ケイトたち4人は、ドズムの前までくると、一斉に跪いた。
「面を上げよ」
ドズムがそういうと、ケイト達は顔をあげ立ち上がった。
「それで、尋問はどうだった?」
「はい、こちらの資料を元にご報告致します」
ケイトはそう言ってドズムに資料を渡すと、尋問の内容と今まで起こったことを全て報告した。
「ふむ、まさか妖魔帝王が動くどころか大魔皇帝まで関わっているとはな・・・」
「はい・・・それだけでなくバギランドに関する問題もございます」
「そうだな・・・しかし誰がバギランド政府の裏切り者かわからぬ状態で政府に警告を出すのはマズイな・・・」
「ええ、そうしてしまうとバギランドでの反乱を早めてしまいかねませんね」
「バギランドからのセーナの訪問の提案を蹴るのは良い案かもしれぬが今後の同盟に支障が出るだろう・・・どうしたものか」
「何を悩んでいるのかしら?」
ドズムとケイト達が頭を悩ませていると、玉座の間の扉が開き、セーナが大声を出した入室してきた。
「セーナ!?」
「セーナ様!?」
「セーナ様!お部屋にお戻りください!」
セーナの護衛任務に就いているマナカは、セーナの後をついて部屋に入り、セーナに部屋に戻るように言う。
しかし、セーナはマナカの声を無視してドズムに向かって強気で話し始める。
「父上、私がバギランド王国を訪問し、あちらで直接妖魔達を叩き潰すのが1番良い解決法であるとお気づきになってるでしょう?」
セーナがドズムに強気で言うと、ドズムは驚いたように言い返す。
「それはお前を危険に晒すことになるから1番良い策とはいえん!我は断固としてお前のバギランド訪問は認めんぞ!」
ドズムは未来の女王であり、自分の愛娘であるセーナを危険に晒すのは親として、そして国王として決して認められないのだ。
しかしセーナはドズムの勢いに負けずに言い返す。
「私は時期女王であり、この国の民を守る義務があります。その民の生命を脅かしかねない危険分子は事前に始末するべきであると考えます!」
「だとしてもダメだ!これは一歩間違えばバギランド政府反対はとの戦争になるんだぞ!?」
ドズムにそこまで言われると、セーナもさすがに考え直した。
だが、セーナはその点も覚悟を決めて自分の意志を伝える。
「ヒステラの件、ギルコードから聞きました。妖魔に憑依されていた彼は、憑依されていた妖魔によって魔法技能や一部の身体能力を破壊されたそうです。
私はエルフ=シャーリス王国の王女セーナ・シャーリスです。
我が国の一員である者をくだらない野望のために利用し、傷つけた妖魔や魔族を許す理由はありますか?
今後も我が国に敵意を向けるのが明白になっている者共を放置する理由はありますか?
これは確実に言えます。
ありません。
ドズム達はセーナの言葉を黙って聞いている。
「私は既に国のため、国民のために命を捨てる覚悟は出来ています。
それでも妖魔と戦うことをお許しになりませんか?」
セーナに問われると、ドズムは深く考え込む。
そしてドズムも何かを決定したかのようにセーナに問いかける。
「・・・魔族との1000年不可侵条約の期限は1年後だ。奴らは我々に対する侵略戦争のために先手を打っている。
つまり自分達では手を下してないとはいえ、約束を密かに破っているということだ。
今回の行動は魔族が直接動くきっかけになるかもしれぬ。
だがしかし、妖魔を潰すことで魔族の勢力が拡大することはない。
確かに価値のある考えだが、セーナ、本当に覚悟はあるのか?」
「はい、もちろんです」
ドズムはセーナに最後の確認をすると、セーナはしっかりと返事をした。
「ではわかった。バギランドから訪問の提案があり次第、セーナはそれに応じ妖魔、そして魔族の企みを叩き潰せ」
「はっ!ありがとうございます」
「だがしかし、留学のように護衛は最小限にはしない。王室特殊兵団から少なくとも隊を一つ動かすくらいでなければ認めん。わかったか?」
「その点は承知しております」
「ならいい。もしバギランドでの反乱結構予定の1ヶ月後までにあちらから連絡がなければ、こちらから行けるように考えてみよう。それではケイト、報告は以上か?」
「はっ!以上であります」
「うむ。では皆の者下がるがいい」
『失礼致しました!』
ケイト達は報告を終え、玉座の間の外にでた。
ケイト達は一度休憩をとるために本部へ向かおうと、王宮の外に出るために廊下を歩いている。
大和もケイト達に続いて歩いていると、突然大和だけ呼び止められた。
「大和ー!!!」
大和は声の方向へ振り向くと、声の主はセーナだということがわかった。
「大和、改めてさっきは私を命の危機から護ってくれてありがとね」
セーナは大和に笑顔で伝えると、大和は少し動揺しながら答える。
「あ、いえ、当然のことをしただけです・・・」
「あのね、大和。
さっきは父上に偉そうなこと言っちゃったけど、いざ自分が死にそうになったとき、私は身体が動かなかったの・・・」
「セーナさん・・・」
「でもね、あなたはまだ異世界に来て2日くらいで強くなって、それどころか私達を守るために王室特殊兵団の新人団員でありながらたった1人で妖魔に向かっていった」
「でもあれは近くにヴォルド隊長もいましたし・・・」
「ううん、それでもあそこでマナカに戦闘を任せることも出来たのに自分で戦おうとする姿がすごくかっこよかったわ・・・」
「いや、そんなことな・・・」
次の瞬間───────
セーナは大和に詰め寄り、大和の頬にキスをした。
大和は全く予想出来なかった行為に目を大きくして驚いている。
「セ、セーナさん!?いきなり何するんですか!?」
大和がそう言うと、セーナは小悪魔的に笑いながら大和に言う。
「ふふっ、ごめんね!
じゃあまた今度会おうね!」
セーナはその場を立ち去り、大和は1人広い王宮の廊下に取り残された。
「マジかよ・・・初めて会った時から思ってたけどすげぇ姫様だな」
大和はそう呟くと、先に行ったケイト達を追うように王宮を出て、王室特殊兵団本部へと向かっていく。
大広場から本部までの道で、大和は氷属性のことをしっかりと話した。
「つまり君は自分で想像した魔法をある程度までは再現、または創れてしまうわけで、氷属性もその感覚でやったと?」
「ああそうだ。まあある程度っていっても、元の世界に帰る魔法は創れなかったけどね」
大和が返事をすると、ケイトは何か考えているように視線を逸らした。
「多分だけどさ、君は勇者アルナ・フェイバスと何か関わりがあるのかもしれないね」
「え?何で?俺異世界人だよ?」
大和はまさか自分が異世界の人物と関わりがあるなんて考えものしなかったので、ケイトの発言には正直驚いた。
「スピリチアン王国立レバイアス特殊学校の異世界研究所によると、魂は異世界の概念を超えるもので、転移も可能なら転生も可能という仮説が立てられていて、世界的にもその仮説が支持されているんだ」
「つまり俺はその勇者アルナって、人の転生者ってこと?」
「いや、それはわからない。個々の魔法身体技能を決定するものは魂だけでなく血筋だ。そして特殊な魔力や属性の継承は発現者から孫の代まで、だからつまり、君は勇者アルナの血筋のものである可能性が高いというわけだ」
大和は何となく納得したが、さっきヴォルドに言われたことを思い出してあることに気づく。
「でもさっきヴォルドは氷属性が最後に確認されたのは勇者アルナ・フェイバスが最後だって言ってたぞ?」
「それは勇者アルナが孫の代だったからだよ。これはあくまでも仮説だけど氷属性の最初の使用者は、彼女の祖父だといわれているが、真相はわからんな」
大和はとにかく自分が普通じゃない状況に立たされていることを理解した。
しかし大和はそのうち自分の世界に帰るつもりなので、細かいことは気にしないことにした。
もっとも、元の世界に帰る方法に繋がるのであればその真相には価値があると感じてはいた。
「そうか、わかった。ありがとなケイト。とりあえず自分でも調べてみることにするよ」
大和とケイトが話している間に、王室特殊兵団本部に到着していた。
□□□□□
大和とケイトが団長室で資料をまとめていると、ヴォルドとジェイルが本部に戻ってきた。
「王室特殊兵団1番隊隊長ヴォルド・ハイツだ」
「王室特殊兵団副団長兼3番隊隊長ジェイル・フラストだ」
「2人とも入っていいぞ」
ヴォルドとジェイルはドアをノックして団長室に入る。
「もう準備は終わったか?」
「ああ、もう行けるよ」
「じゃあ早く王宮戻るぞ」
「ああ。じゃあ3人とも、円になるように手を繋いで」
ケイトは王宮に向かおうとすることなく、大和達にそう告げた。
しかし、状況が分かっていないのは大和だけで、ヴォルドとジェイルはケイトの言う通りにしていた。
「今日はスパン短いんだな」
「今日はそんなに長い距離で使ってないからね。ほら、大和も早く」
大和はヴォルドとケイトの言っていることはわからなかったが、とりあえず言う通りにすることにし、ヴォルドとジェイルの手を繋いだ。
「よし、じゃあいくよ!転移魔法陣」
ケイトが魔法を唱えると、気づいたらそこは団長室ではなく、王宮の正門の前だった。
正門のまえには2番隊の隊員4名が警備をしていた。
警備をしている4名は、ケイト達の存在に気づき敬礼をする。
「「「「お疲れ様です!!」」」」
4人は声を揃え、ケイトに挨拶をする。
「おう。国王陛下に報告をしたい。最重要事項の報告だ。通してもらいたい」
「わかりました。4名ともお通ししてよろしいですか?」
「ああ、頼むよ」
「わかりました」
2番隊隊員の1人がそういうと、門を開けるように後ろの隊員に促した。
「ありがとな。とりあえず気を抜くことなく任務に当たってくれ。だがくれぐれも無茶はするなよ?」
「「「「わかりました!ありがとうございました!」」」」
ケイトの激励に、2番隊隊員の4名は嬉しそうに返事をした。
門が完全に開くと、ケイト達は王宮の中に入っていく。
□□□□□
ケイト達が王宮の中に入り、玉座の間の扉の前まで来るとケイトが扉を叩いた。
「国王陛下!夜分遅く失礼致します!王室特殊兵団団長ケイト・バストン、1番隊隊長ヴォルド・ハイツ、副団長兼3番隊隊長ジェイル・フラスト、そして1番隊Bチーム所属ヤマト・ハナオカの4名、ただいま先程の事件に関する資料がまとまったのでご報告に参りました!」
「入るがいい」
「失礼致します」
ドズムが入室許可を伝えると、扉がゆっくりと開いた。
扉の先には、玉座がポツンとと赤い長絨毯の先にあるだけの、まるでゲームによく出てくるような部屋が広がっていた。
ケイトたち4人は、ドズムの前までくると、一斉に跪いた。
「面を上げよ」
ドズムがそういうと、ケイト達は顔をあげ立ち上がった。
「それで、尋問はどうだった?」
「はい、こちらの資料を元にご報告致します」
ケイトはそう言ってドズムに資料を渡すと、尋問の内容と今まで起こったことを全て報告した。
「ふむ、まさか妖魔帝王が動くどころか大魔皇帝まで関わっているとはな・・・」
「はい・・・それだけでなくバギランドに関する問題もございます」
「そうだな・・・しかし誰がバギランド政府の裏切り者かわからぬ状態で政府に警告を出すのはマズイな・・・」
「ええ、そうしてしまうとバギランドでの反乱を早めてしまいかねませんね」
「バギランドからのセーナの訪問の提案を蹴るのは良い案かもしれぬが今後の同盟に支障が出るだろう・・・どうしたものか」
「何を悩んでいるのかしら?」
ドズムとケイト達が頭を悩ませていると、玉座の間の扉が開き、セーナが大声を出した入室してきた。
「セーナ!?」
「セーナ様!?」
「セーナ様!お部屋にお戻りください!」
セーナの護衛任務に就いているマナカは、セーナの後をついて部屋に入り、セーナに部屋に戻るように言う。
しかし、セーナはマナカの声を無視してドズムに向かって強気で話し始める。
「父上、私がバギランド王国を訪問し、あちらで直接妖魔達を叩き潰すのが1番良い解決法であるとお気づきになってるでしょう?」
セーナがドズムに強気で言うと、ドズムは驚いたように言い返す。
「それはお前を危険に晒すことになるから1番良い策とはいえん!我は断固としてお前のバギランド訪問は認めんぞ!」
ドズムは未来の女王であり、自分の愛娘であるセーナを危険に晒すのは親として、そして国王として決して認められないのだ。
しかしセーナはドズムの勢いに負けずに言い返す。
「私は時期女王であり、この国の民を守る義務があります。その民の生命を脅かしかねない危険分子は事前に始末するべきであると考えます!」
「だとしてもダメだ!これは一歩間違えばバギランド政府反対はとの戦争になるんだぞ!?」
ドズムにそこまで言われると、セーナもさすがに考え直した。
だが、セーナはその点も覚悟を決めて自分の意志を伝える。
「ヒステラの件、ギルコードから聞きました。妖魔に憑依されていた彼は、憑依されていた妖魔によって魔法技能や一部の身体能力を破壊されたそうです。
私はエルフ=シャーリス王国の王女セーナ・シャーリスです。
我が国の一員である者をくだらない野望のために利用し、傷つけた妖魔や魔族を許す理由はありますか?
今後も我が国に敵意を向けるのが明白になっている者共を放置する理由はありますか?
これは確実に言えます。
ありません。
ドズム達はセーナの言葉を黙って聞いている。
「私は既に国のため、国民のために命を捨てる覚悟は出来ています。
それでも妖魔と戦うことをお許しになりませんか?」
セーナに問われると、ドズムは深く考え込む。
そしてドズムも何かを決定したかのようにセーナに問いかける。
「・・・魔族との1000年不可侵条約の期限は1年後だ。奴らは我々に対する侵略戦争のために先手を打っている。
つまり自分達では手を下してないとはいえ、約束を密かに破っているということだ。
今回の行動は魔族が直接動くきっかけになるかもしれぬ。
だがしかし、妖魔を潰すことで魔族の勢力が拡大することはない。
確かに価値のある考えだが、セーナ、本当に覚悟はあるのか?」
「はい、もちろんです」
ドズムはセーナに最後の確認をすると、セーナはしっかりと返事をした。
「ではわかった。バギランドから訪問の提案があり次第、セーナはそれに応じ妖魔、そして魔族の企みを叩き潰せ」
「はっ!ありがとうございます」
「だがしかし、留学のように護衛は最小限にはしない。王室特殊兵団から少なくとも隊を一つ動かすくらいでなければ認めん。わかったか?」
「その点は承知しております」
「ならいい。もしバギランドでの反乱結構予定の1ヶ月後までにあちらから連絡がなければ、こちらから行けるように考えてみよう。それではケイト、報告は以上か?」
「はっ!以上であります」
「うむ。では皆の者下がるがいい」
『失礼致しました!』
ケイト達は報告を終え、玉座の間の外にでた。
ケイト達は一度休憩をとるために本部へ向かおうと、王宮の外に出るために廊下を歩いている。
大和もケイト達に続いて歩いていると、突然大和だけ呼び止められた。
「大和ー!!!」
大和は声の方向へ振り向くと、声の主はセーナだということがわかった。
「大和、改めてさっきは私を命の危機から護ってくれてありがとね」
セーナは大和に笑顔で伝えると、大和は少し動揺しながら答える。
「あ、いえ、当然のことをしただけです・・・」
「あのね、大和。
さっきは父上に偉そうなこと言っちゃったけど、いざ自分が死にそうになったとき、私は身体が動かなかったの・・・」
「セーナさん・・・」
「でもね、あなたはまだ異世界に来て2日くらいで強くなって、それどころか私達を守るために王室特殊兵団の新人団員でありながらたった1人で妖魔に向かっていった」
「でもあれは近くにヴォルド隊長もいましたし・・・」
「ううん、それでもあそこでマナカに戦闘を任せることも出来たのに自分で戦おうとする姿がすごくかっこよかったわ・・・」
「いや、そんなことな・・・」
次の瞬間───────
セーナは大和に詰め寄り、大和の頬にキスをした。
大和は全く予想出来なかった行為に目を大きくして驚いている。
「セ、セーナさん!?いきなり何するんですか!?」
大和がそう言うと、セーナは小悪魔的に笑いながら大和に言う。
「ふふっ、ごめんね!
じゃあまた今度会おうね!」
セーナはその場を立ち去り、大和は1人広い王宮の廊下に取り残された。
「マジかよ・・・初めて会った時から思ってたけどすげぇ姫様だな」
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